立石正広、23歳の誕生日に柵越え16本 阪神秋季キャンプ初日、藤川監督と矢野謙次コーチが助言

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阪神の秋季キャンプが11月1日、高知県安芸市の安芸タイガース球場で始まった。この日23歳の誕生日を迎えた立石正広内野手が、フリー打撃の67スイングで4連発を含む16本の柵越えを放った。打撃練習では藤川球児監督から助言を受け、新任の矢野謙次一軍打撃チーフコーチからも内転筋を意識して打つよう促された。
67スイングで16本、4連発から始まった23歳
フリー打撃は午後に行われた。立石は67スイングで16本をスタンドへ運び、途中には左翼への4連発もあった。打球がフェンスを越えるたびにスタンドがどよめき、打ち終えてヘルメットを脱ぐと観客から拍手が起きたと報じられた。
立石は2003年11月1日生まれ。キャンプ初日がそのまま23歳の誕生日に重なった。
本人の受け止めは控えめだった。「打球は悪くなかった」と話した一方、もう少し自分の形の中で打てればよかったと改善点も口にしている。23歳の抱負を問われると「明るくいきます」と答え、プロ1年目を終えた立場について「ルーキーでもない」と前置きしたうえで、2年目で大活躍できるよう時間を有効に使いたいと語った。
打撃練習のあとは特守にも参加した。最後は脚をつりかけるほど追い込み、立石ら若手が球場を後にしたのは午後6時ごろだった。
藤川監督の助言と矢野コーチの「内転筋」
16本の背景には、首脳陣からの助言があった。
フリー打撃の前のロングティー打撃で、藤川監督が自ら立石のもとへ歩み寄り、直接声をかけた。立石によると、指摘されたのはステップする前に体が開いてしまう点。その直後のフリー打撃で、課題としてきた左翼方向へ大きな打球が飛んだ。
もう一人、立石に声をかけたのが矢野コーチだ。報道によると、矢野コーチは立石に内転筋(太ももの内側の筋肉)を意識して打つよう促した。内転筋を使ってバットを体の内側から出せば、グリップからボールの軌道へ最短距離で入りやすく、打ち損じが減る。キャンプ初日に矢野コーチが選手たちへ伝えたのは、そうした下半身の使い方だった。
矢野コーチは初日、立石のほか今季途中に加入したガルシアらにも助言を送った。坪井智哉一軍打撃コーチと話し合い、スイングでの下半身の使い方を早出の練習から少しずつ意識させるメニューを入れたと説明している。選手に感触や感覚を聞きながら、やりとりを重ねる指導だったという。
藤川監督は新任コーチの動きについて、自分が言う前に矢野コーチが同じ指示を出していたと明かし、考えが一致していると評価した。キャンプ初日を終えた藤川監督は、初日としてはこれまでで「ベストかなと思います」と手応えを口にした。
巨人から来た打撃チーフコーチ
矢野コーチは東京都出身の46歳。2002年度のドラフトで巨人に入団し、2015年途中に日本ハムへ移籍、2018年に現役を引退した。その後は日本ハムでコーチとスカウトを務め、2023年オフに打撃コーチとして巨人へ戻る。2026年シーズンまで巨人のコーチだった人物が、ライバル球団の打撃部門の責任者に就いた。
球団は10月30日、2027年度の監督・コーチ陣容を発表した。矢野コーチは背番号77の一軍打撃チーフコーチで、坪井コーチとともに新入団。同じ日に西宮市内で開いた就任会見で、矢野コーチはライバル球団のコーチだった自分に声をかけた球団の気持ちに応えたいと述べ、受諾までには悩んだことも明かした。指導の進め方については、まず選手と話して本人が何を課題と考えているかを聞き、北川博敏、的場寛一を含む打撃コーチ4人で情報を共有しながら、選手ごとに合った練習法や考え方を提案したいと語った。
巨人のコーチとして見た阪神打線については、1番の近本光司から大山悠輔まで好打者が並び、下位打線にもつながれて大量失点を許したと振り返った。そのうえで、藤川監督が出すサインにいつでも応えられる体制をつくる場にしたいと、11月1日からの秋季キャンプを位置づけていた。
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立石との縁は、このキャンプが始まる前からあった。日本ハムのスカウトだった2023年、創価大学の2年生だった立石を視察している。初日はケージの後ろから打撃を見守り、体の力やパワー、身体能力の高さを生で見て改めて感じたと報じられた。就任会見の時点では、三振を気にする必要はないとの考えも示している。報道陣からその言葉を伝え聞いた立石は、自分の割り切りの弱さを認め、長打という長所を残していきたいと応じた。
2本塁打のルーキーイヤーと空く三塁
立石は山口県防府市出身。高川学園高等学校では3年夏に甲子園へ出場し、創価大学に進んだ。2025年のドラフト会議では阪神、広島、日本ハムの3球団が1位で指名し、抽選の末に阪神が交渉権を引き当てた。背番号は9だ。
期待されたルーキーイヤーは、開幕前から故障が重なり出遅れた。NPBの公式記録では、2026年の一軍成績は38試合で打率1割9分2厘、2本塁打、10打点。125打数で41三振と、数字の上では課題が残るシーズンだった。
シーズン後のフェニックス・リーグでは結果も出た。10月27日の楽天戦に「4番・三塁」で出場し、逆転サヨナラ3ランを含む2本塁打を放っている。立石はこの試合について、これからに生きそうな感覚もあったと振り返っていた。
チーム事情も立石の背中を押す。今季まで三塁を守ってきた佐藤輝明は、ポスティングシステムでの大リーグ移籍を目指している。来季の三塁は空く可能性が高く、立石はその最有力候補の一人に挙がる。
1軍切符をかけた18日間
秋季キャンプは11月18日まで続く。球団の発表では、休日は11月5日、9日、13日の3日。参加メンバーは投手14人、捕手4人、内野手7人、外野手6人の計31人で、立石は内野手として名を連ねた。
初日の練習では、無死一塁や無死一、二塁などを想定し、犠打やエンドラン、セーフティースクイズを確認する「作戦」のメニューも組まれた。質より量を求めるキャンプで、投手も野手も初日から長い時間をグラウンドで過ごした。
藤川監督はこの秋を、来春キャンプで一軍に入る選手の見極めの場と位置づけている。高知入りした10月31日、立石は来年にかける思いが練習の姿勢で伝わるぐらい没頭したいと話していた。打撃に重きを置き、量を増やしながら取り組みの意図を見失わないようにしたいという。
安芸での秋季キャンプの初日に誕生日を重ねた背番号9が、監督と新任コーチの助言を受けて16本の柵越えで滑り出す。次の17日間で、その打球がどこまで続くか。
[文/構成 by スポーツ担当ライター 高瀬翔吾]







































































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