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阪神、ドラフト1位は公表せず 藤川球児監督「監督が独断で決めるってことはないので、公表はないと思います」

阪神、ドラフト1位は公表せず 藤川球児監督「監督が独断で決めるってことはないので、公表はないと思います」

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

阪神は10月21日、東京都内のホテルでドラフト前日のスカウト会議を開き、1位指名選手を公表しなかった。藤川球児監督(46)は「監督が独断で決めるってことはないので、公表はないと思います」と説明。報道では青山学院大の渡部海捕手(22)が最有力とされ、最終決定は10月22日16時50分開始予定のドラフト会議当日に持ち越された。

約3時間の会議、1位は当日まで決めない

スカウト会議は約3時間に及んだ。藤川監督はスカウト陣から指名候補の報告を受け、会議後の取材で1位を明かさない理由をこう語っている。

「もう今は編成のチームとフロントと現場で監督が独断で決めるってことはないので、公表はないと思います」

編成担当、球団フロント、現場の三者で決める体制なので、監督ひとりが先に名前を出すことはない、という説明だ。報道によると、阪神の1位は例年どおり非公表で、最終的には会議当日に1位を決める方針だという。

競合も覚悟の上かと問われると、指揮官ははっきりとは答えなかった。「そうですね。選手の人生もかかってますしね。もちろん、それはそうなればドラフトの意味合いもより強くなるでしょうけど。でも、よく分かりません」。1位の名前を含め、肝心な部分は最後まで伏せた。

1位の事前公表を見送ったのは阪神だけではない。2026年は12球団がそろって1位を公表しないまま会議当日を迎えた。10月15日には、横浜高の織田翔希投手が会見を開き、NPBを経ずに米球界へ挑戦する意向を表明している。マイナー契約だけでなく、大学への進学も視野に入れているという。

関連記事:ドラフト会議、12球団とも1位を事前公表せず13年ぶり 22日午後4時50分開始

最有力は青学大・渡部海、捕手の世代交代が課題

1位の最有力候補として報じられているのが、青山学院大の渡部海捕手だ。智弁和歌山高2年夏に全国制覇を経験し、青学大では1年春からレギュラーの座をつかんだ。在学中に東都大学リーグ6連覇、4度の大学日本一を経験し、大学日本代表にも選ばれている。身長180センチで、強肩強打の大型捕手として評価が高い。4年生では主将を務め、2026年春のリーグ戦は国学院大に優勝を譲って史上初の7連覇を逃したが、チームの中心としてマスクをかぶり続けてきた。

なぜ阪神が捕手を最優先に据えるのか。

答えは一軍の年齢構成にある。正捕手の坂本誠志郎は11月に33歳を迎え、梅野隆太郎や伏見寅威はさらに年上だ。30代の捕手がマスクをかぶり続けるなか、次の正捕手候補を確保することが今回のドラフトの大きなテーマになる。渡部は坂本より10歳以上若く、即戦力捕手としての期待もかかる。

NPBの公式記録で2026年のレギュラーシーズンを見ると、捕手として最も多く出場したのは坂本の94試合で、伏見が47試合、梅野が27試合と続く。チームの143試合のうち、坂本が捕手として出場したのはおよそ3分の2の試合で、残りの多くは30代のベテラン2人が受け持った。坂本は打撃でも10本塁打を放った一方、打率は1割9分7厘にとどまっている。

ただ、報道では渡部に複数球団の競合が見込まれている。阪神が抽選を外した場合に備え、外れ1位候補のリストも厚くしているという。

外れ1位の筆頭は明大・榊原七斗

外れ1位の筆頭に挙げられるのが、明治大の榊原七斗外野手(22)だ。報徳学園高時代はエースとして投手と外野手を兼ね、明大では外野手としてプレーしてきた。東京六大学リーグ通算12本塁打の長打力を持つ左打者で、「ポスト近本」の呼び声が高い。

