槙野智章監督、藤枝0-4完敗に「本来なら、足を運んでくださった方々にチケット代をお返ししなければいけない」

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
明治安田J2リーグ第16節が11月7日にあり、藤枝MYFCは敵地のニッパツ三ツ沢球技場で横浜FCに0-4で敗れた。今季最多の4失点で、リーグ戦は12試合続けて勝ちがない。出場停止明けで3試合ぶりにベンチへ戻った槙野智章監督(39)は試合後、試合をあきらめた選手がいたと指摘し、本来なら来場した人たちにチケット代を返さなければいけないほどの内容だったと、サポーターへの謝罪を口にした。
前半34分の転倒から失点、後半に3点を奪われる
試合は14時3分にキックオフされた。秋晴れの三ツ沢には8,593人が集まり、両チームとも前節から中3日で臨んだ一戦だった。
前半は攻守が入れ替わる時間が続いた。均衡が崩れたのは34分。GK吉田舜のゴールキックを受けたDF楠本卓海が、相手に寄せられてボールに乗るように転倒し、自陣のペナルティーエリア内でボールを失う。拾ったFWジョアン・パウロの折り返しを、FW島村拓弥が流し込んだ。
藤枝も黙ってはいなかった。前半終了間際にはMF上畑佑平士がミドルシュートを放ち、後半の立ち上がりにもセットプレーから決定機をつくったが、いずれも横浜FCのGK市川暉記に止められた。
流れが決まったのは73分だった。抜け出した島村のマイナスのクロスをFW千葉寛汰が決めて2点差とされると、その3分後にジョアン・パウロ、追加タイムの90+6分にはMF山田康太にもゴールを許した。73分と76分の連続失点で点差は3点に広がり、藤枝は最後まで1点も返せなかった。
勝った横浜FCは今季初の3連勝で2位に浮上した。率いる須藤大輔監督は、2021年から2025年まで藤枝を指揮し、クラブを初のJ2昇格へ導いた前任の監督だ。
「チケット代」に込めた謝罪、会見で語った中身
試合直後のDAZNのフラッシュインタビューで、槙野監督は「いただけない失点がたくさんありました」と振り返った。良い時間帯に点を取れなかったことを大きな課題に挙げ、失点の後の崩れ方も自分たちらしくなかったと続けている。
踏み込んだのは、その後の記者会見だった。槙野監督は2点目を失ってからの戦いぶりについて、ロッカールームでも話したとして、試合をあきらめた選手がいたと指摘する。そういう姿勢は好きではないとはっきり述べ、選手以上にサポーターが最後まで戦っていたと語った。
試合後、藤枝のゴール裏では涙を流すサポーターの姿があった。槙野監督はゴール裏へ向かってサポーターと言葉を交わしており、会見では心の底から申し訳ないと思っていると話した。前の試合では泣く選手が多かったのに、この日は涙を流す選手も、最後まで汗をかく選手もいなかったという。汗をかいて戦っていたのはサポーターの方で、それが恥ずかしいと話した。
そのうえで出たのが、チケット代の話だった。槙野監督は「本来なら、足を運んでくださった方々にチケット代をお返ししなければいけない。それくらい申し訳ない気持ちです」と語り、監督として受け入れられない光景だったと続けた。
選手の側からも、同じ受け止めがあった。この日キャプテンマークを巻いたMF松木駿之介は、横浜FCのジュニアユースに所属した経験があり、須藤監督の前で成長した姿を見せたかったという。前半に自分の決定機を決め切れなかったことに責任を感じていると話し、失点の後に下を向いてしまったことはサポーターに本当に申し訳なく、恥ずかしい試合になったと語った。
槙野監督は、選手だけを責めたわけでもなかった。良いサッカーができているからいずれ勝てるだろう、という考えがチームにあるのかもしれないとし、その考えは自分にもあると認めた。そのうえで、休んで体を回復させるだけでは解決しないとして、勝てない原因を突き詰める必要があると話した。
開幕3勝1敗から12戦勝ちなし、下位に沈む
藤枝の今季は好調な滑り出しだった。8月に開幕した明治安田J2リーグで、最初の4試合を3勝1敗とした。
ところが、第5節のヴァンラーレ八戸戦を0-0で引き分けたところから、白星が遠のく。引き分けが続き、11月3日の第15節・ジュビロ磐田戦は終盤までリードしながら追いつかれ、1-2で逆転負けした。この横浜FC戦の敗戦は、今季初の連敗でもある。
11月7日の試合を終えた時点のJリーグ公式の順位表(第16節は11月8日にも試合が残る)で、藤枝は3勝7分6敗の勝点16、20チーム中16位にいる。12試合勝ちなしの内訳は7分5敗。引き分けの多さが、勝ち切れない試合の多さを表している。
槙野監督は浦和レッズやヴィッセル神戸などでプレーし、2018年のワールドカップ・ロシア大会にも出場した元日本代表DFだ。現役引退後の2023年から品川CCを指導し、2025年12月12日に藤枝の監督就任が発表された。Jリーグのクラブで監督を務めるのは藤枝が初めてになる。2026年前半の明治安田J2・J3百年構想リーグから、続けてチームを率いている。
誤審騒動と処分、3試合ぶりの復帰戦
槙野監督がベンチに戻るのは、10月24日の第13節・徳島ヴォルティス戦以来だった。この試合の後半、藤枝のFW川本梨誉が浮かせたボールが徳島DFの腕に当たったが、ハンドの反則は取られなかった。藤枝は0-1で敗れ、槙野監督は試合後のインタビューでJ2の審判のレベルを強く批判した。
日本サッカー協会(JFA)の審判委員会は10月29日、この場面の正しい判定はハンドだったと誤審を認めた。一方でJリーグは同じ日、槙野監督の試合後の発言を審判員への不適切な発言と判断し、2試合のベンチ入り停止と罰金10万円を科している。
関連記事:JFA審判委員長、J2藤枝-徳島のハンド見逃しで誤審認める「正しい判定を導き出すことができなかった」
藤枝は槙野監督を欠いた10月31日のブラウブリッツ秋田戦を引き分け、続く磐田戦で敗れた。復帰戦となった横浜FC戦の取材では、槙野監督は審判批判について言い過ぎた部分もあったと反省を口にしている。そのうえで、VARが導入されていないJ2で、判定に迷ったときに副審や第4審判と確認する時間を増やすなど、判定を支える仕組みを求めた。
次節はホームで甲府と対戦
藤枝の次の試合は11月14日14時、ホームの藤枝総合運動公園サッカー場で迎える第17節・ヴァンフォーレ甲府戦だ。甲府は11月7日終了時点の順位表で20位と、最下位に沈んでいる。
試合の翌日は休みになる。槙野監督はフラッシュインタビューで、この日のような試合はいったん忘れなければいけないと話し、心の回復をしっかりさせる必要があると強調した。
21日にもホームでFC今治戦が控える。槙野監督が「チケット代」の話までして求めたのは、最後まであきらめない戦いだ。13試合ぶりの白星を、ホームのサポーターの前で挙げられるかが問われる。
[文/構成 by スポーツ担当ライター Mika]

















































































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