LINEの有料会員「LYPプレミアム」が1000万人超え Netflixセットは急増にどう効いたか

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
LINEヤフーの有料会員サービス「LYPプレミアム」が9月末時点で1090万人に達し、1年で2倍になったという。2月に始まったNetflixとのセットは、Netflixと同じ料金で特典が付く仕組みで、会員を増やし、つなぎ留める有力な入り口の一つだ。ただセット経由の人数は公表されておらず、290円プランの新設や他サービスからの移行も同じ時期に重なった。
会員1090万人、前年の2倍に
LINEヤフーの有料会員サービス「LYPプレミアム」の会員数が、2026年9月末時点で1090万人に達したという。2025年9月末から2倍に増え、国内の定額制サービスでは最大級の規模になる。LINEヤフーは11月5日に2026年度第2四半期の決算発表を予定している。
LYPプレミアムは、LINEとYahoo! JAPANの両方で特典を受けられる有料の会員制度で、標準的なプランはアプリ版が月額650円(税込)、ウェブ版が508円(同)。会社が業績の目安として公表する「直接会員数」は、2026年3月時点で637万人だった。今年1月の発表会では、Netflixとの取り組みも含めて直接会員を1000万人台へ乗せたいという考えを示しており、1090万人はその目標に並ぶ水準だ。
では、この1000万人はLINEのスタンプや便利な機能にお金を払う人だけで積み上がったのか。
そう読むのは早い。LYPプレミアムには今、Netflixを見るためにセットを選ぶ入り口もあれば、LINE MUSICやLINEスタンプの有料サービスから移ってくる道もある。9月末の1090万人にそれぞれの入り口から何人が含まれるのかは明らかになっていないが、LINEの機能だけを目当てにした人の数ではなく、複数の入り口を持つ会員基盤の数字と見た方が実態に近い。
Netflixセットは「Netflixと同じ料金」
2026年2月5日に始まった「LYPプレミアム with Netflix」は、Netflixの視聴とLYPプレミアムの特典をひとつの月額料金にまとめたプランだ。料金はNetflixの各プランと同じ額にそろえられた。
| Netflixのプラン | セットの月額(税込) | Netflix単体の月額(税込) |
|---|---|---|
| 広告つきスタンダード | 890円 | 890円 |
| スタンダード | 1590円 | 1590円 |
| プレミアム | 2290円 | 2290円 |
Netflixをすでに見ている人から見ると、払う額を変えずにLYPプレミアムの特典が上乗せされる。LINEの対象スタンプが使い放題になる特典やアルバムに関する特典など、LYPプレミアムの特典がNetflixの料金のまま付いてくる形だ。LYPプレミアムのアプリ版を単独で契約すると月650円かかるので、その分がセットの中に収まっている計算になる。
ただし、Netflixの会員が自動でLYPプレミアム会員に切り替わる仕組みにはなっていない。自分でLINEからセットに申し込み、同じメールアドレスでNetflixの利用開始手続きをして、アカウントをひもづける必要がある。プロフィールやマイリストは引き継げる一方、登録のタイミングによってはNetflixとセットの料金が一定期間、両方かかる場合があるとLINEヤフーは案内している。支払いはApp StoreかGoogle Play経由で、携帯会社などのNetflixパッケージを契約している人は、先に解約などの手続きが要る場合もある。
続ける理由をNetflixが担う構造
このセットは、入り口としてだけでなく、会員に続けてもらう仕組みとしても働きうる。セット契約を続けている間は、Netflixの視聴とLYPプレミアムの特典が同時に続くからだ。
有料の会員サービスは、特典を使わなくなった時点で「もういらない」と解約されやすい。セットなら、LYPプレミアムの特典をあまり使わない月があっても、Netflixを見続けたい限り契約をやめる理由は生まれにくい。毎月の支払いもNetflix単体と変わらず、LYPプレミアムの分を払っているという感覚自体が薄くなる。Netflixの視聴習慣が、そのままLYPプレミアムの継続を支える構図だ。
だが、出口はきちんと用意されている。分かれ目は、セットの前からNetflixを契約していたかどうかだ。
LYPプレミアムだけをやめたい場合はセットを解約する。解約しても会員期間が終わるまではセットのまま使え、セットが終わると、以前からNetflixを契約していた人は元の支払い方法への請求が再開してNetflixが続く。セットで初めてNetflixを使い始めた人はNetflixの契約も終わるため、見続けたいなら再契約が必要になる。
