MEDIA DOGS

新着記事

朝乃山、地元・富山の秋巡業で「三役に戻るという目標もある」 射水市の会場で恩師の長男・鶴英山に胸を出す

朝乃山、地元・富山の秋巡業で「三役に戻るという目標もある」 射水市の会場で恩師の長男・鶴英山に胸を出す

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

大相撲の秋巡業が10月11日、富山県射水市のアルビス小杉総合体育センターで開かれ、富山市出身の元大関・朝乃山(32)=高砂部屋=が地元のファンの前に立った。朝稽古では、富山商業高校相撲部時代の恩師で2017年に亡くなった浦山英樹監督の長男、幕下・鶴英山=音羽山部屋=に約6分間胸を出した。秋場所で10勝を挙げた朝乃山は、九州場所に向けて「三役に戻るという目標もある」と口にした。

射水の土俵で、恩師の長男に6分間のぶつかり稽古

射水場所は午前9時の開場と同時に公開稽古が始まり、幕下以下の取組や髪結いの実演、初切、相撲甚句、太鼓の打ち分けを挟んで、午後1時からの幕内・横綱土俵入りと幕内の取組へと進む一日の興行だった。会場は射水市戸破の市の体育施設で、巡業の打ち出しは午後2時半ごろの予定と案内されていた。

朝乃山はこの日、相撲を取る稽古には加わらず、土俵下で基礎運動を中心に体を動かした。見せ場は幕下以下のぶつかり稽古でやってくる。胸を出した相手は、同じ富山市出身の鶴英山だった。ご当所力士として巡業に特別参加した後輩は砂まみれになり、ふらふらになりながら当たり続ける。朝乃山は必死に叱咤し、館内は大きく沸いた。時間にして約6分間。

稽古を終えた鶴英山は「何とか最後までやりきれた。たくさん声援をいただいて、ありがたいです」と話した。

朝乃山は公開稽古の後も、地元の子どもたちに胸を出した。「力士を目指す富山の子供がたくさん増えてほしい」。ふるさとの土俵で、次の世代への思いも込めた一日になった。

地元の声援に「富山県民は一番大きな存在」

元大関への声援は、この日も館内でいちばん大きかった。観客は「朝乃山」と書かれたタオルを掲げて土俵に上がる姿を迎え、握手会でもファンと次々に手を交わす。朝乃山は元大関の高安=田子ノ浦部屋=とのぶつかり稽古や髪結いの実演、ちびっこ相撲にも顔を出し、会場を盛り上げた。

「いつも大きな声援を送ってくれる富山県民は一番大きな存在かもしれない」。朝乃山はそう語り、「今日もたくさん声援と拍手をいただいた。これを力に来場所も頑張りたい」とも話した。富山県内の巡業に参加したのは、2026年の春巡業以来となる。

前日に富山入りした夜は、高校時代から親しむ富山名物のブラックラーメンの人気店に足を運んだ。「何年かぶりに食べて、おいしかった」と笑顔を見せている。

ふるさとへの思いは、土俵の外でも形になった。夏巡業中の8月下旬、母の実家がある氷見市が豪雨災害に見舞われる。朝乃山は秋場所の後に氷見市を訪れ、義援金を寄付した。「何か出来ることといえば、白星やいい相撲を取って勇気と元気を届けるしかない」と話している。

「三役に戻るという目標もある」秋場所10勝からの九州場所

朝乃山は9月の秋場所を東前頭6枚目で迎え、10勝5敗の成績を残した。13日目に10勝目を挙げ、先頭を走る横綱・大の里を1差で追ったが、14日目に関脇・藤ノ川の突き落としに屈して4敗目。千秋楽は義ノ富士に寄り倒され、勝てば手にできた敢闘賞も逃した。

関連記事:秋場所の三賞、敢闘賞は藤ノ川と美ノ海 殊勲賞・技能賞は該当者なし、高安・朝乃山は受賞ならず

それでも、再び幕内に戻った2026年初場所から5場所目で初めての2桁勝利だった。九州場所(11月8日初日・福岡国際センター)は幕内上位、横綱や大関と総当たりになる番付で迎える見込みだ。

射水の会場で、朝乃山は秋場所をこう語っている。「いい成績でしたけど、あと1、2番は勝ちたかった。また稽古に精進して、今年最後の場所で勝ち越し以上を目指して頑張りたい。三役に戻るという目標もある」

