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新妻遼己、全日本大学駅伝3区で区間新 大会MVPに選ばれた走りとこれまでの経歴

新妻遼己、全日本大学駅伝3区で区間新 大会MVPに選ばれた走りとこれまでの経歴

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

11月1日の第58回全日本大学駅伝で、早稲田大学1年の新妻遼己が3区(11.9km)を32分45秒で走り、2021年にイェゴン・ヴィンセントが出した区間記録を1秒更新した。2位と2秒差でたすきを受け、1分14秒差まで広げてつないだ走りが評価され、大会MVPに選ばれている。早稲田は5時間3分31秒の大会新記録で、16大会ぶり6度目の優勝を果たした。

3区32分45秒、ヴィンセントの区間記録を1秒更新

第58回全日本大学駅伝は11月1日、愛知・熱田神宮から三重・伊勢神宮までの8区間106.8kmに27チームが参加して行われた。新妻が走った3区は桑名市から四日市市へ向かう11.9kmの区間だ。

記録は32分45秒。それまでの区間記録は、2021年に東京国際大のイェゴン・ヴィンセント(現ホンダ)が出した32分46秒で、学生長距離界で「最強留学生」と呼ばれた選手の記録を、大学1年生が1秒だけ上回った。区間2位の上田翔大(大東文化大)は33分44秒で、新妻との差は59秒に開いている。

当初、新妻は補欠に登録されていた。当日のメンバー変更で3区に入り、同じく当日変更で5区に入った鈴木琉胤とともに、花田勝彦監督の起用に応える結果を出した。

2秒差の首位から1分14秒差へ 独走をつくった11.9km

たすきを受けた時点で、早稲田と2位の帝京大との差はわずか2秒だった。1区の本田桜二郎が区間2位で滑り出し、2区の増子陽太が区間新の走りで先頭に立っていたものの、後ろとの距離はほとんどない。

新妻は2km付近から帝京大を引き離しにかかり、8km手前で後続との差を大きく広げた。10kmは区間記録を4秒上回る27分38秒で通過し、最後まで走りは崩れなかった。

中継所では2位に上がってきた駒澤大に1分14秒、3位の國學院大と4位の帝京大には1分45秒の差をつけていた。ここから早稲田は一度も先頭を譲らないまま、8区のゴールまで走り切ることになる。

レース後、新妻は「先頭でつなげれば」と思っていたと振り返った。区間新については、狙っていなかったわけではないが越えられるとは思っておらず予想外だった、という趣旨を明かしている。

テレビ中継で解説を務めた早稲田OBの渡辺康幸氏は、新妻の走りを実業団の主力選手と並べて評価した。花田監督も、選手たちの走りは自分の想定を上回るものだったと語っている。

大会MVPに選出、早稲田は従来の大会記録を3分16秒更新

大会公式サイトは、3区で駒澤大との差を1分以上に広げて独走態勢を築いたとし、「勝負の流れを決定づけた新妻選手は大会MVPに選ばれました」と伝えた。

早稲田の総合記録は5時間3分31秒。2022年に駒澤大が出した5時間6分47秒を3分16秒縮める大会新記録で、16大会ぶり6度目の優勝となった。1〜3区を任された1年生3人のうち、増子と新妻の2人が区間新。5区の鈴木も区間新を出し、8区の工藤慎作は区間賞を手にしている。

2位は3分34秒差の5時間7分05秒で國學院大、3位は創価大だった。國學院大は4区で飯國新太が区間賞を取って2位に上がり、6区では吉田蔵之介が区間新を出したが、早稲田には届かなかった。

