大谷翔平の二刀流に地元紙コラムニストが「もう十分だ」 ドジャースに投手起用をやめるよう提言

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ロサンゼルスの地元紙で長くスポーツコラムを書くビル・プラシュケ記者が、現地10月21日(日本時間22日)に公開したコラムで、ドジャースは大谷翔平(32)にもう投げさせるべきではないと主張した。見出しは英語で「Enough is enough」。マウンドから永久に降ろし、本人が投打の両立にこだわり続けるならトレードも真剣に考えるべきだという内容だった。同じ日、球団のアンドリュー・フリードマン編成本部長は来季も大谷が投げることを前提に話している。
「Enough is enough」 コラムが求めたのは打者専念
コラムの見出しは「Enough is enough. The Dodgers must stop letting Shohei Ohtani pitch」。前半の「Enough is enough」は、日本語にすれば「もう十分だ」「いいかげんにしよう」といった意味合いの決まり文句で、後半は「ドジャースは大谷に投げさせるのをやめなければならない」という趣旨になる。
プラシュケ記者は1996年からこの地元紙でスポーツコラムを担当し、全米のスポーツ編集者でつくる団体APSEのコンテストで、コラム部門の1位に通算10度選ばれたベテランだ。大谷を「チームで最高の選手であり、最大の頭痛の種」と表現し、オフに向かうドジャースが向き合う課題は実質的にこの1つしかないと書き出した。
主張の芯ははっきりしていた。今季は、大谷が投手と打者をどちらもフルタイムでこなすことはもうできないと示したシーズンだったとし、球団はこの現実を受け止めて決断しなければならない、という論立てだ。具体的には、大谷をマウンドから永久に降ろすこと。本人が打撃を損なう二刀流を続けると言い張るなら、トレードを真剣に考えるべきだとまで踏み込む。
もっとも、記者自身もトレードが現実的だとは書いていない。大谷を手放せば、ベーブ・ルースを放出したレッドソックス以来の愚策になりかねないと認め、大谷の契約にはトレード拒否条項があり、去就の主導権は本人にあることにも触れた。それでも、投げることが打撃とチーム全体の攻撃をむしばむなら、ほかの選択肢も話し合う必要があるという立場を崩していない。
投げなければ打てたのか コラムが並べた根拠
コラムは、大谷の投手としての力そのものを否定していない。今季は14試合に先発して8勝2敗、防御率1.79。投球に専念すればサイ・ヤング賞を何度か取れるだろう、とまで書いている。問題にしたのは、投打の両立が体と打撃に与えた負担のほうだった。
区分(2026年) | 成績
— | —
レギュラーシーズン投手 | 14試合(すべて先発)8勝2敗、防御率1.79、85回2/3、95奪三振
レギュラーシーズン打者 | 139試合、打率.275、30本塁打、81打点
ポストシーズン | 8試合すべて打者、打率.192(26打数5安打)、1本塁打、3打点、登板なし
※MLB公式記録。ポストシーズンは10月15日(現地)の敗退まで
今季の大谷は3月31日(現地)のガーディアンズ戦から先発ローテーションに入り、サイ・ヤング賞を狙える水準で投げていた。ところが6月に左ひざの痛みが出始め、7月3日のパドレス戦を最後にマウンドから遠ざかる。その後も投手復帰を目指して調整を続けたが、9月には右上腕二頭筋の炎症で15日間の負傷者リストに入り、結局7月3日を最後に、レギュラーシーズン、ポストシーズンを通じて一度も投げなかった。
プラシュケ記者が厳しく指摘したのは、この間の球団の判断だった。7月の時点で投げることも打つことも止め、完全に治るまで休ませるべきだったのに、スーパースターの意向に押されて続けさせた、と書く。マウンドで投球を直そうとした結果、打撃のフォームまで崩れ、それが3連覇を逃した一因になったかもしれないという見方だ。ポストシーズンの5安打は単打4本と最終戦の本塁打1本だけだった。
過去2年の世界一も根拠に挙げる。2024年のポストシーズンは打者に専念して一度も投げず、2025年のポストシーズンは4試合に先発して防御率4.43。それでもドジャースは2年続けて世界一になった。ワールドシリーズを制したのは「打者・大谷」の力で、「投手・大谷」ではなかったという主張だ。
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本人は「全部やるつもり」、球団も「投げてほしい」
コラムが強い言葉を選んだ背景には、大谷と球団の姿勢がある。
