福島県南相馬市で恐竜の足跡化石、ジュラ紀として国内最大の約70センチ 23日から実物大パネル展示

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福島県南相馬市は10月22日、市内に分布する約1億6000万年前(ジュラ紀後期)の地層「栃窪層(とちくぼそう)」で、長さ約70センチの恐竜の足跡化石が見つかったと発表した。国内で確認されているジュラ紀の恐竜足跡化石として最大で、首の長い大型の植物食恐竜「竜脚類」が残した可能性が高い。10月23日からは南相馬市博物館で実物大のパネルを展示し、JR原ノ町駅でも足跡を実寸大で再現している。
ジュラ紀の足跡で国内最大、栃窪層から10点以上
発掘したのは、南相馬市博物館と福島県立博物館、市内外の研究者でつくる調査チームだった。発表では、調査チームの中心を担った福島県立博物館の吉田純輝副主任学芸員が説明にあたった。2026年7月、予備調査を経て本格的な掘削に入り、5日目に足跡化石の群れが見つかった。
市の発表では、新たに見つかった足跡化石は10点以上。報道によると、縦5メートル、横7〜8メートルほどの範囲に12点が分布していた。最大の1点が長さ約70センチで、指の跡などから左の後ろ脚の足跡とみられている。
栃窪層は、南相馬市の北部から中部にかけて南北に延びる地層だ。足跡が出た地点の地区名や詳しい場所は公表されていない。化石の保全と安全確保のため、市は発掘現場を非公開としている。
国内で見つかる恐竜化石の多くは白亜紀のもので、それより古いジュラ紀の発見例は少ない。報道によると、ジュラ紀の恐竜化石が見つかっているのは福島県のほかに長野県と山口県だけだという。数少ない時代の空白を埋める手がかりが、浜通りの地層から出てきた。
下関の33センチを大きく上回る、竜脚類の可能性
これまで国内のジュラ紀で最大とされてきたのは、1993年に山口県下関市で見つかった足跡で、長さは33センチだった。今回の約70センチはその2倍ほどにあたり、恐竜の種類を問わずジュラ紀の足跡として国内最大となる。
足跡の主は誰なのか。
調査チームは、70センチの足跡を含む5点について、形や大きさ、指の跡から竜脚類のものとみている。竜脚類は長い首と尾を持ち、4本の脚で歩いた大型の植物食恐竜で、ブラキオサウルスなどが知られる。腰までの高さは約3メートルと推定され、報道ではブラキオサウルスに似た仲間の可能性にも触れている。竜脚類と確かめられれば、ジュラ紀の竜脚類の足跡として国内で初めての発見となる。
吉田副主任学芸員は報道陣に対し、東北地方で見つかった恐竜の足跡化石として最大だと説明した。白亜紀の地層から見つかった大型の足跡に匹敵する大きさだともいう。研究チームは今後、恐竜の種類などの研究を進める方針で、吉田副主任学芸員は「今回の足跡を残した恐竜の種類について詳しい調査を進め、ジュラ紀後期に日本にどんな恐竜が生息していたのかを解明したい」としている。
一方で、恐竜の種類はまだ特定されていない。市の発表も「竜脚類などの可能性が高い」という表現にとどめており、確定には3D解析などの研究を待つ必要がある。
発掘5日目の発見、10年がかりの調査の始まり
南相馬市は、一つの市の中で古生代から新生代まで各時代の化石が見つかる地域として知られる。南相馬市博物館が2019年に開いた特別展「相双の化石大集合!!」の資料によると、南相馬市から相馬市にかけて分布する「相馬中村層群」(ジュラ紀中期〜白亜紀初期)からは、新種のソテツやアンモナイト、カニのほか、恐竜の足跡などの化石が見つかってきた。
栃窪層もその一つだ。同じ資料には、栃窪層の原町区で採取された小型獣脚類(肉食恐竜の仲間)の足跡や、鹿島区で見つかった新種のソテツ類、絶滅した植物ベネチテス類の化石が載っている。地元の愛好家や研究者が積み重ねてきた採集の記録が、大型の足跡を探す土台になった。
