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旭富士、宿舎の太宰府天満宮から化粧まわし「めちゃくちゃうれしい」 新十両で梅と鷽の図柄

旭富士、宿舎の太宰府天満宮から化粧まわし「めちゃくちゃうれしい」 新十両で梅と鷽の図柄

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大相撲九州場所で新十両に昇進した旭富士(24)=伊勢ケ浜部屋=が11月3日、部屋が宿舎を置く福岡県太宰府市の太宰府天満宮から化粧まわしを贈られた。図柄は天満宮を代表する紅白の梅と、幸せを運ぶ鳥とされる鷽(うそ)。旭富士は「めちゃくちゃうれしい」と喜んだ。九州場所は11月8日に福岡国際センターで初日を迎える。

本殿で贈呈、師匠の伊勢ケ浜親方も同席

贈呈は11月3日、太宰府天満宮の本殿であった。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱照ノ富士)とともに贈呈式に出席し、旭富士が化粧まわしを受け取った。

モンゴル出身の旭富士にとって、太宰府は九州場所の間を過ごす宿舎の場所だ。天満宮は1992年から、伊勢ケ浜部屋に九州場所の宿舎と稽古場を貸している。30年以上続く付き合いで、宮司の西高辻信宏は部屋の福岡後援会の会長も務める。

化粧まわしは、十両以上の関取が土俵入りで締める前垂れ付きのまわしだ。幕下以下の力士には縁がなく、新十両に上がって初めて必要になる。後援会や縁のある団体から贈られることが多く、図柄には贈り主にちなんだ題材が選ばれる。

化粧まわしの出番は、十両の取組が始まる前の十両土俵入りだ。十両の力士が東西に分かれ、番付の下の者から順に土俵へ上がって輪になって並ぶ。最上位の力士の合図で柏手を打ち、化粧まわしの端を軽くつまみ上げるなどの所作をしてから、順に土俵を下りていく。九州場所の番付で東十両12枚目に就いた旭富士は、東方の一員としてこの列に加わる。

天満宮が力士に化粧まわしを贈るのは、旭富士が初めてではない。過去には安美錦(現安治川親方)と宝富士(現桐山親方)にも贈っており、久しぶりの贈呈となった。宝富士は関脇まで上がり、引退後は桐山親方として伊勢ケ浜部屋に残る。部屋付きの親方として旭富士の指導にもあたっており、天満宮の化粧まわしを締めた先輩から後輩へ、太宰府との縁が引き継がれる。

受け取った旭富士は、喜びをそのまま口にした。報道陣には「めちゃくちゃうれしい」と話し、見た目のかっこよさにも触れている。縁起のよい化粧まわしだと感謝し、けがなく15日間を取り切りたいと続けた。

大きく描かれた木鷽と紅白の梅

化粧まわしの中央に大きく描かれたのは「木鷽(きうそ)」だ。鷽は天神さまの守り鳥とされ、その姿を木で彫った縁起物が木鷽になる。図柄では、紅白の花を咲かせた梅の木に挟まれ、鷽が木にとまっている。

鷽と太宰府天満宮を結ぶのが、毎年1月7日の「鷽かえ神事」だ。天満宮の公式サイトによると、神事は18時から境内の天神ひろばで始まる。参加者は授与された木鷽を手に、暗闇の中で「かえましょ、かえましょ」と声をかけ合いながら交換する。前の年に知らず知らずのうちについた嘘を、天神さまの誠の心と取り替えるという意味が込められている。

梅も天満宮には欠かせない。祭神の菅原道真は、京都から大宰府へ左遷される際、自邸の梅に別れの歌を詠んだ。その梅が一晩で大宰府まで飛んできたと伝わるのが、御本殿に向かって右手にある御神木の「飛梅」だ。境内には約200品種、約6,000本の梅が植えられており、いずれも奉納された木だという。

梅に重ねた4年半の研修生時代

なぜ梅だったのか。

答えは、旭富士がデビューまでに過ごした時間にある。天満宮側は、冬の寒さに耐えて花を咲かせる梅を、研修生として4年半を過ごした旭富士の姿に重ねた。西高辻宮司は「入門から初土俵までの4年半をよく耐えて」と努力をたたえ、境内の梅の木が厳しい冬を越えて春に花を咲かせるように、横綱を目指して稽古に励んでほしいと期待を寄せた。

天満宮側からは、横綱に上がったときの三つ揃いの化粧まわしにまで話が及んだ。三つ揃いは横綱が土俵入りで太刀持ち、露払いと並んで締める3本1組の化粧まわしを指す。贈る側が、その先の番付まで思い描いている。

