韓国W杯ホン・ミョンボ監督はなぜここまで嫌われたのか ”辞任会見”に激怒──収まらない怒りの全貌

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
韓国代表のホン・ミョンボ監督(57)がW杯1次リーグ敗退を受け、6月28日に辞任を表明した。会見はわずか約100秒で質疑応答なし。退場時にポケットに手を入れる姿が拡散し、韓国国内の怒りに火をつけた。大統領による「無能な指揮官」発言、店舗での”出禁”張り紙、殺害予告と、騒動は拡大し続ける。
↓ 詳細が気になる方は、このまま下へ ↓
「蜂蜜組」で敗退──韓国サッカー史上最悪の屈辱
サッカーW杯2026北中米大会のグループA。韓国はメキシコ、チェコ、南アフリカと同居し、国内では「蜂蜜組」と呼ばれていた。ソン・フンミン、イ・ガンイン、キム・ミンジェら”黄金世代”がそろい、突破は確実視されていた。
結果は1勝2敗。初戦でチェコに2-1と逆転勝ちしたものの、第2戦で開催国メキシコに0-1で敗れ、最終戦の南アフリカ戦は引き分けでも自力突破が決まる状況だった。だが0-1で敗戦し、A組3位に転落する。
今大会から各組3位のうち上位8チームに決勝トーナメント進出の道が開かれたが、韓国は10番手。6月27日、他グループの結果によって敗退が確定した。聯合ニュースによれば最終順位は34位。48カ国参加の大会で32カ国時代の基準なら「W杯出場すら危ぶまれる成績」だった。
関連記事:【随時更新中】ワールドカップ2026全試合結果速報|決勝トーナメント表・順位表・日本戦日程
関連記事:メキシコ対韓国、W杯グループA首位攻防 第1節を勝ち抜いた両者の順位と突破条件を整理
そもそもなぜ嫌われていたのか──就任経緯の闇
ホン・ミョンボは選手として韓国サッカーの英雄だ。1990年から4大会連続でW杯に出場し、2002年日韓大会では4位入りの立役者だった。
だが監督としての評価は違う。2014年ブラジル大会で韓国代表を率いたが、1分け2敗で1次リーグ敗退。帰国した空港でファンからアメを投げつけられた過去を持つ。韓国では「アメでもなめてろ」が侮辱の言葉として知られる。
2024年7月8日、大韓サッカー協会の第75代代表監督に就任。しかし発表直後から選任プロセスへの疑義が噴出した。KBS WORLDなどによれば、韓国文化体育観光部が同年10月に発表した監査中間報告で、本来権限を持たない技術総括理事がホン監督を最終候補として推薦し、面接も公正に行われなかったと指摘された。外国人候補者が数十ページの資料を準備して面接に臨んだのに対し、ホン監督の面接は深夜に自宅で非公式に行われたとされる。「出来レース」との批判は就任当初から続いていた。
加えて、Kリーグの蔚山HD FCをシーズン途中で離脱した点も反感を買った。就任前から信頼が揺らいでいた指揮官が、”楽勝”とされた組で敗退した。溜まっていた不満が一気に噴き出した構図だ。
ソン・フンミンをベンチに──最終戦の采配が怒りに火をつけた
決定打となったのは南アフリカ戦の采配だった。ホン監督は、W杯本戦で一度もベンチスタートがなかったソン・フンミンを先発から外した。ハンギョレ新聞によれば、監督は「相手に体力がある前半より、後半に空間ができたとき投入するのがいいと判断した」と説明した。
だが前半のうちに流れを握ることはできず、後半18分に失点。途中出場のソン・フンミンも状況を変えられなかった。英BBCは「韓国は初戦でみせた流れるような攻撃ができず、無気力な姿をみせた」と評した。
試合後、ホン監督は「誤った決断を下した」と認めた。しかしその一言が、批判をさらに加速させる。
100秒の辞任会見──「ポケットに手」で再炎上
敗退が確定した翌日の6月28日(日本時間29日)、ホン監督はメキシコ・サポパンの練習拠点で記者会見に臨んだ。
「国民の皆様に心からお詫び申し上げます。本日をもって代表チームの監督職を退きます」