三役復帰への思いを問われると「ひとつの目標であるし、(九州は)チャンスだと思っています。いい場所にしていい年を迎えたい」と答えた。目指す地位は、一度は手が届いた場所でもある。

恩師・浦山英樹監督から受け継いだ「英樹」の名

朝乃山と鶴英山をつなぐのは、富山県立富山商業高等学校相撲部の浦山英樹監督だ。富山市立呉羽中学校に通っていた朝乃山に富山商業高校への進学を勧めたのも浦山監督で、高校で厳しい指導を受けた。

浦山監督は2017年1月21日、40歳で亡くなった。近畿大学を経て高砂部屋に入った朝乃山が、初場所で幕下優勝を決めた日だった。新十両昇進が決まった際、朝乃山は四股名の下の名を恩師にちなんで「英樹」とし、「浦山先生は決して褒める先生じゃなかった。稽古に励みたいと思う」と語った。富山県出身の関取は、1997年に元関脇・琴ケ梅が引退して以来、20年ぶりだった。その後、2022年の復帰を機に下の名を本名の「広暉」へ改めている。

その恩師の長男が鶴英山だ。富山市出身で、富山商業高校から近畿大学に進み、音羽山部屋に入門した。2025年夏場所に幕下最下位格付け出しでデビューし、同年6月末に本名の浦山から鶴英山へしこ名を改めている。膝のけがで2場所を休み、2025年九州場所は西序二段12枚目から出直して7連勝。9月の秋場所は東幕下31枚目で、初日から4連敗した後に3勝4敗まで持ち直した。

富山商業高校、近畿大学と同じ道を歩んできた後輩に、元大関が胸を出す。ふるさとの観客は、その6分間を見守った。

大関から三段目へ、そして再び上位へ

朝乃山の歩みは、浮き沈みの大きさでも知られる。近大から2016年春場所に三段目付け出しで初土俵を踏み、2019年夏場所で幕内初優勝。2020年春場所後に大関へ昇進した。だが2021年、新型コロナウイルスの対策ガイドラインに反する行動が明らかになり、6場所の出場停止処分を受ける。番付は三段目まで下がった。

2022年名古屋場所で土俵に戻ってからは、幕内まで番付を上げ、2024年夏場所には東小結まで戻した。ところが右膝のけがでこの場所を全休し、続く名古屋場所では左膝に大けがを負って手術を受ける。休場が続いて番付は再び大きく下がり、2025年春場所は三段目からの再出発となった。

そこから十両、幕内へと戻り、秋場所の10勝で上位の土俵に手をかけた。地元の声援を背に語った「三役に戻る」という言葉には、遠回りの年月が詰まっている。

九州場所へ、富山の2人がそれぞれの目標

鶴英山も九州場所に向けて「先場所は4連敗してしまった。全勝する気持ちで、場所前からしっかり稽古して挑戦したい」と意気込んだ。秋巡業は翌10月12日の金沢場所へと続く。

朝乃山にとって2026年最後の本場所となる九州場所は、11月8日に初日を迎える。番付は場所前に発表される予定だ。恩師の長男に胸を出した射水での6分間と、ふるさとから受けた声援を力に、元大関は次の場所へ向かう。

[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]

寄稿者

疾風(HAYATE)
スポーツニュースサイトでの執筆を経て、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上など、競技の枠を越えてスポーツ記事を書いてきたWEBライター。経験は6年。大会結果や記録、番付、レース展開など、数字と公式記録を土台に「何がすごかったのか」を整理する記事を得意としている。ルールや採点方式が分かりにくい競技でも、初めて観る人がその一戦を楽しめるよう、背景や見どころまでかみくだいて伝えることを心がけている。主な執筆分野は、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上、バスケットボール。

コメントはこちら

*
*
* (公開されません)

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

エンタメ

More

スポーツ

More

ライフハック/実用

More

グルメ

トーキョー・オリジナルス「さくら手づくり最中」の個箱と、さくら形の皮・つぶあんの小袋

榮太樓「さくら手づくり最中」を実食レビュー!皮とつぶあんが別々で、サクッからのな...

榮太樓總本鋪が販売する、トーキョー・オリジナルスの「さくら手づくり最中」を実食レビュー。さくら形の皮とつぶあんが別々に入った5個入り(2,376円)で、1個95kcal。サクッからのなめらかな食感や後味、サイズ感を写真付きで紹介します。
More

社会/ニュース

More

ファッション/ビューティー

More
Return Top