こうした蓄積を踏まえ、南相馬市博物館は2025年度に「恐竜化石探索調査・教育普及事業」を始めた。10年ほどを見込んだ長期の取り組みで、2025年には市内外の研究者らによる調査チームを結成している。本格的な掘削から5日目、早い段階で成果が出た。
福島県の浜通りでは、1968年にいわき市で当時高校生だった鈴木直が首長竜の化石を見つけ、のちに「フタバスズキリュウ」として知られるようになった。首長竜は恐竜とは別の海の爬虫類で、時代も白亜紀後期にあたる。南相馬の足跡は、それより古いジュラ紀の陸上の恐竜を示す記録になる。
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23日から南相馬市博物館で実物大パネル、原ノ町駅でも再現
発掘現場には入れないが、足跡の大きさは市内で体感できる。南相馬市博物館(南相馬市原町区牛来字出口194)では10月23日から、足跡の実物大パネルを展示する。発表の席では、吉田副主任学芸員が原寸大のパネルを示しながら説明した。
市は同じ10月23日から2027年1月17日まで、恐竜をテーマにしたスタンプラリーを開く。主な会場と内容は次のとおりだ。
| 会場 | 内容 |
|---|---|
| JR原ノ町駅 | 約70センチの足跡を実寸大で再現 |
| 南相馬市立中央図書館 | 恐竜関連の本の特集 |
| 南相馬市博物館 | 研究成果の紹介 |
| セデッテかしま | 恐竜のフォトスポット |
スポットは市内7か所にあり、指定の4か所と、選べる1か所の計5か所を回る仕組みだ。恐竜について学びながら市内を巡れるよう、駅や図書館など立ち寄りやすい場所を組み合わせている。
南相馬市博物館の開館時間は午前9時から午後4時45分(最終入館は午後4時)で、月曜日(祝日の場合は翌平日)と12月29日〜1月3日の年末年始が休館となる。観覧料は、企画展「指定文化財展」を開いている11月23日までは一般400円、高校生200円、小中学生100円(常設展のみの時期は一般300円)で、市内と飯舘村に住む、または通学する小中高生は無料。11月3日(文化の日)は誰でも無料で観覧できる。パネルが有料の展示室に置かれるかどうかは発表資料に書かれていないため、来館前に博物館(電話0244-23-6421)で確かめておくと安心だ。
2027年度に第2次発掘とレプリカ、ふるさと納税で支援も
市は今後、見つかった足跡化石の学術的な評価や3D解析、保存と安全対策を進める。2027年度には足跡のレプリカ作り、第2次発掘調査、企画展を計画しており、詳しい成果はそこで公開される見通しだ。
南相馬市は「相馬野馬追」の伝統を持ち、東日本大震災と原発事故からの復興の中で宇宙・ロボット関連の産業も集まってきた。市はこの発見を子どもたちの学びや観光、まちづくりにつなげる方針で、東日本旅客鉄道(JR東日本)やJTB、あぶくま信用金庫など17社が協賛・共創パートナーとして加わる。教育・発信パートナーには「学研の図鑑LIVE」が参加し、市内の観光協会なども協力する。
資金面の支えも動き出した。市は10月22日から、ふるさと納税で「南相馬恐竜発掘プロジェクト」への寄付の受け付けを始めている。返礼品なしのプランは3000円から100万円までの7種類で、地元の黒潮海苔店の焼き海苔を返礼品にしたプラン(1万4000円)もある。寄付金はすべて発掘プロジェクトに充てられる。
約1億6000万年前、南相馬の大地を大型の恐竜が歩いていた。その証拠となる70センチの足跡は、10年ほどを見込んだ調査の早い段階で見つかった。足跡の主を絞り込む研究は、2027年度のレプリカ制作や第2次発掘、企画展へと続いていく。
[文/構成 by MediaDogs編集部]











































































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