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西田凌佑、グッドマンに0-3判定負け ローブローで2度減点、陣営はIBFに提訴する方向

西田凌佑、グッドマンに0-3判定負け ローブローで2度減点、陣営はIBFに提訴する方向

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元IBF世界バンタム級王者の西田凌佑(30)=六島=が9月27日、TOYOTA ARENA TOKYOで行われたIBF世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦でサム・グッドマン(27)=オーストラリア=に0-3の判定で敗れ、2階級制覇を逃した。8回と10回にローブローの反則で1点ずつ減点され、陣営はレフェリングに強く反発している。六島ジムの枝川孝会長は、IBFへの正式な提訴に踏み切る考えを明かした。

3者ともグッドマン支持、スコアは114-111から116-109

IBFスーパーバンタム級1位の西田と、同級2位のグッドマン。4団体統一王者の井上尚弥(33)=大橋=が君臨する階級で、IBFが上位2人に暫定王座を争わせた一戦だった。興行は4つの世界戦を組んだ「Prime Video Boxing 16」の一つで、メインは井上拓真と那須川天心のWBC世界バンタム級タイトルマッチ。

関連記事:中谷潤人、サム・グッドマンは「ターゲットの一人になると思います」 4階級制覇の標的に西田凌佑を破ったIBF暫定王者の名、相模原で一日警察署長を務めた場で語る

12回を戦い終えた時点で、ジャッジ3人はそろってグッドマンを支持した。

ジャッジグッドマン(勝者)西田差
ニコラス・エスノー1161097
エリス・ジョンソン1151105
パトリック・モーリー1141113

レフェリーは南アフリカのデオン・ドゥワルテが務めた。スコアは減点を反映した最終的な数字だ。最も差が小さいジャッジでも3点、大きいジャッジは7点の開きとなった。

グッドマンは序盤から体を密着させる接近戦を挑み、ボディー、アッパー、フックを絶え間なく打ち込んだ。サウスポーの西田も左ストレートや左ボディーを返したが、グッドマンは西田のワンツーを浴びても前に出続けた。試合後に西田は「思ってたよりも接近戦がうまかった」と口にした。

8回と10回の減点、何が起きたのか

流れが大きく揺れたのは8回だ。レフェリーはまずグッドマンにバッティングの反則で1点の減点を科し、その直後、今度は西田の左ボディーをローブローと判断して1点を引いた。互いに1点ずつを失ったこの回、西田は頭がぶつかり合う中で左目の上を切り、流血しながら打ち合いに応じている。

10回にも、西田の左ボディーが再びローブローと判定された。2度目の減点で1点を失い、11回には反則の警告も受けている。残り2ラウンドで逆転を狙ったが、手数を増やしても差は縮まらなかった。

陣営は試合直後に映像を確認した。1度目の減点になったパンチは右ひじに当たっており、2度目はベルトラインの上だったと主張する。映像を見た武市トレーナーは2度目の場面について「完全にベルトラインの上。レバーと溝落ちの間ぐらいにいい角度で刺さってる」と説明した。

伏線は試合前日のルールミーティングにあった。グッドマン陣営から、西田の前の手の使い方について注文がついたという。5回、頭から突っ込んでくる相手を右手を伸ばして止めようとした西田は、レフェリーから手を開いて前に出さないよう注意を受けた。距離をつくる手段を封じられ、得意ではない接近戦に付き合わざるを得なくなる。

枝川会長「全然ローブローじゃない」、IBFへ提訴の考え

試合後、枝川会長の怒りは収まらなかった。「全然、ローブローじゃないよ、2回とも。逆に向こうは頭をつけて、どんどん来てるのに、全く注意せえへん」と語り、「日本でやってるのか、オーストラリアとか他の国でやってるのか分からん」と続けた。

問題にしたのは、警告を挟まずに減点を取った点だ。「なぜ1発でとられるのか。おかしい」と首をかしげる。一方で、減点された2発とは別の、10回か11回ごろの1発については「明らかにローやけど」と認めており、反則の指摘を全て否定したわけではない。グッドマンの頭の使い方には「ヘッドバット決定戦をやってんのとちゃうからね」と皮肉を込めた。

日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛本部事務局長は、通常は一度注意しても繰り返される場合に減点を取るとしたうえで、明らかな反則が確認された場合は最初から減点する場合もあると説明した。その場で抗議しても判定は覆らず、異議を申し立てるにはIBFへ文書で伝える必要があるという。枝川会長は、この手続きに沿ってIBFへ正式に提訴する考えだ。9月29日時点で、IBF側の対応は伝えられていない。

西田本人は、判定そのものに不満を口にしなかった。「レフリーが言うことは絶対なので、まあ仕方ないな、と思いました」。減点の場面については、気持ちが揺れかけたものの、関係ないと自分に言い聞かせて戦ったと明かしている。