ドジャースは現地10月15日(日本時間16日)、本拠地でブルワーズに4-6で敗れ、ナ・リーグ優勝決定シリーズを4連敗で終えた。試合後、大谷は日本の報道陣に来季も二刀流を続けるかと問われ、「全部やるつもりで」と答えている。英語の取材では、通訳のウィル・アイアトン氏を介し、来季投げるつもりかとの質問に「Yes, definitely(もちろん)」と答えた。シーズン終盤とポストシーズンに投げられなかったことには満足していないとし、治療やトレーニングを一から見直す考えも口にした。
関連記事:大谷翔平、来季も二刀流「全部やるつもり」 米地元紙記者は登板間隔など起用法の変更を提言
球団の側も、投手・大谷を手放す気配はない。フリードマン編成本部長は現地10月21日、シーズン総括の会見で、大谷が投げることを期待しているだけでなく、楽しみにしているという趣旨の話をした。その価値は計り知れないとし、最善の方法を見つけるのは自分たち全員の責任だとも述べている。オフの手術については「That’s not on the table(検討していない)」と答えた。
ただ、プラシュケ記者が見逃さなかった一言もある。長いシーズンを乗り切り、最高の状態で10月を迎えさせるのは難題だと話したフリードマン氏は、大谷の年齢で投打をこなしながらシーズンとポストシーズンを完走できるかと問われ、「I don’t know the answer to that(その答えはわからない)」と答えた。記者はこの「難題」という言葉に、「不可能」と言ったほうがいいかもしれないと切り返している。
敗退直後は「起用法の見直し」 論調は一段強くなった
大谷の起用をめぐる地元紙の議論は、敗退直後から続いていた。
別の地元紙のディラン・ヘルナンデス記者は、敗退が決まった10月15日夜(現地)のコラムで、チームが別れを告げるべきものの1つに、フルタイムでの二刀流を挙げた。翌16日のコラムでは、ドジャースは大谷の言いなりになるのではなく対等な相手として関わるべきだと書き、先発と先発の間隔をもっと空ける、シーズン序盤は投げさせないといった方法を示している。こちらは二刀流を続ける前提で、どう負担を減らすかを探る提言だった。
プラシュケ記者のコラムは、そこから一歩進んだ。登板の数や時期を調整する案ではなく、投げること自体をやめさせるよう求めた。治療法やトレーニングを見直したいという大谷の言葉に対しても、年齢を治す治療はなく、積み重ねた投球回を消せるトレーニングもない、と冷ややかに書いている。
2度目の右ひじ手術を受けた2023年以降、大谷は1シーズンを投打の両方でやり通したことがない。2024年は打者に専念し、2025年はシーズン途中に投手へ戻って14試合に先発。そして2026年は開幕から投げたものの7月で止まった。コラムはこの3年を、投打フル稼働の限界を示す材料として並べている。
外野手への転向案も オフの焦点は大谷の決断
コラムは、ドジャースが投手・大谷を必要としていない一方で、打者・大谷は欠かせないと結論づける。そのうえで、説得は簡単ではないとも認めた。二刀流は大谷が財産を築いた道であり、本人の存在そのものと結びついているからだ。
記者が持ち出したのは、大谷の父親が昨季後に寄せた手記の一節だった。いずれ投手か打者のどちらかに専念する時が来ると思う、投げられなくなっても外野手としてやっていけるだろう、という趣旨の言葉だ。記者は、予想どおりテオスカー・ヘルナンデスをトレードすれば左翼手の座が空くとし、外野の定位置を用意すれば大谷もマウンドを譲るのではないか、という案まで書き添えている。
大谷は2023年12月、10年総額7億ドルの契約でドジャースに入った。コラムは、オールスター級の打者と投手の2人分の価値があるという前提で結ばれた契約だと書く。その前提をどう扱うかが、このオフの大きな論点になる。
手術は検討していないと球団は説明し、本人は治療とトレーニングを見直して来季も投げるつもりでいる。一方で、地元紙のベテランコラムニストは投手をやめるよう公然と求めた。12月1日には大リーグの労使協定が期限を迎え、ロックアウトになれば球団と選手の連絡も途絶える。投げるのか、打つことに絞るのか。答えを出す時間は、思っているほど長くない。
[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]












































































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