パンチくん、新語・流行語大賞にノミネート 市川市動植物園の子ザルの現在、群れで遊び毛繕い

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
千葉県の市川市動植物園で暮らすニホンザルの子ども「パンチくん」が、「現代用語の基礎知識選 2026 T&D保険グループ新語・流行語大賞」のノミネート30語に入った。候補は11月5日に発表され、トップテンは12月1日に決まる。オランウータンのぬいぐるみを抱いていた子ザルは1月19日にサル山の群れへ入り、今はほかのサルと遊び、毛繕いをしながら暮らしている。園は群れ入れが順調に進んでいると説明した。
30語のなかに「パンチくん」、トップテン発表は12月1日
ノミネート30語は11月5日に発表された。主催側の公式サイトには50音順で30語が並び、「パンチくん」は22番目に載っている。同じリストにはフィギュアスケートのペアにちなむ「りくりゅう」や、「ちいかわ(現象)」「AI暴走」なども入った。
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新語・流行語大賞は1984年に始まった。『現代用語の基礎知識』に収録された用語をもとに、自由国民社と大賞事務局がノミネート語を選び、選考委員会がトップテンと年間大賞を決める仕組みだ。選考委員は漫画家・コラムニストの辛酸なめ子、お笑い芸人のパトリック・ハーラン、俳優の室井滋、漫画家のやくみつる、『現代用語の基礎知識』編集長の大塚陽子の5人が務める。
パンチくんは、園の公式Xで紹介されたことをきっかけに世界中で知られるようになり、オランウータンのぬいぐるみを抱える姿は海外メディアでも報じられた。ノミネートが伝わると、SNSでも喜ぶ投稿が相次いだ。
トップテンは12月1日に発表される予定だ。
園の課長はノミネートに驚き、群れ入れは今も途中
ノミネートを受け、市川市動植物園の安永崇課長は、小さな動植物園の一頭の子ザルが世界中で注目されるようになったことに驚いていると語った。園としてノミネートを喜んでいると伝えたうえで、これからもパンチくんが群れのニホンザルの一頭として暮らしていけるよう、園も取り組みを続けていく考えを示している。
気になるのは今の暮らしぶりだ。
園によると、群れ入れは順調に進んでいる。パンチくんはほかのサルと遊んだり毛繕いをしたりしながら、群れのニホンザルの一頭として毎日を送る。安永課長は、群れ入れはまだ途中で、時間をかけて群れになじんでいけるよう注意深く接していると説明した。
では、あのぬいぐるみはどうなったのか。
オランウータンのぬいぐるみは今もバックヤードに置かれ、パンチくんがいつでも触れられるようになっている。サル山へ持ち出すことはほとんどなくなったものの、バックヤードではぬいぐるみと一緒に過ごす姿も見せるという。このぬいぐるみは家具大手イケアの製品で、2月17日にはイケア・ジャパンが園を訪れ、ぬいぐるみを寄贈している。
人工哺育から群れ入れまで、園が重ねた準備
パンチくんは2025年7月26日に約500グラムで生まれたオスだ。母ザルが子育てをする様子を見せず、ほかのサルが代わりに世話をすることもなかったため、飼育員が生まれた翌日から人工哺育を始めた。
母親にしがみつく子ザルの習性を補うため、飼育員はいくつかの物を試し、見た目と、長くつかみやすい毛をもつオランウータンのぬいぐるみに行き着く。園は2月27日の声明で、ぬいぐるみやタオルを抱かせるのは人への過剰な依存を防ぐためでもあり、同園のサル類の人工哺育では同じ方法をとっていると説明した。成長に必要な触れ合いと安心感は、2人の担当者が哺育のたびに与えてきたという。
群れに戻す準備は段階を踏んで進んだ。哺育はサルたちが自由に出入りできるサル山の舎内で行い、生後3か月ごろからは柵越しにほかのサルと触れ合える環境で、生後4か月を過ぎると担当者と一緒にサル山の中で過ごさせた。群れ入れの前には、以前から優しく接してくれた若いメスと一定期間を過ごさせ、人の手を借りずに群れで暮らせると判断して1月19日の群れ入れを決めている。
園には前例もあった。2009年に群れ入れした人工哺育の「オトメ」は、成長とともに自然にぬいぐるみから離れ、その後4度の出産ですべて自ら子育てをした。オトメの子も、出産した子を自分で育てているという。
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SNSで世界へ、1歳の誕生日には2500通超のカード
