松井秀喜監督、巨人秋季キャンプ初日に6分13秒の訓示 球団旗を指し「あの旗を輝かせてください」

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
巨人の秋季キャンプが10月30日、川崎市のジャイアンツ球場で始まり、松井秀喜監督(52)が選手やスタッフ100人以上を前に6分13秒の訓示を行った。バックスクリーンの球団旗を指し、「あの旗を輝かせてください」と呼びかけた。過去の栄光で輝く旗のままでは「かわいそうです」とも語り、毎日の「100%」の積み重ねで新しいジャイアンツの文化を作ろうと求めた。
球団旗を指して「あの旗を輝かせてください」
松井監督がグラウンドに姿を見せたのは午後0時53分。初日の全体練習が始まる午後1時の直前だった。左翼付近に集まった首脳陣、選手、スタッフの輪の中心に入り、訓示が始まる。長さは6分13秒に及んだ。
あいさつは、来季から1軍監督に就くことの報告と、シーズンをねぎらう言葉から入った。1軍がセ・リーグ優勝にあと一歩まで迫りながら届かなかったことに触れ、選手それぞれの頭の中には、今年の反省と課題、来季に伸ばしたい部分、そのために何をすべきかというプランがすでにあるはずだと語りかけている。
山場は後半にあった。ジャイアンツは昔、特別な球団だったと話したうえで、「今もそうかもしれない」と続け、それは「過去の先輩のおかげ」だと言い切った。だからこそ、今度は自分たちが新しい強いジャイアンツを作らなければならないと説く。
そして後方のバックスクリーンに掲げられた球団旗を指した。「あの旗を輝かせてください」。過去の栄光で輝いている旗では「かわいそうです」と言葉を継ぎ、「伝統、我々のプライド」をもう一度作り直そうと求めた。1日1日、1試合1試合の積み重ねがシーズンになり、それが新しいジャイアンツの姿になる。その文化をみんなで作っていこう、という呼びかけだった。
訓示の柱は「100%」と「文化」
訓示の中で何度も出てきた言葉が「100%」だ。
練習でも何でも、今これを何のためにやっているのかを意識し、そこに100%で取り組もうと選手に求めた。100%でやらなければ100%のフィードバックは返ってこず、80%でいいと思えば80%しか返ってこない、という理屈だった。ウオーミングアップでも、キャッチボールでも、ティー打撃でも同じだという。
ここで松井監督が分けたのは、自分で決められることと決められないことだ。試合になれば相手がいて、思いどおりにならない場面はいくらでもある。一方で、練習で何を意識するかは「自分がコントロールできること」に入る。まずそこを100%でやり、その意識が少しずつチームに浸透すれば、新しいジャイアンツの文化になり、球団の財産になると話した。
選手は毎年ある程度入れ替わる。それでも積み上げた文化は残る、というのが松井監督の考え方だった。すぐに勝ちたいだけなら、すごい選手を連れてくればいい。だが「それじゃやっぱり楽しくない」。ジャイアンツの血が流れている選手たちに向けて、「君たちがその文化を作っていってください」と託している。
「睡眠をしっかりとる」も練習のうち
成長の余地はまだ大きいとして、技術や科学的なトレーニング、栄養に加えて睡眠を挙げた。「睡眠をしっかりとる」ことも「それもトレーニング」だと話し、途中で投手の西舘勇陽に声をかけて同意を求める一幕もあった。
「みんな平等に24時間ある」と話し、その時間をちゃんと使って自分たちの成長につなげてほしいと求めた。成長については訓示の冒頭でも、若手、中堅、ベテランに関係なく、誰もが今より良い選手になれると語っていた。成果がいつ、どの程度出るかは分からないが、一瞬一瞬を意識して積み重ねれば、最後はみんなの力とジャイアンツのプライドで勝てると信じている、と語った。
訓示の終わりには自身の立場にも触れた。このユニホームを着て選手たちと一緒に仕事をすること、「一緒に戦えること」が楽しみだと話し、「来年25年ぶりにジャイアンツのシーズンを過ごします」と続けた。選手だった頃も巨人がいつも強かったわけではないと認めたうえで、強い組織であり続けられるよう、みんなで意識して頑張ろうと締めくくった。
平日の初日に2932人、報道陣は約200人
