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中谷潤人、サム・グッドマンは「ターゲットの一人になると思います」 4階級制覇の標的に西田凌佑を破ったIBF暫定王者の名、相模原で一日警察署長を務めた場で語る

中谷潤人、サム・グッドマンは「ターゲットの一人になると思います」 4階級制覇の標的に西田凌佑を破ったIBF暫定王者の名、相模原で一日警察署長を務めた場で語る

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プロボクシング元世界3階級制覇王者の中谷潤人(28)=M・T=が9月30日、神奈川県警相模原警察署の一日署長を務めた。JR淵野辺駅前でのイベントの場で、27日に西田凌佑を破ってIBF世界スーパーバンタム級暫定王者となったサム・グッドマン(27)=オーストラリア=について「ターゲットの一人になると思います」と語った。5月の井上尚弥戦で左眼窩底を骨折しており、再起戦は年明け以降になる見通しだ。

制服姿でミット打ち、グッドマンを「ターゲットの一人」と明言

中谷が一日署長を務めたのは、秋の交通安全運動の一環だった。警察官の制服に身を包み、相模原市のJR淵野辺駅前で交通安全を呼びかけると、弟でマネジャーの龍人を相手にミット打ちも披露している。警察署長を務めるのは2度目だが、制服姿でのミット打ちは初めて。「やっぱり裸(トランクス姿)の方が打ちやすい感じですね」と笑った。

「皆さんに交通安全に触れてもらって、少しでもその意識が広がればという思いでさせてもらいました」。イベントの趣旨をそう説明した後、話題は9月27日の世界戦に移る。

9月27日、東京・お台場のTOYOTA ARENA TOKYOでIBF世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦があった。同級1位の西田凌佑(30)=六島=と同級2位のグッドマンが争い、グッドマンが3-0の判定で勝っている。この試合を見た中谷は、新王者の印象を次のように語った。

「グッドマン選手の圧力だったりというものは、ちょっとややこしいのかな、と見ていて思いました」。そのうえで「ターゲットの一人になると思います」とうなずいた。中日スポーツの取材には「ベルトを持ったのでターゲットの一人になると思います」と話し、王座を手にした相手として名前を挙げている。

関心はグッドマンの戦い方そのものにも向いていた。「特に西田選手がサウスポーだったので、サウスポーにどういう戦い方をしてくるのかを見ることができた。いいイメージというか、戦うか戦わないかは別として、『僕ならこう戦うな』というのを思いながら試合を見ていました」。中谷も西田と同じサウスポーだ。グッドマンが左構えの相手をどう崩すかを、自分がリングに立つ姿に重ねながら見ていたことになる。

グッドマンが3-0判定で暫定王者に、西田陣営は2度の減点に反発

試合は12回を戦い終えて判定にもつれ込み、ジャッジ3人がそろってグッドマンを支持した。スコアは116-109、115-110、114-111。オーストラリア出身のグッドマンにとって、初めての世界王座となった。

グッドマンは序盤から体を密着させる接近戦を挑み、西田は思うように距離を取れなかった。西田は8回と10回、左ボディーをローブローと判定されて1点ずつ減点されている。8回にはグッドマンもバッティングで1点を引かれた。西田は試合後、「グッドマンは想定していた通り、うまい選手で、やられたな、という感じ」と相手の力を認め、減点についても「レフェリーが言うことが絶対なんで仕方がない」と判定を受け入れた。今後については「ゆっくり考えます」と語るにとどめている。

収まらなかったのは陣営だ。六島ジムの枝川孝会長はローブローの判定について「ローブローじゃないよ」と不満をあらわにし、「向こうが頭を使ってくるのは注意せんし、日本でやってるのか外国でやってるのか分からん」と裁定の偏りを訴えた。陣営は映像を確認し、減点されたパンチは右ひじやベルトラインの上に当たっていたと主張する。レフェリーは南アフリカのデオン・ドゥワルテで、陣営はIBFに提訴する方向だ。

関連記事:西田凌佑、グッドマンに0-3判定負け ローブローで2度減点、陣営はIBFに提訴する方向

勝ったグッドマンの目は、すでに次へ向いている。試合後には「ここで王者になって止まれない。ここ日本には王者がいて、戦いたい相手がいる」と話し、「相手がモンスターであろうと、誰であろうと、掛かって来いという気持ち」と井上尚弥への挑戦に意欲を見せた。

グッドマンには因縁がある。2024年12月24日に予定されていた井上尚弥への挑戦は、スパーリングで左目を負傷して翌年1月24日に延期され、その後に傷が再び悪化して中止になった。2025年8月にはWBA世界フェザー級王者ニック・ボール(英国)に挑んで判定で敗れ、プロ初黒星を喫している。そこから再起し、戦績を23勝(8KO)1敗に伸ばした。

