ハリー・ケインがバロンドール初受賞、イングランド人は25年ぶり 「無冠」と言われ続けたキャリアと獲得タイトルを振り返る

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サッカーの年間最優秀選手賞「バロンドール」の授賞式が現地時間10月26日、ロンドンで開かれ、バイエルン・ミュンヘンのイングランド代表FWハリー・ケイン(33)が初めて受賞した。イングランド人の受賞は2001年のマイケル・オーウェン以来25年ぶりとなった。トッテナム時代は得点を重ねてもチームタイトルに届かず、「無冠」と言われ続けたストライカー。その歩みと、バイエルン移籍後に手にしたタイトルを表で整理する。
ケインが第70回バロンドールを初受賞 2位エムバペ、3位ヤマル
第70回となった授賞式の会場は、ロンドンのパラディウム劇場だった。1956年の第1回で受賞したイングランドのスタンリー・マシューズに敬意を表し、主催者は例年のパリではなくロンドンを開催地に選んだ。ロンドンで式が開かれたのは初めてで、ロンドン生まれのケインにとっては地元での戴冠となる。
トロフィーを手渡したのは、バロンドールを2度受賞した元ブラジル代表のロナウド氏。ケインは最多得点者に贈られるゲルト・ミュラー・トロフィーも同時に受け、2024年にキリアン・エムバペと分け合って以来、2度目の受賞となった。
最終順位の上位10人は次の通りだ。
| 順位 | 選手 | 国籍 | 所属クラブ |
|---|---|---|---|
| 1位 | ハリー・ケイン | イングランド | バイエルン・ミュンヘン |
| 2位 | キリアン・エムバペ | フランス | レアル・マドリード |
| 3位 | ラミン・ヤマル | スペイン | バルセロナ |
| 4位 | ロドリ | スペイン | バルセロナ(評価対象期間はマンチェスター・シティ) |
| 5位 | リオネル・メッシ | アルゼンチン | インテル・マイアミ |
| 6位 | フヴィチャ・クバラツヘリア | ジョージア | パリ・サンジェルマン |
| 7位 | ウスマン・デンベレ | フランス | パリ・サンジェルマン |
| 8位 | アーリング・ハーランド | ノルウェー | マンチェスター・シティ |
| 9位 | ミカエル・オリーズ | フランス | バイエルン・ミュンヘン |
| 10位 | ファビアン・ルイス | スペイン | パリ・サンジェルマン |
イングランド勢ではジュード・ベリンガム(レアル・マドリード)が11位、デクラン・ライス(アーセナル)が15位に入った。女子はスペイン代表のアレクシア・プテジャス(評価対象期間はバルセロナ所属。現在はロンドン・シティ・ライオネス)が3度目の受賞。男子の若手最優秀選手賞はヤマルが受けている。
1年間で65試合73得点 ブンデス3年連続得点王と国内2冠
受賞を決定づけたのは、ゴール数の多さだった。2025-26シーズンから北中米W杯までの評価対象期間に、ケインはバイエルンとイングランド代表で合わせて65試合に出場し、73得点を挙げた。ブンデスリーガの公式サイトは、欧州サッカーでこれを上回るシーズンはメッシの2011-12シーズンしかないと伝えている。
内訳を見ると、どの大会でも点を取っていたことが分かる。
| 大会 | 成績 |
|---|---|
| バイエルン公式戦全体 | 51試合61得点 |
| ブンデスリーガ | 31試合36得点(3年連続得点王、チームは2連覇) |
| DFBポカール | 全6試合で得点、計10得点(決勝でハットトリック、優勝) |
| 欧州チャンピオンズリーグ | 13試合14得点(チームは4強) |
| 北中米W杯 | 6得点(イングランドは3位) |
ブンデスリーガの36得点で、バイエルンのクラブ通算35度目のリーグ優勝を支えた。DFBポカールは2026年5月23日、ベルリンのオリンピアシュタディオンでシュトゥットガルトと決勝を戦い、ケインの後半のハットトリックで3-0と快勝。ヴァンサン・コンパニ監督のもとで国内2冠となった。
チャンピオンズリーグの14得点は、エムバペに次ぐ数字だ。準決勝でパリ・サンジェルマンに敗れ、欧州の頂点には届かなかった。
