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嵐富士にラーメン店「一蘭」の懸賞 福岡出身の新入幕力士が地元・九州場所へ

嵐富士にラーメン店「一蘭」の懸賞 福岡出身の新入幕力士が地元・九州場所へ

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11月8日に初日を迎えた大相撲九州場所で、福岡県宇美町出身の新入幕・嵐富士(22)=伊勢ヶ濱=に、福岡発祥のとんこつラーメンチェーン「一蘭」が懸賞を懸ける。日本相撲協会が11月7日に懸賞の申し込み本数を発表したのに合わせて伝えられた。東前頭16枚目で迎える幕内デビューの初日は、幕内に復帰した北の若との一番が組まれた。

新入幕の嵐富士に地元企業「一蘭」の懸賞

日本相撲協会は11月7日、九州場所の懸賞の申し込み本数を発表した。15日間の合計は2637本で、2025年の2177本を上回り、九州場所の最多を更新している。申し込んだ企業は85社で、このうち7社が新規。福岡県内に本社を置く岩田屋フードや七尾製菓なども、新たに懸賞を出す側に加わった。

申し込んだ85社の中で、新入幕力士の取組をめぐって名前が挙がったのが「一蘭」だ。新入幕の嵐富士の取組に、一蘭の懸賞が懸かる。番付が発表されたばかりの新入幕力士に、地元の企業が名乗りを上げたことになる。

一蘭は1960年(昭和35年)の創業で、本社は福岡市博多区中洲にある。「天然とんこつラーメン」を看板に、全国に店を構えるチェーンだ。福岡で生まれた企業が、福岡で生まれ育った新入幕力士の土俵を後押しする。

会社の沿革をたどると、一蘭は1993年に福岡市南区で那の川店を開いてから、天神やキャナルシティ博多など福岡市内に店を広げ、1999年には太宰府市にも店を出した。2001年には東京・六本木へ進出している。太宰府市は、伊勢ヶ濱部屋が九州場所の宿舎を構える町でもある。

懸賞はふだん、番付の上位や人気力士に集まりやすい。九州場所の力士別の申し込みも、横綱・大の里の224本が最多で、熊本県出身の小結・義ノ富士が175本、大関・安青錦が128本で続いた。九州場所で、九州出身の力士が2位に入った。義ノ富士は嵐富士と同じ伊勢ヶ濱部屋に所属しており、九州出身の2人が同じ部屋から地元の場所に臨む。

この場所の懸賞では、集英社の旗も話題になった。漫画家・本宮ひろ志の作品をまとめる「本宮ひろ志漫画大全集」の刊行を記念し、連日、結びの一番に懸賞を懸ける。旗には11月19日に刊行される「男一匹ガキ大将」の主人公・戸川万吉が描かれる。結びの大一番に並ぶ全国区の企業の旗とは別に、幕内デビューの力士の一番では地元のラーメン店が名乗りを上げた。

懸賞は幕内の取組にだけ懸けられる。1本は7万円で、協会が取組表への掲載や場内放送の手数料として1万円を差し引き、残りの6万円が勝った力士のものになる。取組の前には呼出が懸賞旗を掲げて土俵を一周し、場内放送で懸賞主の名前が読み上げられる。福岡国際センターの観客は、嵐富士の取組で地元のラーメン店の名前を耳にする。発表された本数はあくまで場所前の申し込みで、指定した力士が休場すると、その懸賞は取りやめになったり別の取組へ懸け替えられたりする。土俵に上がり続けることが、懸賞旗を背に戦う条件になる。

関連記事:九州場所の懸賞申し込み2637本で九州場所最多 1位大の里224本、2位義ノ富士175本

福岡出身の新入幕は13年ぶり、宇美町からは初の幕内力士

嵐富士の新入幕が決まったのは、10月26日の番付発表だった。福岡県出身の力士の新入幕は2013年夏場所の大喜鵬以来13年ぶりで、宇美町出身の幕内力士は初めてとなる。福岡県も報道発表でこの2点を伝え、10月29日に嵐富士が福岡県庁で上田副知事を訪ね、新入幕の報告と場所への意気込みを伝えると発表した。訪問には宇美町の安川茂伸町長も同席する予定とされた。

