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西田凌佑、「現役は続ける方向」 元IBF世界バンタム級王者が腰のヘルニアを公表

西田凌佑、「現役は続ける方向」 元IBF世界バンタム級王者が腰のヘルニアを公表

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

元IBF世界バンタム級王者の西田凌佑(30)=六島=が11月2日、大阪市内の所属ジムで会見し、腰椎椎間板ヘルニアを抱えていることを明かした。進退については「現役は続ける方向」と話しつつ、けがの回復次第では引退もあり得るとした。9月のサム・グッドマン(オーストラリア)戦で敗れた直後は、進退の明言を避けていた。

会見で語った「現役は続ける方向」と引退の条件

会見には六島ジムの枝川孝会長も同席した。西田は現役を続ける考えを示したうえで、けがの状態によってはこのまま引退になる可能性がある状況だと説明している。完全な続行宣言ではなく、体が戻るかどうかを条件にした現役続行の方向だ。

同じ2日、ジムの公式YouTubeチャンネル「六島ボクシングチャンネル」でも今後に触れた。続けたい気持ちはあるが、まずはリハビリにしっかり取り組みたいという趣旨を話している。枝川会長は、治らなければ引退になるとの考えを示した。

再起の目標ははっきりしている。もう一度世界王者になりたい思いと、グッドマンに「やり返したい」気持ちを口にした。体さえついてくれば気持ちはやりたい、という言葉も残している。

復帰の時期について、枝川会長は具体的な期日を決めていないとしながら、来年の春先を一つの目安に挙げた。1年も2年も待つことはできない、という趣旨の発言もあり、春先までに戦える体へ戻せるかが分かれ目になる。

腰の痛みは数年前から、夏にヘルニアと診断

西田はもともと腰痛を抱えていた。報道によると、数年前から腰に慢性的な痛みがあり、今夏、椎間板ヘルニアと診断された。左腰から左脚にかけてしびれが出ており、足や臀部(でんぶ)のしびれをきっかけにMRI検査を受けたと伝えられている。会見では、座骨神経痛があり、それが原因で自分の力を出せていないとも打ち明けた。

ヘルニアを抱えたまま、西田は9月27日のグッドマン戦のリングに上がる。力が入りにくい状態で臨んだ一戦だった。試合直後には引退へ気持ちが傾いたという。

流れを変えたのは10月の治療だ。10月に受けた注射が効き、しびれはやわらいだ。張りは残るものの、ロードワークはすでに始めており、会見のあった11月2日からジムでの練習も再開している。注射が効いたことで、また世界チャンピオンを目指したいと思えたと西田は話した。

報道によると、現在はしびれがなくなっているという。それでも結論は急がない。腰が良くならなければ引退もあると認め、長い目で見ていきたいという姿勢を示した。

9月27日のグッドマン戦、2度のローブロー減点

グッドマン戦は、9月27日にTOYOTA ARENA TOKYOで行われたIBF世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦だった。4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が君臨する階級で、IBFが1位の西田と2位のグッドマンに暫定王座を争わせた。勝てばバンタム級に続く世界2階級制覇となる一戦だった。興行権は米国時間7月14日の入札で決まり、六島ジム側の六島プロモーションが61万ドルを示してグッドマン側を上回り、日本での開催にこぎつけていた。相手のグッドマンは、目の上のカットで井上尚弥への挑戦が2度流れた選手でもある。

結果は0-3の判定負け。採点は114-111、115-110、116-109で、ジャッジ3人がそろってグッドマンを支持した。グッドマンは序盤から体を密着させる接近戦を挑み、サウスポーの西田は得意の距離をつくれないまま12回を終えている。

試合を大きく揺らしたのは減点だった。8回、レフェリーはまずグッドマンに反則で1点を科し、続いて西田の左ボディーをローブローと判断して1点を引いた。10回にも西田の左ボディーがローブローと判定され、2度目の減点を受けている。

陣営は映像を確認し、減点となった2発はローブローではなかったと強く反発した。枝川会長は試合後、IBFへの提訴に踏み切る考えを示していた。一方、西田本人はレフェリーの判断は絶対なので仕方ないと受け止め、判定そのものへの不満は口にしなかった。11月2日の会見を伝えた報道では、提訴の行方には触れられていない。

関連記事:西田凌佑、グッドマンに0-3判定負け ローブローで2度減点、陣営はIBFに提訴する方向

IBFランキングは1位から6位へ

敗戦はランキングにも響いた。IBFが米国時間10月6日に公表した9月分ランキングで、西田はスーパーバンタム級1位から6位に下がった。王者は井上尚弥、暫定王者はグッドマンで、1位と2位はともに空位となっている。

西田は2月から8月まで同級1位を守り、井上尚弥への挑戦権に最も近い位置にいた。8月の会見では、このタイトルを取れば正規王者が返上したときに自分が正規王者になる、という趣旨を語っていた。その足がかりを1試合で手放したことになる。一方、世界ボクシング評議会(WBC)が10月2日(日本時間3日)に出した10月分ランキングでは、スーパーバンタム級4位に再び名前が載った。7月分では3位だったが、8月分と9月分ではIBFの王座戦を控えていたため順位の対象外とされていた。

関連記事:IBFランキング、那須川天心がバンタム級3位で復帰 西田凌佑はSバンタム級1位→6位

アマ時代から世界王座、そしてスーパーバンタム級へ

西田は1996年8月7日、奈良県香芝市生まれ。奈良県立王寺工業高等学校でボクシングを始め、3年時に国体のフライ級で優勝した。その後は近畿大学に進み、大学でもボクシングを続けた。

プロデビューは2019年10月、タイでのリングだった。2024年5月4日、プロ9戦目でエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)からダウンを奪って3-0の判定勝ちを収め、IBF世界バンタム級王座についた。同年12月15日にはアヌチャイ・ドンスア(タイ)を7回KOで下し、初防衛に成功している。

転機は2025年6月8日に訪れた。WBC同級王者の中谷潤人(M.T)との2団体王座統一戦で、右肩の脱臼もあって6回終了TKOで敗れ、プロ初黒星とともに王座を失った。そこから1階級上げる決断をする。2026年2月15日、IBFスーパーバンタム級の挑戦者決定戦でブライアン・メルカド・バスケス(メキシコ)に7回負傷判定で勝ち、グッドマン戦への道を開いた。

プロ戦績は13戦11勝(2KO)2敗。身長170センチの左ボクサーファイターで、世界戦は中谷戦、グッドマン戦と2連敗が続く。

再起のカギは腰の回復

今後は当面、治療とリハビリを最優先にしながら練習を続け、世界で戦える体づくりを目指す。陣営が目安に挙げた来年の春先までに腰の状態がどこまで戻るか。進退の判断は、そこにかかっている。

グッドマンとの再戦を一番に望む西田だが、いまの立場はIBF6位。もう一度世界戦へたどり着くには、まず腰を治し、復帰戦で結果を出すことが求められる。

[文/構成 by スポーツ担当ライター 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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