関連記事:吉田蔵之介、全日本大学駅伝6区で区間新の36分41秒 父はケツメイシ大蔵、埼玉栄から國學院大へ進んだ4年生の経歴

先頭が速かった分、後方のチームには厳しい展開になった。8区では多くのチームが繰り上げスタートとなっている。

関連記事:全日本大学駅伝、8区で12チームが繰り上げスタート 基準は先頭から15分、日本学連選抜は35秒届かず 各校の遅れ一覧

本田、増子、新妻の1年生3人は「令和の三羽ガラス」と呼ばれる。3人は2025年12月の全国高校駅伝の1区で上位3位までを占めた同学年で、そろって早稲田に進んだ。

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西脇工業高校でインターハイと国スポの5000m2冠

新妻は兵庫県出身で、兵庫県立西脇工業高等学校を経て、早稲田大学スポーツ科学部に進んだ。

高校3年だった2025年夏、広島県で開かれたインターハイの男子5000mで13分50秒05を出して優勝した。留学生ランナーを抑えての勝利で、日本人選手の優勝は2020年の大会中止をはさんで32大会ぶりだった。同じ大会の1500mでも、高校歴代3位となる3分40秒83で2位に入っている。

10月の滋賀国スポでは少年A5000mを13分35秒33で制した。自己記録を6秒35縮め、国体時代を含めた大会の日本人最高タイムとなった。インターハイと国体(国スポ)の両方で日本人が長距離種目を制したのは、1991年の渡辺康幸以来34年ぶりだった。3区の走りを中継で解説した渡辺氏と、同じ道を歩んだことになる。

同年12月の全国高校駅伝では1区(10km)を28分40秒で走り、区間2位。区間賞は28分20秒の日本人最高記録を出した学法石川高の増子で、3位が鳥取城北高の本田だった。高校時代に競い合った3人が、11月1日の伊勢路では1区から3区までを早稲田のたすきでつないだ。

出雲駅伝でも4区で区間新

大学1年目の前半、トラックシーズンは思うように走れなかったという。それでも夏は故障なく練習を積み、10月12日の出雲駅伝では4区で17分10秒の区間新を出して区間賞に輝いた。日本大に先行されていた早稲田を再び先頭に戻し、後ろに16秒の差をつけてつないだ。

早稲田はこの大会を大会新記録で制し、16年ぶり3度目の優勝を果たしている。花田監督は出雲のMVPに新妻を挙げていた。3週間後の全日本でも区間新を出し、今度は大会が選ぶMVPに選ばれたことになる。

双子の弟、兄と走った「新妻3兄弟」の伊勢路

全日本大学駅伝には、新妻の兄弟も出場していた。双子の弟・新妻昂己(神奈川大1年)が5区、兄の新妻玲旺(神奈川大4年)が6区を走り、神奈川大の中でたすきをつないだ。3人とも西脇工業高等学校の出身だ。

新妻は昂己を一番のライバルに挙げる。保育園の年長から小学6年までは剣道を続けていた。陸上を選んだのは弟の存在が理由で、陸上だけは昂己に勝っていたので負けたくないという気持ちだったと話している。

兄弟がそろって伊勢路を走ったものの、区間が違ったため直接競り合う場面はなかった。それでも新妻は、3人ともそれぞれの役目を果たしたと語った。弟と兄の力走を見て、自分も勇気をもらったと振り返っている。

次は箱根駅伝、目標はトラックで世界

出雲、全日本を制した早稲田は、来年1月の箱根駅伝で学生三大駅伝の3冠に挑む。新妻自身は、出場すれば初めての箱根になる。

レース後、新妻は油断せずに練習を一から立て直し、全日本よりも良い状態で箱根を迎えたいと話した。見ている先は駅伝だけでもない。4年間で世界で戦える選手になりたいと語り、トラックの5000mや1500mで世界の舞台を目指す考えを明かしている。

1年生の秋に、出雲と全日本の2大会続けて区間新。箱根でどの区間を任されるのかも、早稲田の3冠を左右する。

[文/構成 by スポーツ担当ライター 南條楓]

寄稿者

南條楓
学生時代に陸上の中距離を続けていたこともあり、記録で勝負が決まる競技に惹かれてスポーツを書くWebライターに。執筆歴は8年。陸上や水泳、体操、フィギュアスケートなど、記録と採点が結果を左右する競技を中心に、国際大会の速報から選手の歩みをたどる記事まで担当してきた。タイムや得点の意味、予選から決勝までの流れを、初めて観る人にも伝わる言葉で書くことを大切にしている。

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