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荒本一成、黒部竜聖に2回TKOで日本ミドル級最強挑戦者に 王者・川渕一統への挑戦権、5戦全勝

荒本一成、黒部竜聖に2回TKOで日本ミドル級最強挑戦者に 王者・川渕一統への挑戦権、5戦全勝

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

アマチュア12冠の荒本一成(26)=帝拳=が11月7日、東京・後楽園ホールで行われた日本ミドル級最強挑戦者決定戦8回戦で、日本2位の黒部竜聖=ワールドスポーツ=に2回2分12秒TKOで勝った。2回だけで3度のダウンを奪う完勝だった。プロ戦績は5戦全勝(2KO)となり、来年のチャンピオンカーニバルで日本王者・川渕一統=ABC=に挑む権利を手にしている。

2回に3度のダウン、2分12秒で試合を止める

試合は「DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.49」のセミセミファイナルとして組まれた。日本ミドル級(72.5キロ以下)の1位と2位が、来年の王座挑戦権をかけて向き合う一戦だ。

試合が動いたのは2回だった。距離を詰めた荒本の右が入り、黒部がキャンバスに落ちる。立ち上がった黒部に荒本は攻撃の手を緩めず、左も交えてさらに2度倒した。計3度目のダウンで試合は止められ、2回2分12秒、TKOでの決着となった。

両者はアマチュア時代にも1度対戦しており、そのときも勝ったのは荒本だった。プロでの再戦でも、荒本が黒部を圧倒した。黒部の戦績は2勝1敗になった。

日本ランキング1位と2位の対決が、わずか2ラウンドで終わる。

右ひじ手術を経て1年1カ月ぶりのリング

荒本にとって、試合は約1年1カ月ぶりだった。前戦は2025年10月5日、大阪で開かれたミドル級だけの興行「The Middle」で、日本ランカーの酒井幹生=角海老宝石=に3-0の判定で勝っている。このときのスコアは78-74が2人、79-73が1人。プロ4連勝で2025年を終えた。

ランキングも試合ごとに上がった。プロ3戦目で元ランカーの中田勝浩=井岡弘樹=に3-0の判定で勝った時点では日本9位。酒井戦の時点で日本4位に上がり、東洋太平洋とWBOアジアパシフィックのランキングにも名前が入っていた。そして今回は日本1位として挑戦者決定戦に臨んだ。

酒井戦の後、右ひじの手術を受け、リングから遠ざかっていた。ブランクの影響を感じさせない2回TKOで、復帰戦を締めくくった。

プロ5戦のうち、KO・TKO勝ちは2度目になる。デビューからの4戦は判定勝ちが3つで、判定まで戦って勝ち切る試合が続いていた。挑戦者決定戦という大事な一戦で早い回に倒し切った点は、前の4戦とは違う姿だった。

試合後、荒本は「来年のタイトル戦につなげられる。1年間、足踏みしたので1発で取りたい」と話した。

関連記事:波田大和、佐川遼に9回TKOで東洋太平洋Sフェザー級V5 元小結・旭道山のおい、WBC同級5位

帝拳勢が後半3試合を連勝した興行

同じ興行では、帝拳ジムの選手がセミセミからメインまで3試合続けて勝った。結果は次のとおりだ。

試合勝者敗者結果
OPBFスーパーフェザー級タイトルマッチ(メイン)波田大和=帝拳=佐川遼=三迫=9回20秒TKO
10回戦(セミ)尾川堅一=帝拳=イ・ジェウ(韓国)3-0判定
日本ミドル級最強挑戦者決定戦8回戦荒本一成=帝拳=黒部竜聖=ワールドスポーツ=2回2分12秒TKO

メインでは東洋太平洋王者の波田大和が5度目の防衛に成功し、元IBF世界スーパーフェザー級王者の尾川堅一も10回の判定で勝ち星を重ねた。興行はU-NEXTが独占で生配信した。

関連記事:U-NEXT、ボクシング11〜12月の10興行を独占配信 全日本新人王決定戦などのスケジュール

高校8冠から帝拳へ、村田諒太の背中を追う

荒本は奈良県立王寺工業高等学校から日本大学に進み、アマチュアでタイトルを重ねた。高校時代は全国高校総体、国民体育大会の少年の部、全国高校選抜大会で優勝を重ね、同級生の今永虎雅とともに史上初の高校8冠を成し遂げている。2人が8冠を決めたのは、2017年の愛媛国体だった。

アマチュアの戦績は92戦85勝7敗で、勝ち星のうち37がRSC(レフェリーストップ)だった。それでもパリ五輪には届かなかった。プロ転向を決めたのはそのあとだ。

目標の先には、帝拳ジムの先輩・村田諒太がいる。プロ転向会見では、村田が活躍したミドル級で勝負したいと語り、竹原慎二、村田に続く日本人3人目のミドル級世界王者を目標に掲げた。あこがれの選手には、元ミドル級3団体統一王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)を挙げている。

プロテストは後楽園ホールでB級を受験し、実技では同じ帝拳の日本スーパーウェルター級1位・玉山将弥と3回のスパーリングをこなして合格した。得意なパンチは左フック。当時は「体がデカいわりにスピードはあると思います」と自分の売りを口にしていた。

プロ転向から5戦。高校8冠のホープが、国内王座の目前までたどり着いた。

試合後には、高校の同級生で親友の今永がプロで先を行っていることにも触れた。「来年、一発で取って、同じ年の人に並びたい」。荒本は来年の王座獲得へ、そう言葉にした。

次の相手は22歳の2冠王者・川渕一統

挑戦を受ける王者の川渕一統(22)は、大阪のABCジムに所属するサウスポーだ。高校時代に2冠を手にし、プロデビューからKOを重ねてきた。

2026年8月16日、後楽園ホールで行われた日本ミドル級タイトルマッチ兼WBOアジアパシフィック・ミドル級王座決定戦で、川渕は日本王者の竹迫司登=ワールドスポーツ=に7回20秒TKOで勝った。プロ5戦目で日本とWBOアジアパシフィックの2本のベルトを同時に巻き、ABCジムにとって初めての王者になっている。その時点の戦績は5勝4KOだ。5回終了時の採点でも3人のジャッジ全員が川渕を支持しており、技術で竹迫の強打を封じた末のストップだった。

実は荒本と川渕には、同じリングに上がった夜がある。荒本が酒井に判定で勝った2025年10月5日の「The Middle」で、川渕も同じミドル級8回戦に出場し、中国のワン・ダーツォンを6回KOで下していた。当時は日本8位で、デビューから3連続KOだった。それから10カ月ほどで、川渕は王者になった。

試合後の川渕は「まだまだここは通過点。もっと上を目指して進んでいきたい」と語っていた。

荒本が26歳、川渕が22歳。ともにアマチュアの実績を引っさげてプロ入りし、短いキャリアで国内の頂点を争う。荒本は5戦全勝(2KO)、川渕はKO率の高さが目を引く。判定で勝ち切る力を見せてきた荒本が今回は早い回に倒し切ったことで、両者の対戦はどちらの持ち味が出るかという見どころが増えた。

日本ミドル級のベルトをかけたホープ同士の一戦は、来年のチャンピオンカーニバルで行われる。

[文/構成 by スポーツ担当ライター 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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