「あかり、信じてるからな」の元ネタは料理家・長谷川あかりのレシピ 流行語大賞にノミネート、78万いいねの酒蒸しハンバーグと本人が語った「変な工程」の理由

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
「あかり、信じてるからな」は、料理家で管理栄養士の長谷川あかり(30)のレシピに挑む人が、意外な工程に戸惑いながらSNSへ書き込む決まり文句だ。11月5日、2026年の新語・流行語大賞のノミネート30語に入った。言葉の広がりと結びつけて本人が語るのは、78万いいねを超えた酒蒸しハンバーグの投稿。長谷川は6日、「ひたすら驚いております」とSNSでつづった。
「あかり、信じてるからな」の意味
「『現代用語の基礎知識』選 2026 T&D保険グループ新語・流行語大賞」のノミネート30語は、11月5日午後2時に発表された。その中で、聞き慣れない人が多かったのがこの言葉だ。街の人に聞いた報道でも、意味が分からず「?」となる反応が紹介された。
「あかり」は長谷川あかりを指す。ノミネートを伝えた報道では、手間を抑えながら満足感のある家庭料理のレシピが注目を集め、レシピ本も次々に出ていると紹介された。レシピの再現に独自の工程が入ることがあり、ファンが不安と期待を込めて投稿する言葉として広まったと説明している。オリジナルレシピの意外な食材の組み合わせを理由に挙げた報道もある。
使われ方はシンプルだ。レシピの手順に「本当にこれで大丈夫か」と思える一手が入っていても、作る側はその手順を疑わずに進める。そのときの気持ちを、本人へ呼びかける形で書き込むのがこの言葉になる。
SNSでは「あかり、信じてるぞ」「あかり信じてるぞ」の形でも使われてきた。ノミネートされたのは「あかり、信じてるからな」の形だ。食や料理に関わる言葉では、ほかに「だけ弁当」も30語に入った。
元ネタとされる酒蒸しハンバーグ
本人が言葉の広がりと結びつけて語るのが、ハンバーグのレシピだ。2023年1月13日の夜、長谷川は自身のXに「バター酒蒸しハンバーグ」を投稿した。
投稿文には「フライパンひとつ、ヘラで混ぜるだけだから、包丁も手も使わずに20分で完成します」とある。続けて「酒蒸しにした汁をそのままソースにするのもポイント。牛乳をたっぷり入れると、ふっくらとして美味しいんです」と、作り方の要点を短くまとめていた。
反響は大きかった。いいねは11月6日時点で78万602件に上り、表示回数は2025年12月の時点で2.6億回を超えた。とりわけ大きく広がったのは、投稿から2年あまりたった2025年だ。
報道で紹介されたレシピのテーマは「とにかく手を汚さないこと」。合いびき肉に、キッチンばさみで刻んだベーコン、にんにく、牛乳、片栗粉などを加えて粘りが出るまで混ぜ、ラップで包んで形を整える。バターで焼いて裏返したら料理酒を加えて蒸し焼きにし、ミニトマトも入れてさらに蒸す。紹介された材料に玉ねぎは入っていない。
戸惑いを招くのは、牛乳の量と混ぜ方だ。長谷川はインタビューで「大量に牛乳を入れてへらで練るところが、「大丈夫か……?」ってなるポイントだと思うんですけど」と認めている。
ただ、その工程には理由があった。長谷川は「令和の家庭に寄り添うハンバーグの最適解を出したかった」と話す。総菜やレトルトのハンバーグは硬くなりがちで、自分で作ってこそ食べられる、ふかふかで熱々の一皿がほしかった。つなぎも使いたくない。その条件を満たそうとすると、大量の牛乳を入れて練り続ける工程が「仕方なく発生しただけ」だという。
ずっと出張に行っていた夫がやっと帰ってきたので、バター酒蒸しハンバーグをつくりました。フライパンひとつ、ヘラで混ぜるだけだから、包丁も手も使わずに20分で完成します。酒蒸しにした汁をそのままソースにするのもポイント。牛乳をたっぷり入れると、ふっくらとして美味しいんです。 pic.twitter.com/40y94vZvHv
— 長谷川あかり (@akari_hasegawa) January 13, 2023
「信じて」の言葉はどこから広まったか
ハンバーグの投稿は、一度きりで終わらなかった。長谷川は別のインタビューで、このレシピは2回反響が広がったと明かしている。2回目は、YouTubeを始めたタイミングで同じレシピを再び投稿したときだった。長谷川は2025年9月11日にYouTubeを始めると告知し、13日には2023年のハンバーグの投稿をXで引用して、作り方をYouTubeの動画で紹介していると知らせた。その投稿には「牛乳の量と、牛乳を加えた後のビジュアルに焦ると思いますが大丈夫です!!!」と添えている。
その際、「本当に大丈夫か?」という反応が水面下でちらほら聞こえてきたという。それをきっかけに、長谷川は「おいしいので信じてください」と投稿した。本人は「そこから「信じているぞ」に派生していったのかなと思います」と振り返る。これはあくまで本人の推測で、自身もそう断定はしていない。
