中日秋季キャンプ始動、工藤公康監督「選手が変わるために必要な時間にしたい」

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
中日ドラゴンズの秋季キャンプが11月2日、高知市の高知県立春野総合運動公園野球場で始まった。工藤公康監督(63)は練習前の歓迎セレモニーで、16日までの約2週間を「選手が変わるために必要な時間にしたい」とあいさつした。初日は選手と一緒に走り、ブルペンで投手を個別に指導し、シートノックでは送球のやり直しを命じた。来季に向けた新体制の練習が、ここから本格的に動き出す。
歓迎セレモニーで「変わるため」の2週間を宣言
キャンプ初日の11月2日は、練習前に歓迎セレモニーが開かれた。グラウンドに整列した選手の前に立った工藤監督にとって、就任後に初めてファンの前で話す場になった。
あいさつは感謝から始まった。多くの人が激励に来てくれたことについて、中日がこれから「大きく変わっていかなくてはいけない」と感じていると述べ、高知県や観光協会からの差し入れ、球場を整備した関係者に礼を伝えた。そのうえで、選手はこれから厳しい練習をしていくとし、贈られた品物だけでなく地元の熱い思いも受け止めて、この2週間少しを「選手が変わるために必要な時間にしたい」と語っている。
選手に向けた言葉もはっきりしていた。この秋は選手にとって何よりも大切な時期だとして、自分を変えるため、能力を上げるために技術と心を磨いてほしいと求めた。「来年には頂点を目指せるように」と続け、今いるレギュラーを抜き去って自分でポジションをつかむ選手になってほしいと呼びかけた。
監督に就任したとはいえ、正式に指揮を執るのは来季からだ。それでも秋の2週間を、来季の競争に向けた出発点と位置づけた。
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高知組は25人、休日は3日間
球団の発表によると、秋季キャンプは高知とナゴヤ球場の2カ所で同じ期間に行う。高知の春野球場は全日程で一般に開放され、ナゴヤ球場はスタンドの開放も練習の公開もない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 11月2日(月)〜 |
| 休日予定 | 11月5日(木)、 |
| 高知の会場 | 高知県立春野総合運動公園野球場(高知市)、 |
| ナゴヤ球場 | 同じ期間に実施、 |
高知組の顔ぶれは次の通り。
| ポジション | 参加選手 |
|---|---|
| 投手(14人) | 中西聖輝、 |
| 捕手(2人) | 味谷大誠、 |
| 内野手(5人) | 村松開人、 |
| 外野手(4人) | 岡林勇希、 |
岡林や村松といった主力に、若手が加わる構成だ。投手のうち松木平、福田、有馬、牧野の4人には、球団が来季の契約を結ばないと通告しており、報道によると4人には育成選手としての再契約を打診している。4人とも、球団が発表した高知組の参加選手に名を連ねている。
日程は3日練習して1日休む流れになる。その理由を問われた工藤監督は、集中できるのは3日だと説明し、けがは避けたいと話した。シーズンの6連戦とは違い、秋は自分の課題をクリアするための時間だという考えも示している。
初日は走り込みと基本の確認、ノックでやり直しも
練習が始まると、工藤監督はすぐにグラウンドを動き回った。ウオーミングアップの後のダッシュでは選手と並んで走り、一部のメニューに自ら加わっている。投手は100メートルを30本、野手は20本走り、投手陣には午前と午後にそれぞれ走り込みが組まれた。
走らせる狙いについて、工藤監督は、走ることでけがをしない体の強さがつき、体力がないと技術は身につかないと説明する。土台をつくりながら、体力と技術を同時に伸ばしていくイメージだという。屋内では投手陣に下半身を鍛えるメニューを課し、投球では下半身の力を上半身へ伝える連動が大事だと説明した。
キャッチボールとシートノックでは、基本へのこだわりが前に出た。野球で最初にやるのはキャッチボールで、そこで正確に投げられるからこそ中継やバックホームでアウトが取れる、というのが工藤監督の考えだ。一つの送球ミスや一つのエラーが失点につながるとして、余計な塁や点を与えたくないと語っている。
