美ノ海が新小結、沖縄県出身で初の三役 うるま市から鳥取城北高・日大を経た経歴

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日本相撲協会は10月26日、大相撲九州場所(11月場所)の番付を発表し、沖縄県うるま市出身の美ノ海(33)=木瀬部屋=が東小結に昇進した。沖縄県出身力士の三役は初めてで、47都道府県で唯一残っていた空白が埋まった。初土俵から63場所での新三役は、学生相撲出身として最も遅い記録となる。
東小結に美ノ海、沖縄から初めての三役
九州場所は11月8日に福岡国際センターで初日を迎え、11月22日に千秋楽となる。日本相撲協会の公式サイトでは、入場券がすでに完売したと案内されている。新しい番付で美ノ海は東の小結に就き、西の小結には7月場所以来の再小結となる義ノ富士が並んだ。関脇は藤ノ川と熱海富士の2人だ。
三役は大関・関脇・小結の地位を指す。沖縄県はこれまで、この地位に一度も力士を送り出していなかった。県出身力士の最高位は、報道によると1973年秋場所に琉王が記録した西前頭筆頭。美ノ海自身も2026年春場所と7月場所の西前頭2枚目が自己最高で、半世紀以上更新されなかった県勢の最高位を越える番付となった。
日本相撲協会の番付トピックスは、新小結の美ノ海について「沖縄県からは初めて」と記した。木瀬部屋からの新三役は2024年1月場所の宇良以来、日本大学出身では7月場所の義ノ富士以来20人目となる。
63場所かかった新三役、33歳5か月は戦後4位
数字を並べると、道のりの長さが見えてくる。
初土俵は2016年3月場所。2018年7月場所で新十両に上がったものの、新入幕は2023年11月場所まで待つことになった。けがの影響もあり、幕内に上がったのは30歳のときだ。
協会の集計では、初土俵から63場所での新三役は学生相撲出身力士として史上1位のスロー昇進となった。2位は嘉風の61場所で、美ノ海はそれを2場所上回る。番付発表時点の年齢33歳5か月も、戦後の新三役で4番目の高齢昇進にあたり、上には潮錦(34歳9か月)、玉乃海(33歳8か月)、琴稲妻(33歳6か月)しかいない。
秋場所を終えた時点の通算成績は393勝368敗1休。幕内では18場所で139勝131敗と、白星が黒星を8つ上回る程度だ。勝ち越しと負け越しを行き来しながら、少しずつ番付を押し上げてきた。
協会の公式プロフィールに載る座右の銘は「七転八起」。相撲界で自分が一番だと思うことを問われた欄には「左前みつ」と答えている。身長176センチ、体重157キロと幕内では小柄な部類で、得意は左四つからの寄り。左で前まわしを取りにいく相撲で、33歳にして三役までたどり着いた。会見では準備運動や足腰の鍛錬として数種類の四股を欠かさないことにも触れ、基礎を積み重ねてきた日々を語っている。
2大関を破って10勝、秋場所で2度目の敢闘賞
昇進を決定づけたのは、9月の秋場所だった。
西前頭3枚目で臨み、5日目に大関琴桜、8日目に大関霧島を破った。13日目には関脇藤ノ川にも土をつけている。一方、7日目に横綱大の里、10日目に大関安青錦に敗れ、14日目の黒星で5敗目となった。
千秋楽は「勝てば敢闘賞」という条件付きの一番だった。相手は、それまで3連敗していた小結大栄翔。大栄翔の持ち味である突き、押しを下からあてがってしのぎ、前に出て押し出しで10勝目を挙げた。10勝5敗で、2025年春場所以来2度目の敢闘賞。前回の受賞は、沖縄県出身力士として初めての敢闘賞だった。
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佐賀の宿舎で会見「目指す場所になれれば」
番付が発表された10月26日、美ノ海は九州場所に向けて木瀬部屋が宿舎を構える佐賀県基山町で会見した。
番付は普段あまり意識していないという。当日の朝は「寝てました。付け人に8時30分に起こされました」と笑わせ、新番付も「今初めて見ました」と明かした。それでも周囲からの連絡は多かったようで、「うれしいですね。朝、たくさん連絡いただいて、三役に昇進した実感は少しずつ湧いてきている」と表情を緩めた。三役については「協会の顔というイメージ」と語っている。
会見では、地元・沖縄への思いも語った。
「少しでも沖縄で相撲をやっている子たちの勇気というか、目指す場所になれれば」。沖縄の文化の中に相撲はまだ根付いていないとしたうえで、そのきっかけになりたいという思いも口にした。
遅咲きの昇進については「本当に地道に地道にですけど、コツコツやってきたことが少しずつ結果につながっているのかな」と受け止める。九州場所の目標には勝ち越しを掲げ、「結果で恩返しをするのが一番。九州場所は一年最後の場所ということもあるので、全力で一生懸命、いつも通り頑張りたい」と話した。
うるま市から鳥取へ、鳥取城北高等学校と日本大学を経て
美ノ海は本名を木崎信志といい、1993年5月6日生まれの33歳。沖縄県うるま市の出身だ。協会のプロフィールによると、相撲を始めたのは5歳だった。
地元のうるま市立具志川中学校、鳥取市立西中学校を経て、相撲部の強豪校、鳥取城北高等学校へ進んだ。
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高校卒業後は日本大学に進み、相撲部で学生相撲の舞台に立った。大学を経て木瀬部屋に入門し、2016年3月場所で初土俵を踏む。序二段、三段目、幕下では各段優勝も経験した。
前相撲から番付を一つずつ上げ、十両と幕内でも足踏みを重ねた。63場所という数字には、その時間がそのまま刻まれている。
12月はうるま場所、三役として故郷へ
九州場所のあと、12月19日と20日には冬巡業「大相撲うるま場所」がうるま市の石川多目的ドームで開かれる。普段は闘牛大会に使われる会場が、大相撲の土俵になる。8月の開催発表では横綱の豊昇龍と大の里も参加予定とされ、幕内力士に呼出や行司などを加えた約200人が参加する見込みだ。主催者は2日間で6000人を超える来場を見込んでおり、入場券は8月に、うるま市民向けの先行販売から売り出された。地元出身の美ノ海が故郷の土俵に立つ。
うるま市では美ノ海の名を冠した大会も開かれており、市相撲連盟の普天間隆理事長は8月の段階で、九州場所で勝ち越して沖縄へ帰り、地元を盛り上げてほしいと期待を寄せていた。美ノ海も会見で、12月の巡業に三役として帰れることへの思いを語った。
まずは11月8日初日の九州場所。新小結として迎える15日間で、上位との対戦が続く。小柄な技巧派が三役の地位で勝ち越せば、沖縄の相撲の歴史にもう一つ記録が加わる。
[文/構成 by スポーツ担当ライター 疾風(HAYATE)]








































































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