銀行の本人確認、免許証の写真からICチップへ 2027年を前に切り替え進む

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ネットの口座開設で、免許証などと自分の顔を撮影して送る本人確認が廃止に向かう。法令上の期限は2027年4月1日だが、金融庁が早めの対応を求めるなか、みずほ銀行が10月19日にこの方式を終え、あおぞら銀行も10月28日で終える。免許証が無効になるわけではなく、ICチップを読む方式なら使える銀行もある。
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廃止されるのは「撮影して送る」方式
スマホのカメラで運転免許証の表面を撮り、続けて自分の顔を撮影して送る。ネット銀行やアプリでの口座開設で広く使われてきたこの本人確認の方法が、2027年4月1日に法令上使えなくなる。犯罪収益移転防止法の施行規則が2025年6月24日に改正され、本人確認書類の偽造や変造によるなりすましのリスクが高い方法として、廃止が決まった。
代わりに残るのは、本人確認書類に埋め込まれたICチップの情報を使う方法だ。スマホをカードにかざして氏名や住所、顔写真のデータを読み取り、その場で撮影した顔と照らし合わせるやり方や、マイナンバーカードの電子証明書を使う「公的個人認証」がこれにあたる。運転免許証にもICチップが入っているため、読み取り方式を受け付ける銀行なら、免許証での申し込みは引き続きできる。
なくなるのは免許証ではなく、券面を写真に撮って送るという手順だ。
期限まで半年近くあるのに、なぜ今になって動きが早まったのか。
きっかけの一つは、本人確認書類の画像の流出だった。金融庁は10月9日、不正アクセスで本人確認書類の画像を含む顧客情報が漏えいする事案が起きているとして金融機関に注意を促し、施行日を待たずにICチップ情報の読み取りへ「可及的速やかな対応」を図るよう求めた。金融庁は企業名を挙げていないが、9月にはカーシェアリングの「タイムズカー」が、運転免許証の画像などの本人確認書類が漏えいしたアカウントは約160万件にのぼると公表している。報道によると、みずほ銀行の前倒しはこの流出を踏まえた対応だという。
10月に入り各行が前倒し あおぞらはマイナカード必須に
大手行では、みずほ銀行が10月19日に受け付けをやめた。報道によると、同行はスマホでの口座開設で撮影方式を終え、ICチップの読み取りに切り替えた。
あおぞら銀行は「BANK預金口座WEB開設サービス」で、本人確認書類と容姿をカメラで撮影して送る方式を10月28日で終了する。29日からはマイナンバーカードのICチップ情報を読み取る公的個人認証(JPKI)に切り替わり、このサービスで申し込むにはマイナンバーカードが必ず要る。運転免許証と運転経歴証明書は使えないと同行は案内しており、対象はWEBでの口座開設の手続きだ。
動きは地方銀行にも広がる。百五銀行はスマホバンキングアプリで、運転免許証などの券面を撮影する認証を10月22日に停止し、公的個人認証とICチップ読み取りによる認証は続ける。京都銀行は京銀アプリでの新規口座開設について、顔写真付き書類の画像と顔認証による確認を11月2日(予定)でやめ、マイナンバーカードの公的個人認証に一本化すると発表した。
ゆうちょ銀行も10月20日から、ネットサービス「ゆうちょダイレクト」での投資信託・NISA口座の申し込みで、画像のアップロードに代えて公的個人認証を取り入れた。こちらは貯金口座の開設ではなく、投資信託とNISAの申し込みが対象になる。
三菱UFJ銀行は、すでに切り替えを終えている。報道によると、同行は5月にICチップの読み取り方式へ移った。アプリでの「スマート口座開設」では本人確認書類のICチップを読み取って顔を撮影する手順をとり、運転免許証を使う場合は、免許証の発行時に登録した数字4桁の暗証番号が2種類とも必要だ。マイナンバーカードで公的個人認証を使うなら、英数字6〜16桁の暗証番号を入力する。
| 確認項目 | あおぞら銀行 | 三菱UFJ銀行 |
|---|---|---|
| 対象の手続き | BANK預金口座WEB開設 | スマート口座開設(アプリ) |
| 撮影して送る方式 | 10月28日で終了 | ICチップ読み取りへ移行済み(報道によると5月) |
| マイナンバーカード | 必須(公的個人認証) | 使える |
| 運転免許証 | 使えない | ICチップ読み取りで使える |
三井住友銀行も前倒しの方針と報じられているものの、終了日はまだ発表していない。10月21日時点で同行の口座開設ページには、運転免許証を撮影する方式が載ったままだ。りそなホールディングス傘下の銀行は、前倒しも含めて検討を続けている。
ICチップ読み取りと公的個人認証、何が違うのか
どちらもICチップを使う点は同じでも、確かめ方には違いがある。
ICチップ読み取り方式は、カードのチップに記録された氏名や住所、生年月日、顔写真のデータを読み出し、スマホで撮った本人の顔と照らし合わせる。運転免許証やマイナンバーカードなどが使え、免許証の場合はチップを開くための暗証番号の入力が求められる。
公的個人認証は、マイナンバーカードに入った「署名用電子証明書」で電子署名をし、その証明書が有効かどうかを地方公共団体情報システム機構が確認する仕組みだ。あおぞら銀行や京都銀行が切り替える先は、こちらの方式になる。署名用電子証明書には、マイナンバーカードの交付時に設定した英数字6〜16桁のパスワードがある。
撮影した券面の画像には、加工や使い回しが入り込む余地があった。法改正でも、偽造や変造によるなりすましのリスクが廃止の理由に挙げられている。ただ、ICチップを使えば不正がなくなると保証されたわけではなく、暗証番号やパスワードを他人に知られないよう管理する必要は変わらない。
スマホのアプリでカードを読み取って申し込む場合は、カードをかざしてデータを読むNFC機能を備えた機種が必要になる。
既存の口座への影響と、手続きの前に確かめたいこと
すでに口座を持っている人が、急いで何かをする必要はなさそうだ。各行が告知している変更は新規の口座開設などが対象で、持っている口座が一斉に使えなくなるという発表は出ていない。法令上も、一度取引時確認を済ませ、その記録が残っている顧客は、原則として改めて確認を受けなくてよいとされる。もっとも、取引の内容によっては改めて確認を求められる場合がある。
これからネットで口座を作るなら、申し込む銀行がどの方式を受け付けているかを、まず公式サイトで確かめたい。マイナンバーカードだけに絞る銀行もあれば、三菱UFJ銀行のように運転免許証のICチップ読み取りを受け付ける銀行もある。カードを読み取れないスマホを使っている場合などに、どんな代わりの手続きを用意しているかも銀行ごとに違う。
免許証で申し込むときに戸惑いやすいのが暗証番号だ。免許証を受け取るときに登録した数字4桁の番号で、忘れた場合は本人が免許証を持って警察の窓口で確かめる仕組みがあり、電話や代理人では教えてもらえないと北海道警察は案内している。同じ案内によると、運転免許証は3回続けて間違えると読み取れなくなるため、うろ覚えのまま何度も入力するのは避けたい。
窓口での手続きも、2027年4月1日からはICチップの読み取りが原則になる。2026年3月に公布された改正命令によるもので、ネットに限らず、書類の見た目で確かめる本人確認そのものがICチップを軸にしたやり方へ移っていく。
免許証が使えなくなるわけではないが、ネットで使うにはICチップの読み取りと暗証番号が欠かせなくなる。申し込む銀行が免許証を受け付けるかと、自分の暗証番号を先に確かめておきたい。
[文/構成 by MediaDogs編集部]












































































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