その考えが表れた場面がある。シートノックで、遊撃の新保茉良が本塁へ投げた送球が緩かった。工藤監督は「1点取られたら終わりのゲーム」を引き合いに声を上げ、もう1本受け直させた。練習後には、厳しい言い方になると前置きしたうえで、当たり前のことを当たり前にできるのがプロ野球選手だと述べ、「できないものは、できるまでやってもらいます」と言い切った。
全体練習が終わるころには、すでに日が落ちていた。
ブルペンでは森博人に最初の個別指導
ブルペンでは、工藤監督が投手に直接助言した。投手陣で最初にマンツーマンの指導を受けたのは、6年目の森博人(28)だ。打者からボールの離れる位置を見えにくくするためのフォームの修正について、身ぶりを交えて助言を受けた。
森博は指導について、簡単な言葉で伝えてもらえるので分かりやすいが、それを自分の体で再現するのは難しいという趣旨の感想を話している。初日から組まれた短距離ダッシュなどの多いランメニューについては「むちゃくちゃキツい」と語った。来季は勝っている場面で1年間投げ続けたいと、目標を口にした。
「やればできる」新監督が選手に求めた考え方
厳しい言葉が続いた初日だが、工藤監督が選手に向けた言葉の中心にあったのは、変われるという前向きな考え方だった。
初日の練習後、工藤監督は朝は少し緊張していたと明かし、選手の動きを見て「また戻ってきたんだな」と感じたと話した。2021年まで7年間ソフトバンクを率いた指揮官が、再びグラウンドに立った。この秋は大事な時期で、練習の意図を説明し、選手に理解してもらいながら進めたいという。
キャンプの約2週間について問われると、選手に「やればできる」「変われる」と思ってほしいと語った。自身も一つのきっかけで変われた人間だとし、選手と話すときに可能性を否定することは絶対にしないようにしていると強調する。来年2月の春季キャンプまで3カ月あれば選手は変われる、というのが工藤監督の見立てだ。厳しい練習になるかもしれないが、選手自身の変わらなければいけないという思いと合わされば、すばらしいチームになると期待を込めた。
練習の進め方にも、この考えがにじむ。工藤監督は、選手がどうなりたいのかを聞いたうえでメニューを進め、選手だけで取り組むより一緒に取り組んだほうが解決できる課題が増えるとも話している。投手への助言では、球速を上げたい選手、制球を良くしたい選手とそれぞれの方向性を尊重し、選手の側から出てくる意見を大事にしたいと語った。
原点の春野から、最下位からの立て直しへ
春野球場は、工藤監督にとって縁の深い場所だ。名古屋電気高校(現・愛知工業大学名電高等学校)から西武に入団し、西武時代にはこの球場でキャンプを過ごしている。セレモニーでは、この場所で選手として育ち、つらい日々を乗り越えて自分を変えるために練習してきたと振り返り、春野を自分の「原点」と呼んだ。縁あってまた来られたことがうれしいとし、中日がすばらしいチームに変わるよう日々頑張ると結んでいる。
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工藤監督が引き受けたのは、6年連続Bクラスに沈み、2026年シーズンを最下位で終えたチームの立て直しだ。10月15日の就任会見を経て、ナゴヤ球場の秋季練習の視察や選手との面談を重ねてきたが、グラウンドで本格的に指導するのは高知のキャンプが初めてになる。
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チームの編成も動いている。11月2日には、日本野球機構(NPB)がアルベルト・アブレウ、ウンベルト・メヒア、オルランド・カリステの外国人3選手を自由契約選手として公示した。来季の戦力の形が少しずつ見えてくる中で、春野に集まった25人の若い力がどこまで伸びるかが、工藤体制の1年目を左右する。
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キャンプは16日まで続く。セレモニーで語った「変わるため」の2週間は、まだ始まったばかりだ。
[文/構成 by スポーツ担当ライター 高瀬翔吾]

















































































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