減点がなければ結果は変わったのか

減点がなかった場合の採点は、公式スコアから計算できる。

西田は2点、グッドマンは1点を引かれているため、3人のジャッジ全員について西田に2点、グッドマンに1点を足せばよい。エスノーは117-111、ジョンソンは116-112、モーリーは115-113となり、差はそれぞれ6点、4点、2点。3人ともグッドマンの勝ちは動かない。

グッドマンの減点は残し、西田の2点だけを取り消した場合でも、116-111、115-112、114-113。最も接近したモーリーの採点でも1点差でグッドマンが上回る。数字の上では、減点がなくても判定の結論は変わらなかった。

それでも陣営が問題視するのは、減点による点差より、試合の中身への影響だ。前の手で距離をつくることを注意され、接近戦の中で活路にしていた左ボディーまで反則を取られた。2度目の減点のあと、西田はボディーも、距離をつくっての左も打ちにくくなる。陣営が訴えるのは、攻め手を一つずつ削られたという点だ。

元IBFバンタム級王者、1年3カ月ぶりの世界戦

西田は奈良県出身で、身長170センチ、リーチ173センチ。2024年5月4日、プロ9戦目でエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)にダウンを奪って3-0の判定勝ちを収め、IBF世界バンタム級王座についた。同年12月15日にはアヌチャイ・ドンスア(タイ)を7回KOで下し、初防衛を果たしている。

2025年6月8日、当時WBC同級王者だった中谷潤人(M.T)との王座統一戦で、右肩の脱臼などから6回終了TKOで敗れ、プロ初黒星を喫した。そこから1階級上げ、2026年2月15日のIBFスーパーバンタム級挑戦者決定戦でブライアン・メルカド・バスケス(メキシコ)に7回負傷判定で勝利している。再起戦のあと、西田は「この階級はすごくいい感じ」と手応えを語っていた。

グッドマン戦の興行権は米国時間7月14日の入札で決まった。六島ジム側の六島プロモーションが61万ドルを示し、グッドマン側のノー・リミット・プロモーションズの58万3500ドルを上回って日本開催にこぎつけた。多額の資金を投じて呼び込んだ一戦で、結果は出なかった。

この一戦で西田の戦績は13戦11勝(2KO)2敗。世界戦は中谷戦に続いて2連敗となった。会場には妻と2人の娘も駆けつけていた。

関連記事:西田凌佑、グッドマンと会見で対面「激しい試合になる」 IBF暫定王座決定戦で世界2階級制覇へ

井上尚弥戦が2度流れたグッドマン、世界王座に届く

勝ったグッドマンにとっては、暫定ながら初めての世界王座となった。2024年12月24日に東京で井上尚弥へ挑む予定だったが、直前のスパーリングで左目の上を切って試合は2025年1月24日に延期される。その後、2025年1月にも再び左目の上を負傷し、挑戦そのものが消えた。

2025年8月16日にはサウジアラビアのリヤドでWBA世界フェザー級王者ニック・ボール(英国)に挑み、0-3の判定でプロ初黒星を喫した。2026年4月の2位決定戦を勝ち上がり、西田との一戦にたどり着く。戦績は24戦23勝(8KO)1敗となった。

試合後のリングで、グッドマンは「ここまでは簡単な道のりではなかった」と語った。視線はすでに正規王者に向いている。「相手がモンスターであろうと、誰であろうと、掛かって来いという気持ち」と井上尚弥への挑戦に意欲を示し、「また日本に戻ってきて、日本で試合がしたい」とも話した。

Prime Video Boxing 16、同じ日の世界戦の結果

同じリングでは、ほかに3つの世界戦があった。メインのWBC世界バンタム級タイトルマッチは、王者の井上拓真が7回にダウンを喫しながらも那須川天心に3-0で判定勝ちし、王座を守った。WBC世界スーパーフライ級王座決定戦は坪井智也がリカルド・マラジカ(南アフリカ)に1-2の判定で敗れ、WBO世界ミニマム級暫定王座決定戦は松本流星がラッセル・アコスタ(メキシコ)に3-0で判定勝ちしている。

関連記事:松本流星、アコスタに3-0判定でWBO暫定王座獲得 9戦全勝で「夢はかなえられる」

大会はPrime Videoの独占ライブ配信で、日本のプライム会員は追加料金なしで視聴できた。西田とグッドマンの12回も、この配信で中継されている。

\ 4大世界戦はPrime Videoの独占配信 /

Prime Videoで配信ページを確認する

西田は今後について「ゆっくり考えます」と語り、会見の最後には「やり切った気持ちはあります」と静かに話した。グッドマンとの再戦については、試合直後の段階で「したくない」との考えを示している。陣営のIBFへの提訴がどう扱われるかとあわせ、30歳の元王者の次の一歩はまだ決まっていない。

[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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