佐川遼、7日に波田大和へ挑戦 洋菓子コロンバンの係長、戦績14勝9KO5敗の元日本王者

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東洋太平洋王座に挑む会社員ボクサー
元日本フェザー級王者の佐川遼(32)=三迫=が11月7日、東京・後楽園ホールで東洋太平洋スーパーフェザー級王者の波田大和=帝拳=に挑む。普段は洋菓子メーカー「コロンバン」で係長を務める会社員ボクサーで、プロ戦績は19戦14勝(9KO)5敗。2度の引退危機を越えてたどり着いた、約3年7カ月ぶりのタイトル戦となる。
佐川が挑むのは、東洋太平洋ボクシング連盟(OPBF)が認定する東洋太平洋スーパーフェザー級のベルトだ。試合は11月7日に後楽園ホールで開かれる「DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.49」のメインイベントで、10回戦で組まれた。佐川は東洋太平洋同級7位の挑戦者として、5度目の防衛を目指す波田と向き合う。
11月6日の前日計量は、リミットより100グラム軽い58.8キロで1回でパスした。日本王座は2019年9月の王座決定戦で手にし、王者として3度の防衛戦に臨んだ。2023年4月のタイトル戦も王座決定戦だった。2019年5月にフィリピンで地域王者に挑んだことはあるが、日本や東洋太平洋の王者に挑むのは初めてになる。
勝てばフェザー級の日本王座に続き、1階級上のスーパーフェザー級で東洋太平洋王座を手にする。2021年2月に日本王座を失ってから、約5年9カ月ぶりの戴冠がかかる一戦だ。
興行は11月7日17時45分に始まり、U-NEXTが同じ時刻から独占ライブ配信する。
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青森から東京農大、そしてコロンバンへ
佐川は1994年3月13日生まれ、青森市出身。格闘技との出会いは中学時代で、同級生だった小山内幹に誘われてキックボクシングを始めた。2人は同じ青森県立青森北高等学校に進み、ボクシング部がなかったため一緒に部を立ち上げたという。
東京農業大学でもボクシングを続け、アマチュアでは84戦62勝22敗を残した。だが、本人は大学で競技をやめるつもりだった。就職活動の面接でも、ボクシングはもうやらないと話していたという。
気持ちが変わったのは、コロンバンに入社して間もない2016年4月28日。後楽園ホールで小山内のプロデビュー戦を見て、もう一度リングに立ちたくなった。社長に直談判すると、「やってみなさい」と許可されたという。大学の先輩・吉野修一郎がいた三迫ジムに入り、同年12月8日にプロデビュー戦を3回TKO勝ちで飾った。
コロンバンは1924年創業の洋菓子ブランドで、佐川は2016年入社の正社員。直営店や工場での研修を経て、スーパーなどの量販店営業を長く担当した。会社の採用サイトでは、現在は営業第1部1課で東京駅や羽田空港、百貨店に出店する店舗の売り上げを伸ばす仕事に取り組んでいると紹介している。2024年3月に係長へ昇進し、入社から10年が過ぎた。
日本王座の戴冠と、2度の引退危機
2018年9月には同年に世界挑戦した松本亮を3回TKOで破り、2019年5月にはフィリピンで地域タイトルを懸けた12回戦に判定勝ちした。同年9月13日、世界ランカーの阿部麗也との日本フェザー級王座決定戦を3-0の判定で制し、ベルトを巻く。
王者時代は会社の看板も背負った。コロナ禍の2020年春は在宅勤務が中心になり、出勤は週1日に減った。通勤を含めた仕事の時間が短くなった分を練習に回し、「普段よりもボクシングの練習に打ち込むことができました」と話していた。2020年8月のV2戦では6回KO勝ちの後、リング上からコロンバンの通販の詰め合わせセットを勧め、会場には社長や専務らが駆けつけた。ところが2021年2月、3度目の防衛戦で丸田陽七太に7回TKOで敗れ、王座を失う。