反対にNetflixだけをやめたい場合は、LYPプレミアムのスタンダードプランへ変更すれば特典を残せる。ただ、以前からのNetflix契約をセットにひもづけた人は、プラン変更だけではNetflixの契約が終わらず、元の支払い方法への請求が再開するため、Netflix側でも別に解約する必要がある。セットで初めてNetflixを使った人は、プラン変更でNetflixの契約も解除される。
縛りで引き留めるのではなく、追加の費用がかからないセットが「続ける理由」を一つ増やしている。裏を返せば、Netflixをやめる人がLYPプレミアムからも離れれば、会員は一緒に減ることになる。
セット経由で何人が入ったのか、会員全体の何割を占めるのか、解約率がどう変わったのかは公表されていない。ただ、7月2日のLINE15周年イベントでは、Netflixセットの入会数が計画比170%以上に達したと発表していた。計画に対する比率なので、人数や会員全体に占める割合までは分からないが、セットへの申し込みが会社の想定を上回るペースで進んでいたことはうかがえる。
1090万人のうちNetflixの寄与がどれだけかは数字では示せないものの、料金を変えずに乗り換えられる設計は、新しい会員を呼び込み、既存の会員をつなぎ留めるうえで有力な仕組みになる。会社が1000万人を目指す道筋にNetflixとの取り組みを挙げていた点からも、このセットを会員拡大の柱の一つと位置づけていることが分かる。
290円プランと既存サービスの移行も重なった
会員が伸びた時期には、Netflixセット以外の動きも続いていた。
7月2日、LINEヤフーは月額290円(税込)の「ライトプラン」を発表し、7月中旬以降に始めるとした。特典は対象スタンプの使い放題や、アルバム、アプリアイコン、着信音・呼出音に関するものの4つに絞り、650円のプランより手前に入り口をつくった。
9月14日には、音楽配信サービス「LINE MUSIC」の有料プランに登録している人を、月額料金はそのままに、手続きなしで「LINE MUSIC with LYPプレミアム エンジョイ」へ自動で切り替えると発表した。LINEスタンプの有料サービス「LINEスタンプ プレミアム」も、月額会員をLYPプレミアムの各プランへ9月以降に移す予定で、7月27日以降は新規の受け付けを順次止めている。8月の決算説明会では、セブン‐イレブンの店舗で使えるクーポンを会員特典に加え、会員数の増加につなげる考えも示した。
ここで分けて考えたいのが、移行と新規の違いだ。既存サービスからの移行は、すでに別の有料サービスにお金を払っていた人がLYPプレミアムの枠へ移るもので、新たに課金を始めた人とは性質が異なる。LINE MUSICの切り替えが9月末の集計にどこまで反映されたかは分かっておらず、施策ごとに何人増えたのかも公表されていない。ライトプランの新設や各サービスの移行は、新しい会員を呼び込む施策であると同時に、ばらばらだった有料会員をLYPプレミアムに束ねる動きとして見る必要がある。
1090万人から読めること、まだ読めないこと
数字から読み取れるのは、LYPプレミアムの入り口が広がりつつある点だ。LYPプレミアムは、2023年の開始当初からLINEの機能とYahoo!ショッピングなどの買い物特典を束ねた会員制度だった。そこに動画や音楽、スタンプの有料サービスをきっかけに加わる道が増え、より多くの入り口を持つ会員基盤になりつつある。Netflixセットは、その中で動画を目当てにした人を呼び込む入り口にあたる。
一方で、まだ読めないことも多い。1090万人のうち、新たにお金を払い始めた人と、別のサービスから移ってきた人がそれぞれ何人いるのかは分からない。プランごとの内訳も示されておらず、290円のライトプランと2290円のNetflixセットでは、利用者が毎月払う額に大きな差がある。人数が2倍になっても、売り上げが同じように伸びたとは限らない。3月時点の直接会員637万人と同じ数え方かどうかも、確認した資料では明らかになっていない。
Netflixセットの会員にとっては、Netflixに払っていた額のまま、スタンプやアルバムといったLYPプレミアムの特典も手元に残る。セットや移行をきっかけに集まった会員が、その特典を日常的に使うようになるかどうか。1000万人という規模を保てるかは、そこにかかっている。
[文/構成 by テック担当ライター RYO]








































































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