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JFA審判委員長、J2藤枝-徳島のハンド見逃しで誤審認める「正しい判定を導き出すことができなかった」

JFA審判委員長、J2藤枝-徳島のハンド見逃しで誤審認める「正しい判定を導き出すことができなかった」

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日本サッカー協会(JFA)審判委員会の扇谷健司委員長が10月29日、東京都内で開かれたメディアブリーフィングで、10月24日のJ2第13節・藤枝MYFC対徳島ヴォルティスの後半に起きたノーハンドの判定について、正しい判定はハンドだったとの見解を示した。藤枝の槙野智章監督が試合中から抗議を続けた場面で、審判側が判定の誤りを認めた。同じ日、Jリーグは槙野監督に2試合のベンチ入り停止と罰金10万円の処分を科している。

扇谷委員長「審判員は正しい判定を導き出すことができなかった」

ブリーフィングはJリーグとJFAが「レフェリング環境向上に向けた取り組みについて」と題して開いた。JFA審判委員会の扇谷委員長と、Jリーグの窪田慎二執行役員が出席した。

扇谷委員長は藤枝-徳島戦の場面について、正しい判定はハンドだったと考えていると説明した。そのうえで「残念ながら審判員は正しい判定を導き出すことができなかった」と述べ、これがJFAとしての見解だと明らかにした。ハンドの反則が取られていれば、藤枝にPKが与えられる場面である。

試合から5日後のブリーフィングには理由があった。報道によると、Jリーグ側は、槙野監督の試合後の映像がSNSで拡散され、審判を中傷する書き込みも見られたことを、開催の経緯として挙げている。

後半23分、川本梨誉のボールが田中隼人の左腕に

試合は10月24日14時、藤枝のホーム、藤枝総合運動公園サッカー場でキックオフされた。雨の中、入場者数は3,483人。前半28分に徳島のDF高木友也がミドルシュートを決め、これが決勝点となった。

問題の場面は後半23分(68分)に訪れる。藤枝のFW川本梨誉がペナルティーエリア内でボールを受け、相手をかわそうとボールを浮かせた。そのボールが、60分から途中出場していた徳島のDF田中隼人の左腕に当たった。主審の俵元希氏はハンドの反則を取らず、プレーを続けさせた。

川本と田中の攻防は、この場面が初めてではなかった。4分前の64分にも、川本は右サイドからドリブルでペナルティーエリアへ入り、左足で枠内へシュートを放ったが、田中にブロックされている。川本は78分に松木駿之介と交代し、藤枝は最後まで同点ゴールを奪えなかった。

藤枝のベンチは猛然と抗議し、槙野監督にはイエローカードが出た。J2のリーグ戦にはVARが導入されておらず、映像で判定を見直す手段はない。試合はそのまま0-1で終わり、得をしたのは1点のリードを守り切った徳島、PKの機会を失ったのは藤枝だった。

試合後のDAZNのフラッシュインタビューで、槙野監督は判定への不満をはっきり口にした。J2の審判のレベルが低いと強い言葉で批判し、「J2のレフェリーのレベルを上げないと」と改善を求めた。この映像が試合後に大きく拡散された。

槙野監督は浦和レッズなどでプレーした元日本代表DFで、2025年12月に藤枝の新監督就任が発表された。2026年前半の明治安田J2・J3百年構想リーグから、続けてチームを率いている。

誤った審判に「処分」はなく、評価の積み重ねで判断

判定を誤った審判員はどうなるのか。扇谷委員長はブリーフィングで、この点にも触れた。

扇谷委員長は、こうした場面で審判員には何もないのかとよく聞かれると前置きしたうえで、1つの判定の誤りだけで処分を科すことはないと説明した。審判委員会は「処分」という言葉を使わず、指導として対応するという。J1からJ3まで、各試合にはアセッサーと呼ばれる評価者が付き、審判員のジャッジを毎試合評価している。扇谷委員長は、その評価が積み重なり、同じような判定が続けば、次のシーズンに下のカテゴリーへ移ってもらうこともあると語った。

ミスをなくす方法についても、扇谷委員長の答えは率直だった。どのレベルの審判でも現実にはミスをするとし、これをやれば必ずミスがなくなるという方法について、今の自分にはそういった知識はない、という趣旨を語っている。

J2・J3の審判員には、別に仕事を持ちながら笛を吹く人が多い。扇谷委員長は、研修の機会をどう確保するかが課題だと話し、リモートなどで研修を行っているものの、それだけでは難しい面があるとした。VARを入れればすべて解決するわけではなく、審判員1人1人の質を上げる支援を積み重ねるしかない、という考えも示している。

一方、J1の主審は全員がプロフェッショナルレフェリーで、プロの審判員は29人いる。元選手が選手の目線を審判員に伝える「マッチクオリティアセッサー(MQA)」の制度も本格的に動き始めた。

関連記事:ベネズエラ戦のPK判定変更、佐藤隆治審判マネジャーがVAR介入を解説 2つの場面の間は13秒

J2へのVAR導入は年6〜7億円の見込み

J2にもVARを入れられないのか。窪田執行役員は、費用、スタジアムの設備、審判員の確保の3つが壁になっていると説明した。

導入にかかる費用は、年間で最低でも総額6〜7億円の見込みだという。VARを担当できる資格を持つ審判員を増やす必要があり、その分だけピッチに立つ審判員が足りなくなる。J1ではVARに中継カメラ約12台の映像を使っているが、J2で用意できるのは現状3〜4台程度。VARとAVAR(VARの補助役)を務められる有資格者も足りていない。J3の審判の割り当てにも響くため、審判員全体の数を増やさなければならない。

通常より簡易な「VARライト」や、監督が映像の確認を求める「フットボールビデオサポート(FVS)」も検証しているものの、窪田執行役員は、いずれもまだ実現には至っていないと話した。

槙野監督は2試合ベンチ外、藤枝は9戦勝ちなし

判定の誤りは認められたが、槙野監督の発言は別に扱われた。Jリーグの規律委員会は10月29日、試合後の発言を審判員への不適切な発言と認定し、2試合のベンチ入り停止と罰金10万円を科した。処分は審判委員会とは独立した規律委員会の判断で、試合中に異議で警告を受けていたことも考慮された。

槙野監督が指揮を執れないのは、10月31日の第14節・ブラウブリッツ秋田戦(ソユースタジアム)と、11月3日のジュビロ磐田戦の2試合。報道によると、この間は太田吉彰ヘッドコーチが代わりに指揮を執る。

チームの状況は苦しい。第13節を終えた時点(Jリーグ公式の順位表、10月25日更新)で、藤枝は3勝6分4敗の勝点15で20チーム中15位。この敗戦で9試合勝ちなしとなった。勝った徳島は5試合ぶりの白星で、5勝2分6敗の勝点17、11位につけている。

判定は覆らず、勝点も戻らない。それでも審判委員会が誤りを認めたことで、藤枝の抗議には一定の答えが出た。秋田戦からの2試合、槙野監督を欠く藤枝が9試合続く勝ちなしを止められるかが次の焦点となる。

[文/構成 by スポーツ担当ライター TAKU]

寄稿者

TAKU
ボールを使う競技なら何でも観ます、TAKUです。学生時代はずっとバスケ部、いまは週末にフットサル。スポーツを中心に書くWebライターになって5年です。Bリーグ、バレーボール、ラグビー、テニスを中心に、野球やサッカーも書きます。試合の流れが変わった瞬間を、スコアと一緒に伝えるのが得意です。

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