IBF正規王者は井上尚弥、暫定王座が設けられた理由

スーパーバンタム級は、井上尚弥(33)=大橋=がWBA、WBC、IBF、WBOの4団体王座を一人で持つ階級だ。IBFが暫定王座決定戦を組んだのは、正規王者の井上尚弥に当面試合の予定がなかったためだった。西田は2月の挑戦者決定戦に勝ってIBFの指名挑戦権を手にしていたが、王者が複数団体のベルトを持つため、挑戦の道筋ははっきりしないままだった。

こうして暫定王者となったグッドマンは、中谷が4階級制覇を狙うスーパーバンタム級で、井上尚弥のほかに世界王座のベルトを持つ選手の一人になった。同級では8月に米国のゲーリー・アントニオ・ラッセルがWBA暫定王座を獲得している。

世界ランキングでも、中谷はスーパーバンタム級の上位に名を連ねる。WBCで1位、WBOで2位、WBAとIBFでは5位につける。

4階級制覇を狙う中谷、井上尚弥戦で初黒星と左眼窩底骨折

中谷の世界王座はフライ級から始まる。2020年にWBO世界フライ級王座を手にし、2023年にWBO世界スーパーフライ級、2024年にWBC世界バンタム級を制して、無敗のまま世界3階級制覇を成し遂げた。2025年6月には、IBF世界バンタム級王者だった西田との王座統一戦に6回終了TKOで勝っている。

スーパーバンタム級で世界王座に就けば、フライ級、スーパーフライ級、バンタム級に続く4階級目となる。日本男子では4人目の世界4階級制覇がかかる。

階級を上げた初戦は2025年12月27日、サウジアラビア・リヤドで行われた。メキシコのセバスチャン・エルナンデスに3-0で判定勝ちし、デビューからの連勝を32(24KO)に伸ばしている。

そして2026年5月2日。東京ドームで4団体統一王者の井上尚弥に挑んだ一戦は、日本ボクシング史上最多の5万5000人が見守った。結果は0-3の判定負けで、スコアは116-112、115-113、116-112。プロ33戦目での初黒星となり、戦績は32勝(24KO)1敗となった。

決戦を前にした4月16日には、文藝春秋から『Number PLUS 完全保存版 井上尚弥vs.中谷潤人 運命の超決戦。“THE DAY 5.2”』が発売されており、試合直前の井上尚弥のロングインタビューなどを収めている。

この試合で中谷は左眼窩底を骨折した。11回に井上尚弥のパンチを受けた際のけがで、手術を受けている。約3か月の休養を経て、8月1日から所属ジムでの練習を再開した。

拓真との対戦も「全然やります」、再起戦は年明け以降の見通し

左目の状態について、中谷は「左目の骨折の状態は、病院に通いながらですが順調に回復しています」と明かした。実戦練習はまだできていないが、マスボクシングなどで感覚を保っている。「実戦をやりたくなりますが我慢してます」と笑い、「試合が決まったらそれに向けてやっていきます」と続けた。

再起戦の日程と相手は決まっていない。年明け以降になる見通しで、グッドマン戦を含めて対戦相手の発表はない。

27日の興行では、メインでWBC世界バンタム級王者の井上拓真(30)=大橋=が那須川天心(28)=帝拳=との再戦に3-0の判定で勝ち、2度目の防衛に成功した。拓真は7回にダウンを喫しながらも、その後は主導権を渡さなかった。かつて同じWBCバンタム級のベルトを巻いた中谷は「展開的には井上拓真選手がやりやすいタイミングでボクシングをコントロールしていたんじゃないかなと感じます」と分析した。

大橋ジムの大橋秀行会長は、拓真がスーパーバンタム級に上げる可能性にも触れている。この点を問われた中谷は「可能性としては全然あると思います。1回やるかもしれなかったですし…全然、やります」と応じた。グッドマンに続き、拓真の名前も候補に加わる。

リングを離れた予定も入っている。11月7日に東京、8日に名古屋でファンミーティングを開き、名古屋での開催は初めてとなる。

関連記事:中谷潤人、ファンミーティングを東京・名古屋で開催「今回は初めて名古屋にも行きます!」 11月7日・8日の会場とチケット価格を整理

5月の敗戦から5か月。制服姿でミットを打った28歳の口から、新しい暫定王者の名前が出た。4階級制覇への道は、年明け以降の再起戦から始まる。

[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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