日光いろは坂で右折禁止の社会実験、紅葉渋滞は最大3時間から短縮も 昨年の明智平閉鎖との違いと混みやすい時間帯

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
栃木県は10月31日と11月1日、日光市の第二いろは坂を上りきった先にある二荒橋前交差点で、右折を禁止する社会実験を行った。華厳の滝に近い駐車場へ向かう車の列が坂の途中まで延びるのを防ぐ狙いだ。実験中に取材の車が上ると終点まで1時間20分で、昨年3時間を超えた例より短かった。昨年は坂の途中にある明智平の県営駐車場を閉じており、今年は対策の場所を坂の上の交差点に移した。
二荒橋前交差点で右折禁止、実験の2日間に何があったのか
社会実験は栃木県、栃木県警、日光市が主体となり、10月31日(土)と11月1日(日)の午前8時から午後3時まで行われた。場所は中禅寺湖のほとり、中宮祠(ちゅうぐうし)地区の二荒橋前交差点。上り専用の第二いろは坂(国道120号)を上りきった車が、華厳の滝方面と湯元方面に分かれる地点だ。
県の資料によると、内容は交差点での右折禁止などの交通規制で、交差点の先には一方通行にする区間と、右折して駐車場へ入ることを禁じる箇所を設けた。左折させた車を周辺で循環させ、華厳の滝に近い駐車場以外にも振り分ける。報道によると、県や警察など50人態勢で誘導にあたり、混雑のピークは午前10時から11時ごろと見込まれていた。
普段なら20分ほどで上れる第二いろは坂は、全長およそ9.5キロ。11月1日に報じられた実験中の取材では、取材班が車で上ると中腹までは順調だった。ところが明智平の駐車場付近、残り約2.5キロの地点で車列が止まり、動いては止まるのを繰り返した末、終点に着くまで1時間20分かかったという。
渋滞はなくならなかった。ただ、昨年は3時間を超えるケースもあったとされ、日光を訪れるのが2回目という人は、7年前は上り始めからずっと渋滞していた記憶があると話し、「だいぶ改善された」と受け止めていた。
初日の10月31日の様子も報じられている。ある親子は午後1時半ごろに坂へ入り、10分後には渋滞につかまった。約7キロ地点からは1時間以上の渋滞が続き、交差点に着いたのは午後3時。坂は約1時間半で抜けたものの、左折して迂回し、華厳の滝の駐車場に入るまでさらに30分ほどかかり、全体で約2時間のドライブになった。毎年訪れているという茨城県からの観光客は「そんなに混んでないね」と話していた。
渋滞の先頭は坂の上、華厳の滝の駐車場待ちが原因
いろは坂は上りと下りで道が分かれている。上りが第二いろは坂、下りが第一いろは坂で、日光市街から中禅寺湖方面へ上る車は主に第二いろは坂を通る。坂の途中にある明智平へは、第二いろは坂でしか行けない。日光観光協会は、第二いろは坂から明智平ロープウェイまでの区間を渋滞しやすい場所に挙げ、通常は約20分の道のりが紅葉シーズンやゴールデンウィークには3時間かかることもあるとしている。
なぜ坂の途中で車が止まるのか。
答えは坂の上にあった。終点の交差点を右折すると、華厳の滝に一番近い駐車場が2カ所ある。県交通政策課の軽部智章主任は取材に「そこに向かう車の駐車場待ちの渋滞で、第二いろは坂の渋滞につながった」と説明した。日光土木事務所の川村正信課長も、例年この時期は駐車場待ちの車が渋滞を生んでいると明かしている。
県は今年の資料で、狙いを「駐車場待ちに起因する先詰まりの渋滞を抑制」と書く。駐車場に入りたい車が交差点で止まり、その後ろに並ぶ車が坂を下るように延びていく。右折を禁じて車を左へ流せば、交差点での足止めが減るという考え方だ。報道によると、交通量が多い日は1日に約9000台が第二いろは坂を通る。県の集計でも、2024年11月3日の交通量は9055台に上った。
県が坂の上の区間に手を入れるのは今回が初めてではない。さかのぼると、2008年度から2011年度にも中宮祠地区で社会実験が行われた。県日光土木事務所によると、当時も二荒橋前交差点では華厳の滝方面の駐車場へ右折を待つ列のために、湖畔の駐車場へ左折したい車が進めなかった。2011年度は右折レーンを延ばし、駐車場の満空情報で左折する車を増やして分散させ、渋滞が和らいだという。2018年秋には第二いろは坂の上部を一方通行にする社会実験を行い、2019年秋には明智平から二荒橋前交差点手前の丁字路までを、上り2車線とも一方通行にした。2019年の県のまとめでは、二荒橋前交差点を起点とした最大渋滞長が7.2キロから3.9キロに縮み、馬返から交差点までの最大通過時間は左折で2時間40分から58分、右折で2時間56分から1時間23分に短くなった。右折の通過時間は左折より長いまま残り、県は中宮祠地区のより効果的な対策を引き続き検討するとしていた。
昨年の明智平閉鎖と今年の右折禁止は何が違うのか