夏の北中米W杯では主将としてイングランドを3位に導き、自身は6得点を挙げた。イングランドにとっては、優勝した1966年以来となる好成績だった。
「無冠」と呼ばれたトッテナム時代と代表の準優勝2回
いまでは毎年のように得点王に名を連ねるケインだが、長くタイトルと縁のない時期があった。
1993年7月28日にロンドンで生まれ、11歳でトッテナム・ホットスパーの下部組織に入った。トップチームではエースに成長し、プレミアリーグ得点王に3度輝き、クラブ歴代最多の280得点を記録する。2018年のW杯ロシア大会では6得点で大会得点王にもなった。
ところが、チームとしての優勝には一度も届かなかった。決勝まで進んで敗れた試合を並べると、その回数が目につく。
トッテナムで逃した3度の決勝
| 年月 | 大会 | 対戦相手 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2015年3月 | リーグカップ決勝 | チェルシー | 0-2で敗戦 |
| 2019年6月 | 欧州チャンピオンズリーグ決勝 | リバプール | 0-2で敗戦 |
| 2021年4月 | リーグカップ決勝 | マンチェスター・シティ | 0-1で敗戦 |
2019年のチャンピオンズリーグ決勝は、クラブ史上初めてたどり着いたチャンピオンズリーグ(欧州チャンピオンズカップ時代を含む)の決勝だった。それでもリバプールに0-2で敗れ、ケインのキャリアから「無冠」の2文字は消えなかった。
イングランド代表、EURO2大会連続の準優勝
代表でも同じ壁に当たった。主将として臨んだEURO2020(2021年開催)は、ロンドンのウェンブリー・スタジアムでの決勝でイタリアと1-1のまま延長を終え、PK戦で敗れた。続くEURO2024も決勝に進んだが、ベルリンでスペインに1-2で屈した。
| 大会 | 決勝の相手 | 結果 |
|---|---|---|
| EURO2020(2021年7月) | イタリア | 1-1(PK戦2-3)で準優勝 |
| EURO2024(2024年7月) | スペイン | 1-2で準優勝 |
個人の得点王は何度も手にしながら、優勝カップを掲げる場面だけがない。トッテナム時代のケインは「無冠の帝王」とも呼ばれた。
バイエルン移籍2年目で初タイトル ケインの獲得タイトル一覧
転機は2023年夏のバイエルン移籍だった。
もっとも、1年目からすぐに結果が出たわけではない。2023-24シーズンはブンデスリーガで36得点を挙げて得点王になったが、リーグはレバークーゼンが無敗で制し、チャンピオンズリーグも準決勝で敗退。名門に移っても、無冠のシーズンが1年延びた。
初めての優勝は2024-25シーズンに訪れた。バイエルンは2025年5月、2シーズンぶりにリーグを制し、ケインはプロとして初めてのタイトルを手にした。このシーズンは31試合26得点で、2年連続の得点王にもなっている。優勝決定後の5月10日、ボルシアMG戦で頭で25点目を決めたケインは、「信じられない気持ち」と喜びを口にした。
そこから先は早かった。2025年8月16日のドイツ・スーパーカップでシュトゥットガルトを2-1で下し、ケインは先制点を決めてキャリア2つ目のタイトル。2025-26シーズンにはリーグ2連覇とDFBポカール優勝を加え、スーパーカップと合わせて1シーズンで3つのタイトルを手にした。
チームタイトル
| シーズン | 大会 | 所属 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 2024-25 | ブンデスリーガ | バイエルン | キャリア初タイトル。リーグ戦26得点で得点王 |
| 2025-26 | ドイツ・スーパーカップ | バイエルン | 2025年8月16日、シュトゥットガルトに2-1。先制点 |
| 2025-26 | ブンデスリーガ | バイエルン | 2連覇。リーグ戦36得点で3年連続得点王 |
| 2025-26 | DFBポカール | バイエルン | 決勝でシュトゥットガルトに3-0。ハットトリック |
