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美ノ海、沖縄県スポーツ栄光賞の授与を知事が検討 うるま市出身で県出身力士初の三役

美ノ海、沖縄県スポーツ栄光賞の授与を知事が検討 うるま市出身で県出身力士初の三役

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沖縄県の古謝玄太知事は10月27日、県庁での定例記者会見で、大相撲九州場所で小結に昇進した美ノ海(33)=木瀬部屋=に、沖縄県スポーツ栄光賞を授与する方向で検討する考えを示した。美ノ海は沖縄県うるま市の出身で、県出身力士として初めて三役に上がった。授与はまだ決まっておらず、受賞すれば琉球ゴールデンキングスに続く2例目となる。

古謝知事が定例会見で表明、授与はまだ「検討」の段階

古謝知事は10月27日の定例記者会見で、前日に番付が発表された美ノ海の小結昇進を取り上げた。報道によると、知事は47都道府県で唯一、三役力士が出ていなかった沖縄県からの小結昇進を「快挙」と評価し、「県民に大きな感動を与え」、県内のスポーツ振興にも寄与すると述べた。11月の九州場所での活躍にも期待を寄せている。

会見での言葉は、報じた媒体によって細部の書き起こしが少しずつ異なる。大相撲を日本の伝統文化と位置づけたうえでの発言だったとする報道もある。どの報道でも一致するのは、三役の空白が続いていた沖縄から小結が出たことを快挙と位置づけ、栄光賞の授与を検討するという点だ。

ここで押さえておきたいのは、知事が示したのはあくまで「検討する考え」だという点。10月28日の時点で、県から授与の決定や表彰式の日程は発表されていない。知事の会見録は、県の公式サイトにまだ掲載されていなかった。

古謝知事は9月13日投開票の沖縄県知事選で初当選し、9月30日に就任した。42歳での就任は歴代最年少で、沖縄の本土復帰後に生まれた初めての知事でもある。就任から1か月足らずで、県勢の快挙への対応を自ら会見の場で語ったことになる。

沖縄県スポーツ栄光賞とは 第1号はキングス

沖縄県スポーツ栄光賞は、2024年に設けられた県の表彰だ。県の発表資料は、「国際的または全国的な競技大会において顕著な功績を収めた者」を表彰してその栄誉をたたえ、「スポーツアイランド沖縄」の形成に向けた県民の意識を高め、スポーツ振興に役立てることを目的に掲げる。

これまでの受賞は1例しかない。

最初に受けたのは、プロバスケットボールBリーグの琉球ゴールデンキングスだった。2025年3月の第100回天皇杯全日本バスケットボール選手権大会で初優勝し、当時の玉城デニー知事が2025年4月25日の定例記者会見で授与を発表した。発表の席で玉城知事は、天皇杯に加え、2022-23シーズンにBリーグで初めて王者になったことにも触れ、キングスが県民に希望と活力を与えてきたと授与の理由を説明した。表彰式は同年6月6日、県庁1階の県民ホールで開かれ、知事は式辞で、キングスが「スポーツ栄光賞の第一号の受賞者」になると述べている。キングス側は、天皇杯の優勝に加えて、県内の子どもたちへのバスケットボール教室や地域との交流といった日々の活動にも光が当たったと受け止めていた。

県には別に県民栄誉賞もあり、2025年10月には、夏の全国高校野球選手権大会で優勝した沖縄尚学高等学校野球部に贈られた。スポーツ栄光賞は、これとは別に競技大会での成果をたたえる賞で、美ノ海が受賞すれば、個人として初めての受賞者となる。

47都道府県で唯一の空白、東小結で迎える九州場所

日本相撲協会は10月26日、九州場所の番付を発表し、美ノ海は東の小結に就いた。三役は大関・関脇・小結の地位を指し、沖縄県はそれまで、この地位に一人も力士を送り出していなかった。県出身力士の最高位は、報道によると1973年秋場所に琉王が記録した西前頭筆頭。半世紀以上動かなかった記録を、美ノ海が塗り替えた。