番付発表の日、嵐富士は部屋の宿舎がある福岡県太宰府市で会見に臨み、「地元で新入幕で場所に挑める」と喜びを語った。目標には2桁勝利を掲げ、「あわよくば優勝」とも口にしている。同席した師匠の伊勢ヶ濱親方(元横綱照ノ富士)は、しこ名の由来に重ねて「土俵で嵐を巻き起こして」ほしいと期待を寄せた。

伊勢ヶ濱親方は、嵐富士が正攻法の相撲を目指して頑張っているとも評価している。

身長172センチ、体重123キロ。幕内では小柄な部類に入る。それでも下から攻める取り口を徹底し、前に出る相撲を磨いてきた。番付が上がったのはその相撲を取りきったからだと、本人は10月26日の取材で語っている。稽古場でも顔を上げず、前に出る内容を意識してきたという。

関連記事:嵐富士が新入幕、福岡県宇美町出身で地元の九州場所へ 福岡出身は13年ぶり、鳥取城北高出身

鳥取城北高等学校から付け出しデビュー、十両は2場所で通過

嵐富士の本名は松井奏凪人。宇美町から鳥取城北高等学校(鳥取市)へ進み、相撲部で腕を磨いた。2024年春場所に宮城野部屋から幕下最下位格付け出しで初土俵を踏み、その後、部屋の閉鎖に伴って伊勢ヶ濱部屋へ移っている。2026年初場所からは、本名の松井から嵐富士へしこ名を改めた。

幕下では足踏みが続いた。2025年の九州場所も、番付はまだ幕下だった。

流れが変わったのは2026年だ。新十両として臨んだ7月の名古屋場所は東十両13枚目で11勝4敗。続く9月の秋場所も西十両5枚目で10勝5敗と、2場所続けて2桁の白星を挙げる。十両をわずか2場所で通過し、1年前は幕下として出ていた九州場所へ、幕内力士として戻ってきた。

場所番付成績
2026年名古屋場所東十両13枚目(新十両)11勝4敗
2026年秋場所西十両5枚目10勝5敗
2026年九州場所東前頭16枚目(新入幕)11月8日初日

初日は北の若と対戦、福岡出身の力士たち

協会が発表した初日の取組で、嵐富士の相手は西前頭15枚目の北の若に決まった。北の若は九州場所で幕内に復帰した力士で、新入幕の嵐富士にとっては幕内での最初の一番になる。

九州場所の新入幕は、嵐富士と、ともにモンゴル出身の出羽ノ龍、旭海雄の3人だった。初日は出羽ノ龍が、41歳11か月で昭和以降の最高齢での再入幕を果たした玉鷲と対戦し、旭海雄は大青山と当たる。3人の新入幕力士がそろって初日から幕内の土俵に上がる。

九州場所は11月22日の千秋楽まで15日間、福岡国際センターで続く。地元・福岡で開かれる場所で、嵐富士は初めて幕内の土俵に立つ。

県内からは、関取以外にも地元場所に臨む若い力士がいる。福岡県添田町出身で19歳の添田山(秀ノ山部屋)は、序二段で初めての地元場所を迎えた。

関連記事:添田山、初の地元場所となる九州場所へ 福岡県添田町出身の19歳、秀ノ山部屋の序二段

福岡県出身で13年ぶりの新入幕力士の取組には、地元のラーメン店の懸賞旗が加わる。2桁勝利を目標に掲げた新入幕力士が、ご当地の15日間に挑む。

[文/構成 by スポーツ担当ライター 南條楓]

寄稿者

南條楓
学生時代に陸上の中距離を続けていたこともあり、記録で勝負が決まる競技に惹かれてスポーツを書くWebライターに。執筆歴は8年。陸上や水泳、体操、フィギュアスケートなど、記録と採点が結果を左右する競技を中心に、国際大会の速報から選手の歩みをたどる記事まで担当してきた。タイムや得点の意味、予選から決勝までの流れを、初めて観る人にも伝わる言葉で書くことを大切にしている。

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