別の説明もある。2024年夏にフォロワーが投稿した、長谷川のレシピはまず信じる工程から始まる、という趣旨の投稿が発端だとする報道だ。ただ、その元の投稿がどれなのかは確認できていない。
言葉を最初に書き込んだのは、誰の、どの投稿なのか。
今のところ、最初の1件は特定されていない。確かなのは、ハンバーグの投稿が大きく広がったこと、再投稿への反応を受けて本人が「信じてください」と投稿したこと、そしてファンの書き込みが重なって広まったことだ。対象もハンバーグに限らない。2025年12月14日放送のラジオ番組では、ナビゲーターの俳優・吉岡里帆が、炊飯器に大きな具材をのせて炊き込むレシピに「あかり、信じてるぞ」と書いた投稿が広がっていると紹介した。
本人にとっても予想外の動きだった。長谷川は「「信じてるぞ」に関しては、私もそこまで反響があるとは想像してなかったです」と話している。
| 時期 | 主な出来事 |
|---|---|
| 2023年1月 | 酒蒸しハンバーグをXに投稿 |
| 2024年夏 | フォロワー発端説の報道、 |
| 2025年9月 | YouTubeを開設、 |
| 2025年12月 | 表示が2.6億回超、 |
| 2026年11月 | 5日にノミネート30語に選出、 |
| 2026年12月 | 1日、 |
なぜ「変な工程」になるのか 本人が語ったレシピの作り方
不安になる手順は、驚かせるための仕掛けなのか。長谷川はインタビューで、そうではないと明言している。
「私も「あかり信じてるぞ」は本当に不思議で(笑)。私のレシピの作り方って順序が逆なんです」。長谷川はこう切り出した。作った料理に後から名前を付けて分量を出すのではなく、最初に「これを作るぞ」と決め、そのためにどうするかを考える。面倒なところを全部落としていくので、「作り方として変な工程が生まれやすいんです」と明かした。
意図についても、はっきり語っている。「それは驚かせるためでもなんでもなくて、ゴールに最短距離で合理的に行こうとするとそうなってしまう、という結果です」。まったく意図しないまま反響が広がった状況を、長谷川は「うれしい誤算」と表現し、その変わった点が「あかり信じてるぞ」と言い換えられたのではないかと受け止めている。
ラジオ番組でも同じ考えを示した。炊飯器に野菜がドンと置かれたようなレシピは、多くの条件を満たそうとして最短距離で生まれたもので、変わったレシピを出したい思いはないという。
ハンバーグの牛乳も、炊飯器の大きな具材も、出発点は手間を減らしておいしく作ることにある。ゴールを先に決めてから手順を削る作り方が、結果として見慣れない工程を生む。読む側が一瞬ひるみ、それでも作ってみる。その間に書き込まれてきたのが「信じてるぞ」の一言だ。
長谷川あかりとは 元てれび戦士の管理栄養士・料理家
長谷川は1996年生まれの30歳。小学6年生のときに「天才てれびくんMAX」でデビューした元てれび戦士で、2018年に芸能界を引退したあと、栄養学を学んで管理栄養士の資格を取った。SNSに投稿したレシピが注目を集め、2022年に初のレシピ本を出した。今は本やSNS、YouTubeでレシピを発信している。俳優の河合優実も、テレビ番組で長谷川のファンだと明かしている。
ノミネートへの本人の反応と12月1日の発表
ノミネート発表の翌日、11月6日に長谷川は自身のSNSを更新した。
「流行語大賞候補の件、直前まで何も知らなかったのでひたすら驚いております…!」と、事前に知らされていなかったことを明かした。そのうえで「ノミネートされているのは皆様から生まれたお言葉ですので、私の顔写真が出るのも恐縮なのですが、こうして取り上げていただけることをとてもうれしく思っています」と、言葉を生んだのはファンだという立場を示した。
さらに「レシピを読むことや作ることのおもしろさ、そして家庭料理のつらさや楽しさについて、引き続き皆さんと一緒に考えていけたらうれしいです」とつづり、「今後ともどうぞよろしくお願いいたします!」と結んだ。
選考委員は、漫画家・コラムニストの辛酸なめ子、お笑い芸人のパトリック・ハーラン、俳優の室井滋、漫画家のやくみつる、「現代用語の基礎知識」編集長の大塚陽子の5人が務める。
トップテンと年間大賞は12月1日午後2時に発表され、同日に東京會舘で表彰式が開かれる。
[文/構成 by ライター ミヅキ]













































































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