なんとかなれーッ、新語・流行語大賞にノミネート 元ネタはちいかわのハチワレのせりふ、発表の解説も

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
漫画『ちいかわ』のキャラクター、ハチワレのせりふ「なんとかなれーッ」が11月5日、現代用語の基礎知識 選「2026 T&D保険グループ新語・流行語大賞」のノミネート30語に入った。発表の解説は、ここぞという場面で出るこの言葉を「現代社会における不条理さにひとしずくのやさしさをあたえる」と紹介している。作品名の「ちいかわ(現象)」も同時に候補入りし、トップテンと年間大賞は12月1日に決まる。
ハチワレのせりふが30語の候補に
第43回となる2026年の新語・流行語大賞は、11月5日午後2時にノミネート30語を発表した。主催する自由国民社の公式サイトでは、「なんとかなれーッ」は50音順で20番目に載っている。表記は「なれ」のあとに長音の「ー」と小さい「ッ」が続き、感嘆符は付かない。
同じ一覧には16番目に「ちいかわ(現象)」もある。アニメ・漫画に関係する候補はこの2語だけで、どちらも『ちいかわ』から出た言葉になった。作品名と作中のせりふが、30語のうち2枠を占める。「ちいかわ(現象)」の解説は、7月の劇場版公開や企業とのコラボで広まったグッズに触れ、「主要キャラクターたちのいやされる日常と、深い世界観を感じさせるテーマで子どもからおとなまで多くの人を魅了している」と説明している。
発表に添えられた解説は、「なんとかなれーッ」をイラストレーターのナガノが描く漫画『ちいかわ』のキャラクター「ハチワレ」のせりふと説明する。そのうえで、ここぞというタイミングで発せられる言葉だとし、「現代社会における不条理さにひとしずくのやさしさをあたえる」と位置づけた。報道でも、この一文がノミネートの理由として紹介されている。
元ネタはピンチで叫ぶハチワレの口癖
ハチワレは、主人公のちいかわと仲の良いキャラクターで、明るく前向きな性格で知られる。「なんとかなれーッ」は、そのハチワレが絶体絶命のピンチに追い込まれたときによく口にする言葉だ。打つ手が見えない場面で、結果を運に任せて思い切って動く。そのときの掛け声として、原作のさまざまな話の山場に登場してきた。
アニメでもこのせりふは何度も出てくる。2024年3月29日に放送された第154話「パジャマパーティーズ⑪」では、ちいかわたちが「でかい鳥」を相手にした「おっきい討伐」に挑む。うさぎが耳をくわえられてピンチになるなか、ハチワレが「なんとかなれーッ!」と叫びながらデッキブラシを振り回すと、一撃が運よく命中し、討伐は成功した。
「なんとかなる」と自分に言い聞かせるのではなく、「なんとかなれ」と願いを込めて叫ぶ。言葉の形はそこが違う。半ば投げやりにも聞こえるのに、言葉は前を向いている。
ハチワレの口癖が世間で広く使われるのは、今回が初めてではない。2022年には、インターネットのセキュリティ事業を手がけるイー・ガーディアンがSNSの投稿データから選ぶ「SNS流行語大賞2022」で、ハチワレの口癖「〇〇ってコト!?」が大賞に選ばれた。それから4年がたち、今度は別のせりふが、年鑑『現代用語の基礎知識』の自由国民社が主催する新語・流行語大賞の候補に入った。
映画の大ヒットで広がった1年
『ちいかわ』は、ナガノがXに投稿している漫画が原作だ。2020年に連載が始まり、小さくてかわいいキャラクターたちと、厳しい世界観の落差が大人から子どもまで幅広く支持されている。2022年4月からは、フジテレビ系の情報番組「めざましテレビ」の中でテレビアニメが放送されている。
2026年は、作品にとって大きな節目の年になった。7月24日に初の劇場版『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』が公開されると、ノミネート発表の時点で興行収入は186億円を超え、日本の歴代興行収入ランキングで12位に入っている(興行通信社調べ)。
関連記事:映画ちいかわ、3週間ぶり週末1位 興行収入179.5億円で歴代12位に