主なタイトル戦と、スーパーフェザー級に上げてからの戦績は次のとおり。
| 時期 | 相手 | 結果(勝者) |
|---|---|---|
| 2019年9月 | 阿部麗也 | 佐川の3-0判定勝ち |
| 2019年12月 | 日野僚 | 佐川の3-0判定勝ち |
| 2020年8月 | 竹本雄利 | 佐川の6回KO勝ち |
| 2021年2月 | 丸田陽七太 | 丸田の7回TKO勝ち |
| 2023年4月 | 松本圭佑 | 松本の3-0判定勝ち |
| 2023年10月 | 福井貫太 | 福井の8回TKO勝ち |
| 2024年12月 | ジョンジョン・ | 佐川の1回KO勝ち |
| 2025年4月 | 山辺蓮 | 山辺の判定勝ち |
| 2026年4月 | 原優奈 | 佐川の3回TKO勝ち |
王座を失った後は、2017年にプロ初黒星を喫した小坂烈との再戦を8回TKOで制し、元世界王者の久保隼も3回KOで倒して2連勝した。だが、2023年4月の王座決定戦で松本圭佑に大差の判定で敗れた。初めての判定負けで、進退を考えるほど落ち込んだと後に語っている。トレーナーの加藤健太から階級を上げる提案を受け、スーパーフェザー級で再出発した。
しかし転級初戦は福井貫太に8回TKO負け。1年2カ月空いた2024年12月にはエストラーダを右ストレートで1回KOに沈め、「初回で倒せるとは思わなかった」と話した。
2025年4月、三重県津市で山辺蓮に判定で敗れる。それまでサウスポーには7戦全勝だった佐川にとって、左構えの相手に喫した初の黒星となった。
「腐っていた」時期から原優奈戦のTKOへ
2度目の危機はこのときだった。「三重で負けてからは正直、腐っていた。辞めるかどうするかと考えながら過ごしていた」。ジムに戻ったのは4カ月後で、三迫貴志会長から前日本スーパーフェザー級王者・原優奈との対戦が決まったと告げられ、気持ちが切り替わったという。
仕事の波も重なった。年末は繁忙期で、1月は催事で百貨店を回り、準備から片付けまで担当した。そのなかで練習時間を確保し、2026年4月14日の原戦に臨む。3回に右のショートで原を崩し、再び右を当ててTKO勝ち。日本ランキングにも戻った。
約1年ぶりの試合を終えた佐川は、年内にタイトルに絡みたいと口にしていた。9月3日に波田との対戦が発表され、10月の取材では「まさかこのタイミングで挑戦できるとは思いませんでした」と明かしている。
波田大和戦へ、佐川が描く戦い方
相手の波田はKO率の高いサウスポーで、世界ランキングではWBC5位につける。佐川は過去に2度、波田とスパーリングをしたことがあり、「パンチが重くて硬かったのを覚えています」と振り返った。山辺戦の黒星があるだけに、「サウスポーが得意と言えるのか」と慎重な言葉も出た。
それでも準備の中身は具体的だ。前戦ではほとんどやらなかった長距離走を見直し、仕事を終えてジムで練習した後、さらに約8キロのロードワークを積んだ。計量後は、打ち合いに巻き込まれず冷静に戦い、「背伸びしないで自分がやれることをやって」ポイントを重ねる考えを示した。
10月にはクリスマス向けの予約が始まり、職場は繁忙期に入っている。それでも会社の同僚らの支えで練習に集中できたと感謝し、試合当日は上司や同僚ら約25人のコロンバン関係者が後楽園ホールへ応援に来る予定だ。
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大学でやめるはずだったボクシングを、入社直後に会社の許しを得て続け、10年がたつ。2度の引退危機を越えた32歳の会社員ボクサーが、王者に挑む立場で東洋太平洋のベルトを狙う。
[文/構成 by スポーツ担当ライター 久遠(KUON)]












































































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