昇進を引き寄せたのは9月の秋場所だった。西前頭3枚目で大関2人を破って10勝5敗とし、自身2度目の敢闘賞を受けている。最初の敢闘賞は11勝4敗だった2025年春場所で、これも沖縄県勢の力士として初めての受賞だった。沖縄の相撲の記録を、美ノ海は一つずつ書き換えてきた。初土俵から63場所での新三役は、学生相撲出身の力士として最も遅い昇進となり、33歳5か月での新三役は戦後4番目の年長記録にあたる。

関連記事:美ノ海が新小結、沖縄県出身で初の三役 うるま市から鳥取城北高・日大を経た経歴

時期美ノ海の歩み
2016年3月場所木瀬部屋から初土俵
2018年7月場所新十両(沖縄県出身の新十両は16年ぶり)
2023年11月場所新入幕
2025年3月場所沖縄県勢初の敢闘賞
2026年9月場所10勝5敗で2度目の敢闘賞
2026年11月場所東小結(沖縄県出身で初の三役)

番付発表の10月26日、美ノ海は木瀬部屋が宿舎を構える佐賀県基山町で会見した。三役として迎える九州場所について、勝ち越しを目標に挙げ、全力で一生懸命、いつも通り頑張りたいと語った。沖縄で相撲をしている子どもたちにとって、目指す場所になりたいという思いも口にしている。

九州場所は11月8日に福岡国際センターで初日を迎え、11月22日に千秋楽となる。

うるま市から鳥取城北高等学校、日本大学へ

美ノ海は本名を木崎信志といい、1993年5月6日生まれ。沖縄県うるま市の出身で、うるま市立具志川中学校から鳥取市立西中学校へ移り、相撲の強豪校として知られる鳥取城北高等学校に進んだ。高校卒業後は日本大学へ進学し、相撲部で力を磨いてから木瀬部屋に入った。

しこ名の「美ノ海」には、故郷・沖縄への思いが込められている。十両昇進を機に名乗った下の名前「義久」は、相撲を始めるきっかけをくれた母方の祖父の名前だ。十両に上がった2018年当時、母の睦子さんは、しこ名について沖縄への深い感謝の思いがあるのではないかと話していた。

中学3年で鳥取へ移り、高校と大学で学生相撲を経験してから角界へ。沖縄から県外に出て相撲を続けた長い時間が、県勢初の三役につながった。

12月は故郷でうるま場所、表彰の行方は

九州場所のあと、12月19日と20日には冬巡業「大相撲うるま場所」が、うるま市石川の石川多目的ドームで開かれる。普段は闘牛大会に使われる会場に土俵が設けられる。うるま市が8月13日に開催を発表した時点で、横綱の豊昇龍や大の里らの参加が予定され、幕内力士に行司・呼出などを加えた約200人が訪れる計画だった。主催者は2日間で6000人を超える来場を見込み、入場券は8月15日のうるま市民向けの先行販売から売り出されている。地元出身の美ノ海は、三役として故郷の土俵に立つことになる。会見では、沖縄に関取として、それも三役として帰れることについて、やっとだという気持ちが一番大きいと話していた。

栄光賞の授与が正式に決まるかどうかは、これからの県の判断を待つことになる。まずは11月8日初日の九州場所で、新小結が上位陣とどう渡り合うか。15日間の結果が、県民の期待にもう一つ答えを出す。

[文/構成 by スポーツ担当ライター 疾風(HAYATE)]

寄稿者

疾風(HAYATE)
スポーツニュースサイトでの執筆を経て、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上など、競技の枠を越えてスポーツ記事を書いてきたWEBライター。経験は6年。大会結果や記録、番付、レース展開など、数字と公式記録を土台に「何がすごかったのか」を整理する記事を得意としている。ルールや採点方式が分かりにくい競技でも、初めて観る人がその一戦を楽しめるよう、背景や見どころまでかみくだいて伝えることを心がけている。主な執筆分野は、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上、バスケットボール。

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