映画館では、このせりふそのものを名前に付けた上映も開かれた。9月11日午後7時から、北海道、東京、愛知、大阪、福岡の5都道府県7劇場で「『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』なんとかなれーッ!発声可能応援上映」を一斉に開催した。会場はTOHOシネマズのすすきの、日比谷、新宿、池袋、名古屋栄、梅田、天神。声を出すこともグッズを持ち込むこともでき、頑張るちいかわたちに声援を送ったり、セイレーンの歌に合いの手を入れたりして楽しめる回として案内された。この「“なんとかなれーッ!”応援上映」はその後も続き、通常版の2回目は10月2日、3回目は10月30日に、宮城、神奈川、広島を加えた8都道府県12劇場で組まれた。場面に合わせて色が変わるペンライトを使う「自動制御ペンライト演出付き “なんとかなれーッ!” 応援上映」も、9月23日と10月16日〜18日に同じ7劇場で行われ、3回目は11月6日午後7時からの予定だ。ハチワレのせりふが、そのまま上映会の名前になったわけだ。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2020年 | ナガノがTwitter |
| 2022年4月 | 「めざましテレビ」内でテレビアニメが始まる |
| 2024年3月29日 | アニメ第154話でハチワレが「なんとかなれーッ!」と叫び、 |
| 2026年7月24日 | 『映画ちいかわ |
| 2026年9月11日 | 「なんとかなれーッ!発声可能応援上映」を全国7劇場で開催 |
| 2026年11月5日 | 「なんとかなれーッ」と「ちいかわ |
| 2026年12月1日 | トップテンと年間大賞を発表予定 |
不安な言葉が多い年に挙がった癒やしの言葉
ノミネートの発表では、2026年の言葉の傾向についても分析が示された。物価高やイラン戦争、異常気象、AI暴走、不正アクセスなど、不安をあおる言葉が多く見られたという。その一方で、「ボンドロ」「好きすぎて滅!」とともに「なんとかなれーッ」が、癒やしを与える言葉として名前を挙げられた。
候補を見渡すと、「AI暴走」「警戒レベル5」「酷暑日」「ナフサ」「NISA貧乏」など、暮らしの不安につながる言葉が並ぶ。先の見えない状況でも、一歩踏み出すときに口にできる短い言葉。ハチワレのせりふは、作中でそういう場面に出てくる。
関連記事:好きすぎて滅!が新語・流行語大賞ノミネート M!LKは2年連続、発表の解説が示した意味と滅ポーズ
同じ30語には、ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート・ペアで金メダルに輝いた三浦璃来と木原龍一の「りくりゅう」や、千葉県の市川市動植物園で人気を集めたニホンザルの子ども「パンチくん」も入っている。
関連記事:りくりゅう、新語・流行語大賞ノミネートに三浦璃来がXで喜び GP中国杯の後輩ゆなすみへ応援呼びかけ
関連記事:パンチくん、新語・流行語大賞にノミネート 市川市動植物園の子ザルの現在、群れで遊び毛繕い
トップテンと年間大賞は12月1日に発表
30語の中から選ぶトップテンと年間大賞は、12月1日午後2時に発表される。同じ時刻から東京・東京會舘で表彰式も開かれる。
公式サイトの説明では、ノミネート語は『現代用語の基礎知識』に収められた用語をもとに、自由国民社と大賞事務局が選ぶ。トップテンと年間大賞を決めるのは選考委員会で、漫画家・コラムニストの辛酸なめ子、お笑い芸人のパトリック・ハーラン、俳優・エッセイストで富山県立高志の国文学館館長の室井滋、漫画家のやくみつる、『現代用語の基礎知識』編集長の大塚陽子の5人が務める。
アニメは10月2日から新作の放送を一時休み、12月25日まで過去の人気回をリバイバル放送している。新作の再開は2027年1月の予定だ。
関連記事:ちいかわ、10月2日から新作放送を一時休止 リバイバル放送は12月25日まで、新作再開は2027年1月予定
作品名とせりふの2語が候補に残った『ちいかわ』。ハチワレの掛け声がトップテンまで届くかどうか、結果は12月1日に分かる。
[文/構成 by Webライター 和泉ユウスケ]













































































コメントはこちら