波田大和、佐川遼に9回TKOで東洋太平洋Sフェザー級V5 元小結・旭道山のおい、WBC同級5位

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
ボクシングの東洋太平洋スーパーフェザー級王者・波田大和(29)=帝拳=が11月7日、東京・後楽園ホールで同級7位の佐川遼(32)=三迫=を9回20秒TKOで破り、5度目の防衛に成功した。4回終了間際に左のカウンターでダウンを奪い、9回に佐川陣営がタオルを投入した。大相撲の元小結・旭道山のおいで、WBC同級5位につける29歳は、世界挑戦への意欲を口にした。
4回にダウン、9回20秒に佐川陣営がタオル
試合は「DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.49」のメインイベントで、10回戦で行われた。興行はU-NEXTが独占で生配信した。前日の11月6日に東京・文京区の日本ボクシングコミッションで行われた計量では、両者ともリミットを100グラム下回る58.8キロで1回でクリアしていた。
東洋太平洋王座は、東洋太平洋ボクシング連盟(OPBF)が認定する地域タイトルで、アジア・太平洋地域の選手が争う。「V5」は5度目の防衛を指し、スーパーフェザー級のリミットは58.9キロにあたる。
前戦の7月、日本王者の奈良井翼=RK蒲田=との王者対決は2-0の判定だった。その波田が、この日は1回から強い圧力をかけ続ける。サウスポーの構えからじりじりと距離を詰め、左右のフックと右アッパーで攻めた。佐川も得意の右ストレートをちらつかせ、ステップワークで対抗したが、3回に入ると波田の手数がさらに増えていった。
流れが決まったのは4回だった。終了間際、回り込んで踏み込んできた佐川のアゴに、波田の左がカウンターで入る。佐川はダウンし、ゴングに救われた。5回終了時の公開採点は、ジャッジ3人がそろって50-44で波田を支持するフルマークとなった。
元日本フェザー級王者の佐川も、そこで終わらない。6回はコンパクトなパンチで反撃し、中盤は打ち合いの場面も増えた。それでも波田はロープ際へ追い込んで左右の強打を浴びせ続ける。9回、開始直後に波田がさらに攻勢を強めると佐川陣営がタオルを投入し、レフェリーが試合を止めた。記録は9回20秒TKOだ。
勝った波田のプロ戦績は23戦20勝(18KO)2敗1分けとなった。日本フェザー級に続く2階級目の王座を狙った佐川は20戦14勝(9KO)6敗。2021年2月に日本王座を失って以来、約5年9カ月ぶりの戴冠はならなかった。
佐川は青森市出身で、東京農業大学でボクシングを続けた後、洋菓子メーカー「コロンバン」に入社した。2016年に三迫ジムからプロデビューし、2019年9月に日本フェザー級王座を獲得。現在も営業部門の係長として働きながらリングに上がる会社員ボクサーだ。2025年4月の敗戦の後は引退も考えたというが、2026年4月に前日本スーパーフェザー級王者の原優奈を3回TKOで破り、今回の挑戦にこぎ着けていた。
父は三役格行司、伯父は元小結・旭道山
波田は相撲一家に生まれた。父は大相撲の三役格行司・木村寿之介で、その兄が元小結・旭道山(62)にあたる。旭道山の本名は波田和泰。波田は寿之介の次男で、旭道山から見るとおいになる。2015年10月3日のプロデビュー戦の時点から、旭道山のおいとして紹介されてきた。
埼玉県草加市出身。花咲徳栄高等学校では3年生のときにライト級でインターハイと国体の両方で準優勝し、アマチュアでは48戦39勝9敗を残した。帝拳ジムからプロに転じ、デビュー戦は2回KO勝ちだった。
関連記事:波田大和、V5戦の前日計量をクリア 父は大相撲の行司・木村寿之介、7日に佐川遼と対戦
2024年6月に東洋太平洋王座を手にした試合と、その後の防衛戦の結果は次のとおりだ。
| 時期 | 相手 | 結果 |
|---|---|---|
| 2024年6月 | 坂晃典 | 波田の3回TKO勝ち |
| 2025年4月 | 渡邊卓也 | 波田の5回TKO勝ち |
| 2025年8月 | 神足茂利 | 12回引き分け |
| 2026年3月 | 金泰善 | 波田の5回TKO勝ち |
| 2026年7月 | 奈良井翼 | 波田の2-0判定勝ち |
| 2026年11月 | 佐川遼 | 波田の9回TKO勝ち |
5度の防衛のうち、TKO勝ちはこれで3度目。2026年3月の金泰善戦では右フックで2度のダウンを奪い、5回で試合を終わらせていた。
一方で、2025年8月の神足茂利さんとの一戦は12回を戦い抜いて引き分けた。神足さんは試合後に意識を失い、急性硬膜下血腫で手術を受けたが、8月8日に28歳で亡くなった。相次ぐリング事故を受け、日本ボクシングコミッションは東洋太平洋タイトルマッチを12回戦から10回戦に短縮している。佐川戦も、この規定のもとで10回戦として組まれた。
「苦手の克服」がテーマ、トマト柄のトランクスで
佐川とは4〜5年前にスパーリングで手を合わせたことがあり、そのときはパンチがほとんど当たらなかったという。波田は試合後、佐川を苦手なタイプと感じていたと明かし、今回のテーマは苦手の克服だったと語った。踏み込んで打つ勇気を少しだけ出せた、と振り返っている。
背中を押したのは、帝拳ジムの先輩で、2012年ロンドン五輪ミドル級金メダリスト、元WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太氏だった。自分から打ち込めば相手の方が怖いのだから踏み込め、という趣旨の助言を繰り返し受けてきたという。
テーマはトランクスにも表れていた。赤をベースに、ベルトラインを緑にしたトマトの配色だ。波田は生のトマトが苦手で、克服の意味を込めたと明かした。ただ、減量の1週間前に生のトマトを試したものの、やはり駄目だったと打ち明けている。
関連記事:佐川遼、7日に波田大和へ挑戦 洋菓子コロンバンの係長、戦績14勝9KO5敗の元日本王者
WBC5位、見えてきた世界初挑戦
波田は世界ランキングでWBCスーパーフェザー級5位に入る。WBA12位、IBF15位と、主要3団体で世界ランクに名を連ねる。佐川戦の勝利で、世界初挑戦がより現実の目標になってきた。
この階級では10月、オシャキー・フォスター(米国)がエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)に勝ち、WBC・IBF・WBOの3団体を統一したばかり。世界の壁は高い。それでも波田は世界戦について「めっちゃ行きたいです」と話し、リング上では「思うところにいきたい」とも語った。
29歳の王者は「毎年が勝負」と口にし、自分からもっと貪欲に行きたいとの思いを示した。
同じ興行のセミファイナルでは、元IBF世界スーパーフェザー級王者の尾川堅一=帝拳=が韓国のイ・ジェウに10回3-0の判定で勝った。その前の試合では、ミドル級の日本1位・荒本一成=帝拳=が日本2位の黒部竜聖=ワールドS=を2回TKOで下し、来年のチャンピオンカーニバルで日本王座に挑む権利を得ている。帝拳勢がメインまで3連勝で興行を締めた。同じ階級で世界王座を経験した先輩と、世界ランク上位に入った後輩が、そろって白星を挙げた。
[文/構成 by MediaDogs編集部]











































































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