流れが変わったのは2月だった。ぬいぐるみに寄り添う姿を園が公式Xで発信すると、写真や動画は国内外へ広がり、サル山には連日多くの人が集まるようになる。ほかのサルに引きずられる動画や、「いじめられている」とされる動画が出回ると、園は2月20日と3月10日に声明を出し、群れの中のやりとりについて説明した。
生後7か月となった3月中旬には、ほかのサルと抱き合ったり一緒に遊んだりする姿が見られるようになった。7月26日の1歳の誕生日を前には、国内外から2500通を超えるバースデーカードが届き、園内の一角で展示が始まっている。このとき安永課長は、パンチくんが社会性を身につけ、群れの中で自分の居場所を見つけつつあると話していた。
主な出来事を日付順にまとめた。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年7月26日 | 市川市動植物園で誕生、 |
| 2026年1月19日 | サル山で群れとの生活を始める |
| 2026年2月 | 園の公式Xの発信が国内外に広がる |
| 2026年5月17日 | サル山に侵入者、 |
| 2026年7月26日 | 1歳の誕生日、 |
| 2026年10月21日 | 工事を終えたサル山の観覧を再開、 |
| 2026年11月5日 | 新語・ |
| 2026年11月26日 | 書籍『がんばれ |
侵入事件を経て、サル山の観覧ルールも改定
人気の高まりは、思わぬ問題も招いた。5月17日、サル山に男が侵入し、園は侵入者を含む2人を警察官に引き渡している。
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園はその後もサル山の見方を見直した。9月からは日よけ設備の設置などの工事でサル山の観覧を休み、観覧を再開した10月21日から新しいルールを適用している。サル山の前は、撮影できない「観覧エリア」と、整理券による完全入れ替え制の「撮影エリア」に分かれる。撮影エリアでもフラッシュや撮影補助用具、ライブ配信は禁止。混雑を和らげるため日傘・雨傘も使えず、観覧中は走らず静かに見るよう求めている。サルたちのストレスを減らし、サル山を穏やかに保つことを最優先にする考え方は、4月27日の声明から変わっていないという。
サル山では2026年、出産が続いた。園は6月29日の声明で、年下の個体がいた方がパンチくんの群れ入れに役立つと考えたことなどを理由に、2026年は繁殖制限を見送ったと明かしている。今後しばらくは、サル山での繁殖をほぼ無いか、ごく少数にとどめる計画だ。
書籍の発売、寄附の受け付けも続く
11月26日には、Gakkenから書籍『がんばれ パンチ 子ザルの成長物語』が発売される。定価は1760円(税込)。写真、飼育員が語る成長の物語、ニホンザルの生態図鑑の3部構成で、市川市動植物園が協力した。売り上げの一部はGakkenから市川市へ寄付される。
市は「#がんばれパンチ サポーターズガイド」で寄附の方法を案内し、受け付けの期限を当初の2026年5月31日から12月31日まで延ばした。10月1日からはクレジットカード決済にも対応し、海外からも支援できる。寄附金はパンチくんをはじめ園の動物の環境改善や施設の管理に充てられる。園は、ガイドに載っていないパンチくんの商品を公認していないとしている。
市川市動植物園の場所と開園時間
市川市動植物園は千葉県市川市大町284番1にあり、大町公園の中に動物園、観賞植物園、自然観察園、バラ園が集まる。動物園ではレッサーパンダやスマトラオランウータンも暮らし、モルモットやヤギ、マイクロブタに触れられるコーナーもある。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開園時間 | 9時30分〜 |
| 休園日 | 毎週月曜日 |
| 入園料 | 大人440円、 |
| 駐車場 | 入口ゲート隣の民間駐車場240台、 |
電車で向かうなら、JR武蔵野線の市川大野駅からバスかタクシーを使う。タクシーなら約10分。土曜・日曜・祝日には、JR総武線の本八幡駅北口から市川大野駅を経由して動植物園へ向かう京成バスも走る。北総線の大町駅からは、自然観察園を通って歩いて30分強かかる。園は閉園時刻の16時30分までに正面ゲートから退園するよう呼びかけている。
12月1日の発表まで、サル山でのパンチくんの毎日は続く。
[文/構成 by MediaDogs編集部]














































































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