主な個人タイトル
| 年・シーズン | タイトル |
|---|---|
| 2015-16、2016-17、2020-21 | プレミアリーグ得点王(トッテナム) |
| 2018年 | W杯ロシア大会得点王(6得点) |
| 2023-24、2024-25、2025-26 | ブンデスリーガ得点王(バイエルン) |
| 2024年、2026年 | ゲルト・ミュラー・トロフィー(2024年はエムバペと同時受賞) |
| 2026年 | バロンドール |
2010年にトッテナムとプロ契約を結んでから2023年に移籍するまでの約13年間、チームタイトルはゼロだった。それがバイエルンに移って3シーズンで4つに増え、最後にバロンドールが加わった。
イングランド人の受賞は5人目 ブンデス所属では1996年以来
ケインはイングランド人として5人目のバロンドール受賞者になった。歴代の顔ぶれは次の通りだ。
| 受賞年 | 選手 | 受賞時の所属クラブ |
|---|---|---|
| 1956年 | スタンリー・マシューズ | ブラックプール |
| 1966年 | ボビー・チャールトン | マンチェスター・ユナイテッド |
| 1978年、1979年 | ケビン・キーガン | ハンブルガーSV |
| 2001年 | マイケル・オーウェン | リバプール |
| 2026年 | ハリー・ケイン | バイエルン・ミュンヘン |
ブンデスリーガのクラブに所属しての受賞は、1996年のマティアス・ザマー(ドルトムント)以来30年ぶり。ゲルト・ミュラー、フランツ・ベッケンバウアー、キーガンらに続き、ブンデスリーガ所属の受賞者として7人目となった。イングランド人に限れば、ハンブルガーSV時代のキーガンに続く2人目だ。
マシューズをたたえるために選ばれたロンドンで、5人目のイングランド人受賞者が生まれた。
受賞スピーチでトッテナムに感謝「11歳からいた」
壇上のケインは、「ワオ」を何度も繰り返してから、ほとんど言葉が出ないと話し始めた。手元にリストを用意していて助かったと付け加え、感謝を伝える相手の名前を挙げていった。
ロンドンでの開催について、ケインはこう語っている。
「ロンドンで受賞できることは私にとって特別です」
ロンドンでの受賞は自分にとって縁起のいい兆しにも感じられたという。今季は世界トップクラスの選手がそろい、争いは本当に厳しかったとも明かした。
感謝は、育ててくれた古巣にも向けられた。ケインはトッテナム・ホットスパーへの謝意を口にし、トッテナムがなければ今の自分はいないと強調。11歳から在籍したクラブが夢をかなえさせてくれたと続けた。バイエルンについては、選手としても人としても、リーダーとしても成長できた場所だと話し、バイエルンでプレーできることは名誉だと言葉を添えた。
主将を務めるイングランド代表の仲間には、こう呼びかけた。
「特別な1年でした」
完璧な1年ではなかったが、良い場面がたくさんあったとも振り返り、W杯を通じてチームに強い絆ができたと語った。
33歳で頂点に 残る空白はCLと代表の優勝
かつて、決勝で敗れるたびに「無冠」と書かれたストライカーが、33歳で世界最高の個人賞を手にした。
残る大きな空白は2つある。チャンピオンズリーグと、イングランド代表での主要大会の優勝だ。昨季のチャンピオンズリーグと今夏のW杯は、どちらも準決勝で敗れて決勝の舞台に届かなかった。バイエルンで4シーズン目となる2026-27シーズン、ケインはこの2つに再び挑む。
11歳で入団したトッテナムへの感謝を、生まれ育ったロンドンの壇上で伝えたケイン。マシューズの受賞から70年の節目に開かれた地元開催の式で、キャリアに初めてバロンドールの名前が加わった。
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[文/構成 by ライター 凪]










































































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