奈良公園の鹿、奈良の鹿愛護会調査で1687頭と過去最多 5年連続増、鹿が増えた理由を整理

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奈良の鹿愛護会は7月16日、奈良公園に生息する鹿の頭数調査の結果を発表した。確認された頭数は1687頭で、1953年に調査を始めて以来の過去最多。前年の1465頭から222頭増え、2022年から5年連続の増加となった。内訳は雄411頭、雌990頭、子鹿286頭。愛護会は観光客による給餌の変化と公園の過密状態を増加の背景に挙げている。
過去最多1687頭、5年連続の増加を確認
奈良の鹿愛護会は7月15日と16日の2日間、奈良公園で鹿の頭数調査を実施した。職員とボランティアを合わせた38人が11班に分かれ、早朝の公園内を巡回。目視で鹿を1頭ずつ数え、紙に「正」の字を書いて記録する方式で、所要時間は約2時間半に及んだという。群れの中を移動するシカを重複して数えてしまう恐れがあるため、2日間に分けて実施し精度を高めているという。
確認された頭数は1687頭。前年の1465頭から222頭増え、同じ方式で調査を始めた1953年以降で最も多い数字となった。内訳は雄が411頭、雌が990頭、子鹿が286頭。雌鹿が全体の6割近くを占める。
奈良公園のシカは国の天然記念物に指定され、古くから「神の使い」として大切にされてきた。今回の調査結果は、その生息数が節目を迎えたことを示す数字といえる。
コロナ後に一転増加、5年で582頭増
頭数は一貫して右肩上がりだったわけではない。2020年の1286頭に対し、新型コロナウイルスの感染拡大で観光客が急減した2021年は1105頭まで落ち込んだ。
そこから流れが変わる。2022年1182頭、2023年1233頭、2024年1325頭、2025年1465頭と回復基調が続き、今回の1687頭で5年連続の増加となった。直近で落ち込んだ2021年の1105頭と比べると、5年間で582頭増えた計算だ。
急速な増加を受け、奈良県は2026年度中に外部の専門家3人を中心とする「奈良のシカ専門家会議」を新たに設ける方針を示している。栄養状態の改善によるものか、公園外からの流入によるものか、増加要因はまだ十分に解明されていない。鹿せんべい以外の不正な給餌が疑われていることから、26年度は夜間の給餌の実態調査も新たに行う方針だという。
鹿が増えた理由を整理 カギは”給餌”の変化
奈良の鹿愛護会が増加の主な要因として挙げるのが、観光客による給餌の変化だ。鹿せんべい以外に野菜や残飯を与える人が増え、鹿の栄養状態が改善。その結果、雌鹿が毎年のように出産するようになったという。
過密状態も鮮明になっている。奈良の鹿愛護会の中西康博副会長は、鹿が公園の外へ出ていく理由についてこう説明していた。「奈良公園が鹿にとって一番安全安心。だから、好んで奈良公園から出ていく鹿は基本いません」。続けて「芝生やどんぐりの状況を見ると、いまの頭数を養えるだけの供給源がない。過密になってきているので、はじかれる鹿が増えている」とも語っていた。
死亡198頭、公園の外にも広がる鹿
増加の裏で、命を落とす鹿も増えている。2026年6月末までの1年間に198頭が死亡し、このうち72頭は子鹿だった。
過密の影響は公園の外にも及ぶ。2026年3月10日午前には、帝塚山方面から生駒山を越えて生駒市内に入った6頭が目撃され、パン屋の前を横断する姿も確認された。その後、石切神社付近で1頭が一時保護され、3月17日には19キロ離れた大阪府東大阪市の畑で別の1頭が見つかっている。生駒山に野生の鹿は生息しておらず、いずれも奈良公園から移動した個体と判断されている。
奈良市内の住宅街に定住する例も相次ぎ、公園の外で暮らす鹿は各地で目撃されるようになった。奈良の鹿愛護会は、こうした公園外の鹿への対応について「今後の調査研究課題」とするにとどめている。
愛護会は「ピーク」の見方、餌やり注意を呼びかけ
奈良の鹿愛護会は今回の調査結果について、頭数が「ピークを打った」可能性があるとの見方を示した。過密状態が進む中、公園内で暮らせる個体数には限界があるとみているためだ。中西副会長はかねて「よく有識者がいわれる適正頭数は700頭のようです」とも説明しており、現在の1687頭という数字がいかに膨らんでいるかがうかがえる。実際に頭数が減少に転じるかどうかは、来年以降の調査で見極めることになる。
同会は、鹿せんべい以外の食べ物を与えないよう改めて呼びかけている。野菜や菓子パンなど人の食べ物は天然の草や木の実に比べて栄養バランスに偏りがあり、鹿の腸内環境や健康に影響することが分かっている。過去最多となった1687頭という数字は、観光客一人ひとりの餌やりが鹿の未来を左右することを、あらためて示す結果になった。
[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]
































































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