初土俵から6場所、最速タイで関取に

旭富士は本名をバトツェツェゲ・オチルサイハンといい、2002年にモンゴル・ウランバートルで生まれた。体格は187センチ、152キロ。2018年春に来日し、神奈川県小田原市の旭丘高等学校に相撲留学して相撲部に入った。伊勢ケ浜部屋への入門は2021年春になる。

だが、すぐには土俵に上がれなかった。外国出身力士は原則1部屋1人という決まりがあり、照ノ富士が現役のうちはデビューできなかったのだ。研修生として4年半、部屋で稽古を重ねる日々が続き、デビュー前から関取衆と互角に渡り合う力をつけた。化粧まわしの梅に込められたのは、この時間だ。

初土俵は2025年11月の九州場所。ここから序ノ口、序二段、三段目、幕下と4場所連続で各段優勝を果たし、秋場所後の9月30日の番付編成会議で新十両昇進が決まった。序ノ口デビューから4場所連続の各段優勝は、年6場所制となった1958年以降で初めての記録だった。序ノ口デビューからの連勝は名古屋場所で25で止まったが、それでも歴代3位にあたる。

日本相撲協会の公式記録で番付をたどると、上がり方の速さがよく分かる。東序ノ口19枚目で迎えた初場所から、西序二段8枚目の春場所、東三段目6枚目の夏場所まで、3場所続けて7戦全勝で優勝。東幕下11枚目の名古屋場所は6勝1敗だったが、ここでも幕下の優勝をつかんだ。初場所から秋場所までの5場所の通算は33勝2敗で、黒星は幕下に上がってからの2つしかない。

場所番付成績
2025年九州場所前相撲初土俵
2026年初場所東序ノ口19枚目7勝0敗・序ノ口優勝
2026年春場所西序二段8枚目7勝0敗・序二段優勝
2026年夏場所東三段目6枚目7勝0敗・三段目優勝
2026年名古屋場所東幕下11枚目6勝1敗・幕下優勝
2026年秋場所西幕下筆頭6勝1敗
2026年九州場所東十両12枚目新十両

関取の座を決めた秋場所は、西幕下筆頭で6勝1敗。師匠の伊勢ケ浜親方は昇進会見で、旭富士が秋場所前に肋骨を折り、巡業中に稽古ができないまま場所に臨んでいたことを明かしている。初土俵から所要6場所は、年6場所制となった1958年以降に初土俵を踏んだ力士では、付け出しを除いて最速タイの記録となる。

関連記事:旭富士が新十両昇進、初土俵から所要6場所は年6場所制以降の最速タイ(付け出しを除く) 九州場所の番付編成会議で決定

しこ名の「旭富士」は、第63代横綱の旭富士から受け継いだものだ。元横綱の旭富士は伊勢ケ浜部屋の先代師匠で、現在は部屋付きの宮城野親方として指導にあたる。先代の旭富士は初土俵から新十両まで7場所かかっており、しこ名を継いだ弟子は1場所早く関取に届いた。

九州場所の目標は十両優勝、兄弟子・尊富士に続けるか

関取として初めて臨む九州場所で、旭富士は前に出る相撲を取り、ファンが喜ぶ相撲を見せたいと語った。九州場所での優勝を目指す考えも口にしている。

9月30日の昇進会見では、九州場所の目標に十両優勝を、将来の夢には横綱を挙げていた。師匠の照ノ富士も、新十両の場所で十両優勝を果たしている。贈呈の日は、1日一番に集中していくと話す一方、その先の大きな目標については明かさなかった。

伊勢ケ浜部屋では、兄弟子の尊富士が新十両の場所を1場所で通過し、新入幕を果たしている。旭富士にも、同じ道をたどれるかが問われる15日間が始まる。

紅白の梅と木鷽をあしらった化粧まわしを手に、24歳の新十両が福岡国際センターの土俵に上がる。

[文/構成 by スポーツ担当ライター 疾風(HAYATE)]

寄稿者

疾風(HAYATE)
スポーツニュースサイトでの執筆を経て、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上など、競技の枠を越えてスポーツ記事を書いてきたWEBライター。経験は6年。大会結果や記録、番付、レース展開など、数字と公式記録を土台に「何がすごかったのか」を整理する記事を得意としている。ルールや採点方式が分かりにくい競技でも、初めて観る人がその一戦を楽しめるよう、背景や見どころまでかみくだいて伝えることを心がけている。主な執筆分野は、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上、バスケットボール。

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