中堅を守る近本光司は来季32歳となり、2026年シーズンは4月の広島戦で死球を受けて左手首を骨折し、長期離脱した。中堅の後継者の育成は、以前から課題とされてきた。NPBの公式記録では、近本の2026年の出場はチーム143試合のうち90試合で、離脱が響いた。それでも打率は3割6厘を残しており、1番打者としての重みは数字にも表れる。

報道によると、上位候補には榊原と同じ明大の岡田啓吾内野手の名前も挙がる。俊足が持ち味の二塁手だ。2位以下では、将来性のある高校生左腕や大学・社会人の即戦力投手、内野手が候補になるとみられている。

藤川監督が引いた過去2年のクジ

阪神は藤川監督の就任後、2年続けて1位で競合に挑んできた。ここ3年の1位指名は次のとおりだ。

年1位指名(最終)経緯
2023年下村海翔(青山学院大・投手)単独指名で交渉権を得た
2024年伊原陵人(NTT西日本・投手)関西大・金丸夢斗を4球団で競合し中日が交渉権、外れ1位で伊原を指名
2025年立石正広(創価大・内野手)広島、日本ハムと3球団競合、藤川監督が交渉権を引き当てた

就任1年目の2024年は、藤川監督が自ら抽選に臨んだ。DeNAの三浦大輔監督、巨人の阿部慎之助監督、中日の井上一樹監督と4人が並んだ壇上で、交渉権を引き当てたのは中日の井上監督だった。

2025年は創価大の立石正広を1位で指名し、広島の新井貴浩監督、日本ハムの新庄剛志監督とのクジに臨んだ。抽選で藤川監督が交渉権を引き当て、阪神は大学球界屈指の強打者を迎え入れる。前日のスカウト会議では、2024年と同じく1位を公表していなかった。

佐藤輝明が抜ける来季、ドラフトの重みは増す

阪神は2026年、球団史上初のセ・リーグ連覇を果たした。しかし、クライマックスシリーズのファイナルステージでDeNAに敗れ、日本シリーズ進出を逃している。ファイナルステージの敗退は10月17日に決まり、ドラフト前日のスカウト会議はシーズンの戦いをすべて終えた状態で開かれた。

チームの事情も大きく動く。4番を務めてきた佐藤輝明内野手(27)がポスティングシステムでの大リーグ挑戦を希望し、球団もこれを認めた。主砲が抜ける穴を、ドラフトでどう埋めていくのか。捕手、中堅手と、ポジションごとの世代交代も同時に迫る。

粟井一夫球団社長は以前から選手層を厚くする必要性を口にしており、阪神は大学、社会人、独立リーグからの育成選手も積極的に補強していく方針だと報じられている。

ドラフト会議の会場は、東京都内のグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール。会議の模様はTBS系列で全国に放送され、スカイA、ニッポン放送のラジオ、インターネットのDAZNとU-NEXTでも中継される。支配下選手の指名が終わると、続いて育成選手選択会議が開かれる。

1位の名前が読み上げられるのは、10月22日16時50分に始まるドラフト会議の場だ。「独断では決めない」と話した藤川監督と、編成・フロントが最後にどの選手を選ぶのか。答えは会議の1巡目入札で明らかになる。

[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]

寄稿者

高瀬翔吾
Webメディアでスポーツ、エンタメ、時事ニュースなど、累計数千本の記事制作に携わってきたスポーツ系ライター。野球分野では、プロ野球の試合結果や選手の記録をはじめ、MLB、高校野球、ドラフト、移籍、契約更改などの記事を継続的に担当。数字や公式記録を基に情報を整理する記事を得意としており、結果を伝えるだけでなく、その記録が持つ意味や、選手・球団を取り巻く背景までわかりやすく解説することを心がけている。主な執筆分野は、プロ野球、MLB、高校野球、侍ジャパン、ドラフト、移籍情報。

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