初日のジャイアンツ球場には、球団発表で延べ2932人のファンが訪れた。平日としては異例の人数だった。午前9時の開場前から入場を待つ列ができ、報道陣も約200人が集まった。
松井監督は黒の球団パーカーに白のユニホームパンツという姿で、ユニホームの上は着ていなかった。スタンドから「お帰りなさい」と声が飛ぶと、帽子を取って応えている。歓迎について問われると「ありがたいです」と答え、帰ってくるなと言われるよりはいい、と笑いを交えて返した。
訓示の後、この日は直接の技術指導はせず、高橋由伸ヘッドコーチら新しいコーチ陣との意見交換に多くの時間を使っている。ブルペンにも足を運び、投手の球を間近で見た。
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選手たちの表情について、松井監督は「強い目をしていた」と手応えを口にした。初日は見ることに重点を置き、自分が感じたことをしっかり把握していきたいと話している。
コーチ陣はキャンプ初日の10月30日に発表された。顔ぶれと肩書の一覧は別の記事にまとめている。
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背番号90は披露せず 就任会見で語った理由
ファンの関心が集まったのが背番号だった。松井監督の背番号は「90」。恩師の長嶋茂雄終身名誉監督が第1次政権で監督に就いたときに着けた番号だ。ただ、初日は背番号の入ったユニホームの上を着ず、披露はなかった。
報道陣に理由を問われると、「長嶋さんだから絵になる」と答えた。自分が同じことをすれば勘違いするなと言われて終わりだ、という説明で、披露の時期も考えていないと話している。
背番号が発表されたのは10月23日の就任会見だった。東京都内のホテルで山口寿一オーナーとともに登場し、契約は3年と発表された。山口オーナーによると、レギュラーシーズンの全日程が終わった後に監督就任を要請し、ほぼ1週間後に受諾の返事があったという。
90を選んだ理由として、松井監督は長嶋さんが存命なら今年90歳だったことを挙げた。さらに、選手時代の代表的な背番号55と、現役最後に着けた35を足すと90になる。新しいスタートを切るのにふさわしい番号として選んだ。
松井監督は1993年から2002年まで巨人でプレーし、その後は大リーグで10年間プレーした。ヤンキース時代の2009年にはワールドシリーズMVPに選ばれ、日米通算507本塁打を記録している。巨人の一員としてユニホームを着るのは2002年以来、24年ぶりだ。
ヘッドコーチに就いた高橋由伸は、松井監督とともに2002年の日本一の外野を守った1人だ。就任を受けた経緯は別の記事で詳しく伝えている。
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秋季キャンプは11月13日まで
秋季キャンプはジャイアンツ球場とジャイアンツタウンスタジアムを使い、11月13日まで続く。キャンプ前の10月27日、松井監督はチームとしてのテーマは設けず、課題は選手が自分で見つけて克服していくものだという考えを示していた。
| 期間 | 練習の場所 | 内容 |
|---|---|---|
| 10月30日 | ジャイアンツ球場 | 午後1時から全軍練習 |
| 10月31日 | 野手はジャイアンツ球場、 | 午前9時30分から練習 |
| 11月1日〜13日 | ジャイアンツ球場、 | 練習日は午前9時30分開始、 |
10月31日の2日目からは、野手と投手が別々の会場で練習する日程が組まれた。2つの球場は徒歩で15〜20分ほどの距離にある。田中将大や坂本勇人ら実績のある選手は、全体集合のあった初日だけ参加し、その後は自主調整に入る。
訓示で松井監督が選手に示したのは、来年2月の春季キャンプを今より良い姿で迎えることだった。そのためのスタッフも施設もそろっている、と話している。チームの意識を変えるところから始めた新監督の秋は、まだ2週間ある。
[文/構成 by スポーツ担当ライター TAKU]










































































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