冒頭で深く頭を下げた後、準備した声明文を読み上げた。「この2年間、常に同じ問いを自分自身に投げかけてきました。この選択は韓国サッカーのための選択なのか」「その責任は全て監督である私にあります」。会見の全文は日刊スポーツが報じている。
問題は、声明文の朗読が約100秒で終わり、質疑応答を一切受け付けずに退場したことだ。韓国メディアOSENは「前代未聞のW杯2度目の敗退、100秒の原稿を読み上げすっきりと退場、最後まで軽薄だった」と断じた。
さらに退場時にズボンのポケットに手を入れて歩く姿がSNSで拡散。東京スポーツが韓国メディアの報道として伝えたところによれば、「成績不振で辞任する監督としてふさわしい態度なのか」とSNS上で批判が殺到した。
大統領参戦、殺害予告、”出禁”──怒りの連鎖
辞任会見に先立つ6月28日、李在明大統領が自身のXに投稿した。TBSニュースによれば、大統領は「予想外の結果に戸惑いを超えて、あきれている」とし、「能力よりも身内びいきを優先し、無能な人を指揮官に選べば結果は火を見るより明らかだ」と踏み込んだ。文化体育観光部に対し「正確な状況把握、原因分析、再発防止」を指示したとも伝えられた。
現職大統領がサッカー代表監督を名指しで批判するのは異例中の異例だ。
並行して、韓国国内ではホン監督への攻撃が日常空間にまで広がった。聯合ニュースによれば、京畿道のレストラン入口に「ホン・ミョンボは出入り禁止」の張り紙が掲示された。店主は「韓国サッカーを好きな人間として怒りが湧いた」と取材に答えた。デイリースポーツやRBB TODAYの報道では、コンビニ、カフェ、市内バスにまで同様の掲示が広がり、全羅北道・金堤市の焼肉店やソウル麻浦区のカフェも公式SNSで”出禁”を宣言した。
そして韓国のオンラインコミュニティには殺害予告が投稿された。朝日新聞などによれば、仁川空港での帰国時に危害を加える趣旨の書き込みがあり、警察が投稿者の追跡に乗り出している。
韓国サッカー協会は帰国セレモニーの中止を発表。日刊スポーツは「02年日韓W杯以降、W杯遠征後に空港での式典なしに帰国するのは今回が初めて」と報じた。
日本のSNSでは同情と驚きが交差する
日本のXでは韓国の反応に対する驚きと同情が入り混じった。日刊スポーツの記事によれば「精神的ストレスほんとにヤバそう韓国って叩きようが半端ない」「監督ではなく、韓国サッカー界全体の責任なのでは」「なら大統領をまず辞任するべきでは」といった投稿が見られた。
批判と脅迫は違う、という声も多い。殺害予告が出たことで、日本のサッカーファンの間では韓国の”叩き方”そのものが議論の対象になっている。
怒りの行方──協会改革は進むのか
ホン監督は去った。だが問題はそこで終わらない。
就任経緯の不透明さ、協会のガバナンス、選手層の薄さ。ハンギョレ新聞のキム・デギル解説委員は「システムから生じる問題だ。前々から準備をして育成し、レベルの高い選手たちで構成されている日本チームと単純比較してはならない」と指摘した。
JBpressが報じたとおり、韓国では国会の国民同意請願サイトにホン監督の解任請願が上がるほどの騒ぎとなった。李在明大統領は体育行政改革を打ち出し、文化体育観光部のチェ・フィヨン長官も「底辺からやり直さなければならない」と述べた。
韓国代表は30日、帰国セレモニーなしで仁川空港に戻る。2014年のブラジル大会ではアメを投げられた。今回はそれ以上の事態を避けるための「無言の帰国」だ。
選手としてはレジェンド。監督としては2度のW杯で1勝3敗2分け。ホン・ミョンボという名前は今、韓国社会の怒りと失望を映す鏡になっている。
関連記事:塩貝健人、ブラジル戦前の発言が現地で物議 アンチェロッティ監督の反応を整理
[文/構成 by さとう つづり]































































コメントはこちら