高山場所、岐阜県高山市で9年ぶりに開催 横綱の大の里と豊昇龍がぶつかり稽古、会場は飛騨高山ビッグアリーナ

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
大相撲の秋巡業「高山場所」が10月14日、岐阜県高山市の飛騨高山ビッグアリーナで開かれた。高山市での巡業は2017年10月以来、9年ぶり。およそ3600人が詰めかけ、横綱の大の里と豊昇龍によるぶつかり稽古に、ひときわ大きな声援が飛んだ。
9年ぶりの高山場所、開場直後から多くの人
会場の飛騨高山ビッグアリーナ(高山市中山町600)は、午前9時の開場とともに多くの人でにぎわった。大相撲の巡業が高山市にやって来るのは9年ぶりで、来場者はおよそ3600人に上った。平日の水曜日の開催だった。
開場から1時間は、力士4人との記念握手会。愛知県出身の藤凌駕らがファンと手を握った。同じ時間帯に土俵では公開稽古が始まり、11時までの2時間、力士たちが稽古する姿を間近で見られた。
午前の目玉は、横綱同士のぶつかり稽古だった。片方が胸を出し、もう片方が全力でぶつかって押し込む稽古で、本場所の土俵では見られない光景。大の里と豊昇龍の2人が向き合うと、会場の声援は一段と大きくなった。
午前の最後は、子どもたちが力士に挑む「関取と子供の稽古」。大きな力士に子どもたちが向かっていくと、会場は和やかな空気に包まれた。
横綱2人がそろった秋巡業、それぞれの事情
2人の横綱が並んで稽古をする姿は、ファンにとって待ちわびた光景だった。豊昇龍は名古屋場所中に右膝を悪化させ、7月下旬に手術を受けている。9月の秋場所は全休し、10月6日に茨城県つくば市で始まった秋巡業も初日から休場していた。
合流は10月10日の長野県松本市から。8日の検査で医師の許可が出て、春巡業以来の巡業参加となった。松本では取組に入らず、四股を入念に踏んだうえで大の里に胸を出し、自らもぶつかって汗を流した。「懐かしいな。温かく受け入れて、自分のことを待ってくれてありがたい」と頬を緩めた。稽古については「やるべきことをやっただけ。いい状態かはまだ分からないけど、少しずつ分かっていくと思う」と話し、手術後に15キロ落ちた体重も150キロ近くまで戻したと明かしている。
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一方の大の里は、9月の秋場所で安青錦との直接対決を制し、6場所ぶり6回目の優勝を飾ったばかり。左肩の痛みを乗り越えての賜杯だった。高山場所の前日まで、10月11日の富山県射水市から金沢市、かほく市と北陸で3日間の巡業が続き、出身地の石川県津幡町に近い会場で大歓声を浴び、友人や親戚も駆けつけた。「地元の応援が一番力になる」と感謝を口にしている。
13日のかほく市では横綱土俵入りを披露し、ぶつかり稽古では寿之富士と豊昇龍に胸を出した。10日の松本とは攻守が入れ替わった格好になる。「優勝して、巡業に参加するというのは全然違う」と語り、北陸での3日間をかみしめた大の里。その翌日に移ってきたのが、飛騨の高山だった。
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会場は飛騨高山ビッグアリーナ、前回は2017年10月17日
会場の飛騨高山ビッグアリーナは、高山市の総合体育館だ。メインアリーナは50メートル×44メートルの広さがあり、サブアリーナや武道場、弓道場、高さ12メートルのクライミングウォールも備える。一般財団法人高山市スポーツ協会が管理し、ふだんは市民のスポーツの拠点として使われている。
前回の高山での巡業も、同じこの体育館だった。日本相撲協会の記録では、平成29年(2017年)の秋巡業で10月17日に高山市を訪れている。その年の秋巡業は10月14日の金沢市、15日の京都市に続いて高山へ入り、翌日は三重県津市へ移った。
それから9年。高山市に巡業が戻るまでの間に、角界の顔ぶれは大きく入れ替わった。2017年の時点では、豊昇龍も大の里もまだ初土俵を踏む前だった。その2人が、横綱として同じ会場の土俵に立った。
市制施行90周年と商工会議所80周年を祝う記念場所
高山場所は、高山市の市制施行90周年と高山商工会議所の創立80周年を記念する事業として開かれた。高山市は1936年11月に市制を敷いており、2026年が節目の年にあたる。主催は大相撲高山場所実行委員会で、高山市と高山商工会議所が特別協力、高山市教育委員会や高山市スポーツ協会などが後援に名を連ねた。
高山市が5月7日に出した開催案内によると、9月場所の番付による幕内力士を含む、総勢約200人の相撲団が高山に集まる計画だった。チケット販売では、高山市民向けの優先オンライン予約と、ビッグアリーナでの窓口販売をプレイガイドより先に設けている。地元の人がまず席を手にできるよう配慮した売り方で、記念事業らしい工夫が見える。
席の種類は、土俵際のタマリS席(1万7000円)とタマリA席(1万5000円)に記念座布団が付き、アリーナいす席が1万2000円、スタンド席が7000円。当日券も朝8時30分から会場入口で売り出された。
当日の流れも、巡業ならではの内容がそろった。11時30分から幕下以下の取組が始まり、相撲の禁じ手を面白おかしく見せる「初切(しょっきり)」、力士が土俵上で歌う「相撲甚句」、太鼓打分けを披露。13時10分からは幕内と横綱の土俵入りに続いて記念セレモニーと抽選の当選者発表があり、13時30分に幕内の取組が始まった。弓取り式で打ち出しとなる予定は14時30分ごろ。来場者のうち20人には、力士の直筆サインや相撲土産が当たる抽選も用意されていた。
秋巡業は10月25日まで、九州場所は11月8日初日
秋巡業は10月6日のつくば市から25日の山口県宇部市まで、全19会場を回る日程だ。高山市は9会場目にあたり、日程の折り返しを目前にした会場だった。翌15日は滋賀県長浜市の県民共済ドーム長浜に移り、京都市、大阪市、兵庫県姫路市、明石市と西へ進む。21日からは岡山県で3日続けて開かれ、広島市を経て宇部市で締めくくる。
巡業が終われば、次は本場所。九州場所は11月8日に福岡国際センターで初日を迎える。豊昇龍にとっては、右膝の手術から復帰をかける場所になる。「あんまり無理しないようにな」と医師から声をかけられていることも10日の松本で明かしており、巡業の残り日程で体の状態を確かめながら調整を続ける。
大の里は、東京で開かれる秋場所を3連覇中だが、九州場所ではまだ優勝がない。2024年の秋巡業では体調を崩し、九州場所は9勝に終わった。13日のかほくでは「一昨年は痛い目を見た。気温の変化もあるので体調管理が一番大事」と話し、近く相撲を取る稽古を再開する考えも示している。
高山の土俵で胸を合わせた2人の横綱は、およそ3週間半後の九州場所に向けて、巡業で調整を続ける。9年ぶりに巡業を迎えた飛騨の人たちが見届けた稽古が、どんな結果につながるか。
[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]








































































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