昨年の対策は、坂の途中にある駐車場が対象だった。県は2025年11月1日から3日まで、第二いろは坂の明智平県営駐車場と公衆トイレを閉鎖した。閉鎖時間は10月31日午後5時から11月4日午前9時まで。この駐車場が渋滞の先頭になっているとみて、入庫待ちの車の流れを断った。道路を挟んだ明智平ロープウェイ駐車場は通常どおり使えた。
| 項目 | 2025年(昨年) | 2026年(今年) |
|---|---|---|
| 場所 | 坂の途中の明智平県営駐車場 | 坂の終点の二荒橋前交差点 |
| 期間 | 11月1〜 | 10月31日・ |
| 内容 | 駐車場と公衆トイレを閉鎖 | 右折禁止、 |
| 減らしたい待ち | 明智平の駐車場に入る車 | 滝近くの駐車場へ右折する車 |
| 結果 | 午前は円滑、 | 県の検証結果は未公表 |
昨年の結果は、2026年2月に県が公表した。最も混んだ11月2日(日)、馬返から中禅寺温泉までのバスの通過時間(通常25分)は午前中の平均が53分で、前年の交通量最大日だった2024年11月3日の168分から115分縮んだ。県は「平均で約2時間早く奥日光へ到達できた」とまとめている。
ところが午後は例年と同じ渋滞になった。1日全体の平均は127分で、短縮は41分にとどまる。県は今後の方針に「更なる追加対策の検討」と、公共交通の利用やオフピーク観光への誘導を挙げた。今年の資料では、昨年度の明智平の実験に触れたうえで、二荒橋前交差点の右折禁止を新たな対策として打ち出している。
昨年は坂の途中の駐車場、今年は坂の上の交差点と、県は対策の場所を変えて効果を確かめている。
注意したいのは、今年の「短縮」がまだ県の正式な数字ではない点だ。取材班の1時間20分や親子の約1時間半は、それぞれ実験日の1回の走行で、昨年の県の数字はバスの平均通過時間を比べたもの。測り方が違うので、そのまま並べて何分縮んだとは言えない。今年の効果は、県の検証結果を待つことになる。
混むのは9時から15時、上るなら朝8時ごろまでか15時以降
実験の日以外も、紅葉の時期は同じように混む。県が今年作ったポスターは「紅葉シーズンの日光地域では過去に最大3時間以上の渋滞が発生」と呼びかけ、混雑を避ける方法として、日程をずらす、時間をずらす、公共交通を使うの3つを挙げた。日光観光協会の目安も合わせると、次のようになる。
| 目安 | 内容 | 出どころ |
|---|---|---|
| 混みやすい時間 | 9〜 | 日光観光協会 |
| 土日祝に上るなら | 早朝7時前 | 日光観光協会 |
| 平日に上るなら | 15時以降 | 日光観光協会 |
| 時間をずらす例 | いろは坂の朝は8時ごろまで、 | 栃木県 |
| おすすめの曜日 | 火・ | 栃木県 |
観光協会によると、14時から15時ごろは移動に3時間以上かかることもある。早朝や夜を選べば、戦場ヶ原の朝もやや、ライトアップされた奥日光を空いた中で楽しめるとも紹介している。県のポスターの曜日は、日光市の混雑予測カレンダーを基に作ったもので、実際の交通状況とは異なる場合があると注意書きが付く。
車を置いていく手もある。日光観光協会によると、奥日光方面のバスはJR日光駅と東武日光駅から30分間隔で出ており、ピーク時は臨時便が増えることもある。平日はJR日光駅から中禅寺湖まで約45分で着くこともあるという。バスも同じ坂を通るので渋滞の影響は受けるが、運転と駐車場探しからは解放される。
出発前の確認先は、県が渋滞情報を出している「日光渋滞サイト」だ。リアルタイムの渋滞情報やライブカメラ、臨時駐車場の開設情報、臨時駐車場への迂回ルートが見られ、駐車場の満空情報も県と日光市がホームページで出している。ライブカメラは二荒橋前交差点などに置かれ、今年の配信日は10月24日、25日、31日、11月1日、3日、7日、8日の7日間となっている。
県は効果を検証、残る紅葉シーズンの対策は
右折禁止を続けるかどうかは、検証の結果しだいだ。県は今回の実験で渋滞緩和の効果や利用状況を調べており、報道によると、効果が認められれば今後も続けたい考えを示している。訪れた人へのアンケートは11月15日まで受け付ける。
実験は2日間で終わるが、紅葉シーズンの対策は11月中も続く。日光市中心部の二社一寺周辺では、大谷川河川敷、日光土木事務所、日光砂防事務所に臨時駐車場を開く。開設日は10月31日、11月1日、3日(祝)、7日、8日、14日、15日の7日間。オフピーク観光の呼びかけは11月22日まで続ける。
昨年の「午前は円滑、午後は例年並み」を経て、今年は坂の上の交差点で実験した。午後の渋滞がどこまで減ったのか。県がまとめる数字は、来年以降も右折禁止を続けるかどうかを決める材料になる。
[文/構成 by ライター 飯田タツヤ]








































































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