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炎鵬、地元の金沢巡業に関取として参加 横綱・豊昇龍の胸を借り「幕内しかないですよね」

炎鵬、地元の金沢巡業に関取として参加 横綱・豊昇龍の胸を借り「幕内しかないですよね」

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大相撲の秋巡業「金沢場所」がきのう12日、石川県金沢市で開かれ、金沢市出身の十両・炎鵬(31)=伊勢ケ浜=が関取として地元の土俵に立った。ぶつかり稽古では横綱・豊昇龍の胸を借り、約5900人の声援を浴びる。次に金沢へ来るときの番付を問われると「幕内しかないですよね」と答え、幕内での凱旋を誓った。

豊昇龍の胸を借り、館内の声援で押し切る

金沢場所は北國新聞社の主催で、きのう12日に金沢市内で行われた。来場者は約5900人。大の里の凱旋に沸いたこの日、もう一人の主役が炎鵬だった。

公開稽古では、幕内の宇良や平戸海らと申し合いで相撲を取り、番数を重ねた。続くぶつかり稽古で胸を出したのは、横綱・豊昇龍=立浪=だった。スポーツニッポンによると、腰を落として壁となった横綱をなかなか押し切れなかったが、館内の大声援に後押しされ、最後は押し切ったという。

土俵入りでは、金沢土産として知られる菓子「ビーバー」をあしらった化粧まわしを締めて歓声を浴びた。中日スポーツが伝えている。白まわしと締め込みで土俵に上がるのは関取の証し。幕下時代の特別参加とは違う姿で、故郷のファンの前に立った。

稽古のあとは地元の子どもたちと触れ合った。ちびっこ相撲では輝(七尾市出身、高田川部屋)とともに子どもに胸を出し、握手会や髪結いの実演にも登場する。北國新聞によると、金沢市立西南部中学校の同級生である炎鵬と輝の「同級生対決」も組まれ、この日の盛り上がりは最高潮に達した。

「幕内しかないですよね」に込めた決意

金沢市は高校や大学の全国大会が開かれる相撲どころで、巡業も毎年のように行われている。来年の金沢巡業にはどの番付で戻ってきたいか。中日スポーツの取材に、炎鵬はこう答え、一瞬だけ笑顔を見せてから表情を引き締めた。

「幕内しかないですよね」

続けて「1つでも多く白星を挙げ、しっかり戻ってこられるように頑張りたいと思います」と言葉をつないでいる。

関取として戻った故郷への思いは、取材した各紙にそれぞれの言葉で語った。スポーツニッポンには、こう明かしている。

「関取として戻ってきて本当に良かったのが一番。(中略)ここが生まれ育った場所で原点もあるし、一番力になる」

北國新聞には「ありがとうの一言に尽きる」と感慨を口にし、スポーツ報知には「たくさんの方からたくさんの声をいただいて、本当にありがたいなという一言です」と話している。

脊髄損傷、序ノ口からの再出発

ここまでの道のりは平たんではなかった。

炎鵬は2023年5月の夏場所で脊髄損傷の大けがを負い、7場所連続で休場した。番付は下がり続け、2024年名古屋場所で再起したときには、番付の最下位にあたる序ノ口まで落ちていた。そこから一歩ずつ番付を戻し、2026年の夏場所で十両に復帰する。幕内経験のある関取が序ノ口まで降下したあと十両に戻ったのは史上初とされる。

地元の巡業には、関取に戻る前から姿を見せていた。中日スポーツによると、幕下だった昨年4月には石川県七尾市での巡業に特別参加し、大けがを乗り越えた姿を披露している。今回は関取としての参加。白まわしで地元の土俵に立つことは、再起を支えてきた故郷のファンへの何よりの報告になった。

一方、9月の秋場所は東十両9枚目で7勝8敗と負け越した。秋巡業が始まった6日には「もっと自分の中で変えないといけないところ、身に付けないといけないところがある」と反省を口にしている。

小兵として大きな相手に挑んできた炎鵬の相撲は、『報道写真集 炎鵬 ―燃える小兵―』で振り返ることができる。

編集:北國新聞社出版局
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首を守る「マイ枕」と同級生・輝

30代に入り、体との向き合い方も変わった。中日スポーツによると、巡業には首への負担を考えて自分の枕を持参している。

「マイ枕を持ってきました。今までは気にしなくて」

今回は約3年ぶりに巡業へフル参加している。長いバス移動が続く日程を乗り切るための工夫だ。

同じ十両には、中学時代からの友人もいる。輝とは金沢市立西南部中学校の同級生で、ともに石川の郷土力士として土俵に立つ。7月の名古屋場所では2人が十両の東西11枚目に並び、6日目の本割で対戦して輝が押し倒しで勝った。9月の秋場所でも10日目に顔を合わせ、初日から白星を重ねていた輝が再び勝っている。本場所では白星を争う2人が、地元の巡業ではそろって子どもたちに胸を出した。

同じ金沢場所では、石川県河北郡津幡町出身の横綱・大の里も1年ぶりの優勝を手に凱旋している。

関連記事:大の里、金沢巡業で地元に凱旋 約5900人の前で「久々に優勝して帰ってきて良かったです」

13日はかほく市、11月の九州場所へ

秋巡業はきょう13日、同じ石川県のかほく市で開かれる。石川での巡業が2日続く日程だ。

九州場所の番付発表は10月26日、初日は11月8日で、会場は福岡国際センター。秋場所で負け越した炎鵬がどの位置に置かれるかは、番付発表を待つことになる。

小さな体で大きな相手を投げてきた31歳が、脊髄損傷から序ノ口を経て関取に戻ってきた。「1つでも多く白星を」。故郷で口にした目標の先に、幕内での金沢凱旋がある。

[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]

寄稿者

疾風(HAYATE)
スポーツニュースサイトでの執筆を経て、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上など、競技の枠を越えてスポーツ記事を書いてきたWEBライター。経験は6年。大会結果や記録、番付、レース展開など、数字と公式記録を土台に「何がすごかったのか」を整理する記事を得意としている。ルールや採点方式が分かりにくい競技でも、初めて観る人がその一戦を楽しめるよう、背景や見どころまでかみくだいて伝えることを心がけている。主な執筆分野は、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上、バスケットボール。

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