白鵬翔、国際相撲連盟の会長に就任「私にとって、相撲は人生そのものです」 五輪種目入りを目指す

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
大相撲の元横綱・白鵬翔(41)が、アマチュア相撲の国際統括団体である国際相撲連盟の会長に就任した。連盟が10月16日に発表し、アゼルバイジャンで開いた会議の決議で選ばれたという。前会長はトヨタ自動車会長の豊田章男氏。相撲の五輪種目入りを目標に掲げてきた白鵬が、その実現を担う団体のトップに立った。
白鵬翔が国際相撲連盟の新会長に アゼルバイジャンの会議で選出
国際相撲連盟は10月16日、公式サイトにプレスリリースを掲載し、白鵬翔を会長に選出したと発表した。リリースの発信地はアゼルバイジャンの首都バクーで、同国で開いた会議で決議が採択されたと記している。会議の正式な名称や、白鵬自身の任期は発表文に書かれていない。
連盟は新会長の役割について、相撲の国際的な発展を進め、各国の相撲連盟どうしの協力を深める取り組みを率いると説明した。「新会長のもとで新たな章が始まる」との趣旨も添え、相撲の世界的な広がりと認知の向上に期待を寄せている。
同じ日には、白鵬が代表取締役社長を務める白鵬ダヤン相撲&スポーツ株式会社もプレスリリースを出した。「第69代横綱」の肩書とともに会長就任を報告し、相撲の伝統と文化を大切にしながら国内外での普及と発展に力を尽くすとしている。
就任は大きな大会の直前だった。国際相撲連盟が主催する世界相撲選手権は、10月17日と18日にバクーのバクー・スポーツホールで開かれる。第27回世界相撲選手権に加え、女子、ジュニア、ジュニア女子の各世界選手権を同時に行う大会で、連盟によると30近い国と地域のトップ選手が集まる。白鵬は新会長として、この大舞台を迎える。
所信表明「私にとって、相撲は人生そのものです」
白鵬の言葉は、連盟公式サイトの「会長あいさつ」のページに日本語と英語で掲載された。会見の場での発言ではなく、署名入りの文書として公表したメッセージだ。
冒頭で白鵬は、豊田前会長から「大切なバトンを託していただき」、会長という大役を担うことになったと報告した。続けて、世界の相撲の発展に尽くしてきた豊田氏へ敬意と感謝を表している。
そのうえで記したのが、「私にとって、相撲は人生そのものです。」という一文だった。
相撲から学んだものとして白鵬は、努力すること、相手を敬うこと、感謝すること、困難に立ち向かうことの四つを挙げた。「これからは、私が相撲に恩返しをする番だと思っています」とも書き、受け取ってきたものを返す側に回る決意を示している。
目指す方向もはっきりしていた。伝統と精神、価値観を大切にしながら、世界のより多くの国や地域に相撲の魅力を伝え、子どもたちや若い世代へつなぐ。さらに、世界中の相撲関係者と力を合わせ、国や文化、言葉の違いを越えて「相撲で世界をひとつに」していくことを「私の使命」と位置づけた。英語版では、この一節を「Unite the World Through Sumo」と表している。
メッセージは、豊田氏から託された思いと責任を胸に「相撲の新しい未来をつくってまいります」と結ばれた。署名は「国際相撲連盟・会長 白鵬 翔」。
顧問から約1年1か月で会長へ 豊田章男氏からのバトン
白鵬が国際相撲連盟の役職に就いたのは、2025年9月だった。連盟はこの月、タイのバンコクで開いた会議で役員を改選し、豊田章男氏を新会長に選んだ。同時に顧問の役職を新しく設け、白鵬を任命している。報道によると、2人の任期はいずれも2年だった。
豊田氏はその3か月前、2025年6月に国内のアマチュア相撲を統括する日本相撲連盟の会長にも就いた。白鵬の活動を長く支えてきた人物で、白鵬が退職会見で示した構想も、豊田氏らの後押しを受けて動き出したものだった。
2年の任期で就任した豊田氏から、顧問だった白鵬へ。今回の交代は、豊田氏の就任から約1年1か月後のことだ。豊田氏が会長を退いた理由について、連盟の発表は触れていない。
前回の会議では、2026年秋にバクーで世界選手権を開くことも確認されていた。その開催地での会議が、新体制の出発点になった。
優勝45回の元横綱、協会退職後の歩み
白鵬はモンゴル・ウランバートル出身で、2000年に来日し、宮城野部屋に入門した。2007年に第69代横綱に昇進すると、幕内優勝は史上最多の45回を数え、横綱在位84場所、幕内通算1093勝などの記録を残した。2019年には日本国籍を取得している。
2021年9月に現役を引退し、年寄「間垣」を襲名した。翌2022年に年寄「宮城野」を継ぎ、宮城野部屋の師匠として弟子を育てた。
転機は2025年6月だった。白鵬は6月9日付で日本相撲協会を退職し、同じ日の会見で「世界相撲グランドスラム構想」を打ち出した。アマチュア相撲を世界に広めるための新会社を立ち上げ、日本相撲連盟や国際相撲連盟と協力して相撲の国際化を進めるという内容だった。会社名の白鵬ダヤン相撲&スポーツは、モンゴルを再び統一したダヤン・ハーンに由来する。
構想の土台は、白鵬が2010年から続けてきた子どもの国際大会「白鵬杯」だ。退職後初めてとなった第16回大会は、2026年2月7日と8日に東京都江東区のトヨタアリーナ東京で開かれた。会場を両国国技館から移し、初めて2日間の日程を組んだ大会で、小中学生の女子の部と、高校生以上の男女による成人の部を新しく設けている。
協会を離れてからの活動は、国内の大会運営にとどまらなかった。退職後は海外の相撲関係者との交流を広げ、2025年10月には石川県の観光大使にも任命されている。
五輪種目入りへ 女子と成人の国際大会が鍵
白鵬が繰り返し口にしてきた目標が、相撲の五輪種目入りだ。2025年6月の退職会見では、相撲がオリンピック種目になることを夢見て、一から取り組むと語っていた。
国際相撲連盟には84の国と地域が加盟し、相撲は五輪とは別の国際総合競技大会であるワールドゲームズの競技にも入っている。連盟は公式サイトで、相撲を「五輪への採用に向けて進んでいる」競技だと紹介する。ただ、五輪の競技に採用されるには国際オリンピック委員会(IOC)の決定が必要で、現時点で採用が決まった大会はない。
カギを握るのは女子の競技だ。IOCは採用にあたって男女の公平を重んじており、白鵬杯で女子の部を新設したのもその流れにある。大会最終日の2026年2月8日、白鵬は「女子、成人の部がなければ、五輪競技にはならない」と語り、テニスの四大大会のような大きな大会を目指す考えも示していた。
所信表明に、五輪という言葉は出てこない。それでも、世界の国や地域へ魅力を伝え、子どもと若い世代につなぐという方針は、競技の裾野を広げて五輪へ近づく道筋と重なる。
顧問として支える立場から、連盟の舵取りを担う会長へ。10月17日と18日にバクーで開かれる世界選手権が、白鵬会長にとって最初の国際大会になる。
[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]














































































コメントはこちら