みんなで大家さん、返還命令の判決後も「回収は実現していない」と弁護団 許可取り消しから2か月、2800億円超の債務超過と出資者の現在

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不動産投資商品「みんなで大家さん」をめぐり、出資金の返還を命じる判決が出ても、実際の回収は実現していないと出資者側の弁護団が明かした。大阪府と東京都が運営・販売の2社の事業許可を取り消してから2か月。運営会社は2800億円超の債務超過を抱えたまま、既存契約を片付けるための業務を続けている。12月からは、同じ種類の商品を扱う全事業者に新しい説明義務がかかる。
判決で返還が命じられても、回収は実現していないと弁護団
出資者約2500人は、出資金計約230億円の返還を求めて大阪地裁で集団訴訟を起こしている。2025年11月に第1陣が提訴し、2026年2月には約1300人が約118億円分を追加で訴えた。対象の多くは、成田空港周辺の開発に投資する主力商品「シリーズ成田」だ。
11月1日の報道によると、訴訟の弁護団は、一部ではすでに運営会社「都市綜研インベストファンド」(大阪府吹田市)に支払いを命じる判決が出ているが、回収は実現していないとしている。弁護団事務局長の小幡歩弁護士は、親会社を含む共生バンクグループ全体の責任を追及する考えを示した。
この集団訴訟とは別の出資者グループの訴えでも、判決はすでに出ている。
2026年6月5日、大阪地裁の三村憲吾裁判長は、25都道府県の1法人と83人の計84人が求めた出資金約4億5500万円について、全額の返還を運営会社に命じた。原告が出資していたのは、三重県伊勢市のレジャー施設などを対象とする6商品。契約が終わったことで出資者に出資金の返還を求める権利が生じ、運営会社は支払う義務を負う、と判断した。
支払いを命じる判決を手にすることと、そのお金が実際に手元へ戻ることは、別の段階の話になる。大阪府の処分理由によると、運営会社の預金や土地は、判決にもとづく差し押さえや税の滞納による差し押さえなどを受けていた。運営会社は2026年7月28日付で、2800億円超の債務超過になったと大阪府に報告した。持っている土地・建物の評価額は、自ら約400億円まで下げている。もとの8分の1の水準だ。2026年3月期の決算公告では、債務超過額は約2881億円と報じられた。
許可取り消し後も会社は残る、「業務結了」という立場
2026年9月1日、大阪府は営業者の都市綜研インベストファンドの、東京都は販売代理人の「みんなで大家さん販売」(東京)の、不動産特定共同事業の許可を取り消した。1995年施行の不動産特定共同事業法のもとで、許可の取り消しは初めてだと報じられている。
許可がなくなっても、会社がすぐに消えるわけではない。運営会社は、不動産特定共同事業法65条により、すでに結んだ契約の業務を終える範囲では事業者とみなされると説明する。新しい募集や契約はできないが、既存の契約の管理や出資者への対応は続ける、という立場だ。
会社側が挙げる償還の原資は次のとおり。
- 資産の保全とグループで持つ資産の売却
- 既存事業の収益基盤の立て直し
- 成田の開発プロジェクトを進めること
- 各商品の対象不動産の収益力を上げ、売却して償還に回すこと
新規の募集と契約は2025年7月9日から自主的に止めており、再開の予定もないとしている。グループは9月下旬、報道機関の取材に「出資者への全額償還を達成すべく、最善を尽くす」と答えた。
では、訴訟に加わっていない出資者はどうなるのか。
東京都は販売会社に対し、処分の理由と内容を出資者へ速やかに説明し、関連商品の業務が終わるまで苦情などに誠実に対応するよう指示した。対応状況は9月30日までに書面で報告させ、その後も都の求めに応じて報告させるとしている。
一方、会社やグループが破産手続きを申し立てたとの発表は、11月1日時点で確認できない。会社の公式サイトで9月以降に出たお知らせは、処分への見解、一部報道への見解、販売会社の事務所移転の3種類にとどまる。
年利7%の募集から債務超過まで、6年の経過
みんなで大家さんを手がけるのは、不動産会社「共生バンク」(東京)を親会社とするグループだ。都市綜研インベストファンドが商品の運営と管理、みんなで大家さん販売が販売を担ってきた。全体で約2000億円を集めたとされる。
主力の成田の商品は、東京ドーム約10個分の土地にホテルや展示場などを建てる計画で、2020年に販売を始めた。年利7%をうたい、1口100万円で募った。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2020年 | 成田空港周辺の開発に投資する商品の販売を開始。年利7%をうたう |
| 2021年3月 | 造成工事の完了予定。以後、 |
| 2024年6月 | 開発許可の対象外の土地が含まれていたなどとして、 |
| 2025年7月 | 新規募集を自主停止 |
| 2025年11月 | 成田国際空港会社との用地の賃貸借契約が30日の期限で終了し、 |
| 2026年2月 | 追加提訴で原告は計約2500人、 |
| 2026年6月5日 | 大阪地裁が別の出資者84人への約4億5500万円の全額返還を命じる |
| 2026年7月28日 | 運営会社が2800億円超の債務超過を大阪府に報告 |
| 2026年8月21日 | 国土交通省が不動産特定共同事業法の施行規則の改正を公布 |
| 2026年9月1日 | 大阪府・ |
| 2026年12月1日 | 改正規則の説明義務などが既存の事業者にも適用される |
成田の計画が大きくつまずいたのは、2025年11月だった。計画地の約4割にあたる用地を持つ成田国際空港会社が、賃貸借契約を延長しないと決めた。同社の藤井直樹社長は記者会見で、共生バンク側に残りの工事をやり遂げる力があるかを確かめたが「残念ながら確認できなかった」と説明している。
海外での資金調達も難航したと報じられている。それから8か月後、運営会社は債務超過を府に報告した。
出資者の数は、数え方で大きく変わる。大阪府の発表では、償還が困難とされた総額は約1900億円で、出資者は延べ7万人以上。運営会社が府に出した資料では、出資者は約3万6000人となっている。
府と都が問題にした点、会社が争う点
大阪府が運営会社の処分理由に挙げたのは、財務の基準を満たしていないこと、契約前に渡す書面で対象不動産の賃料支払い状況を「該当なし」と事実と異なる形で記載したこと、償還の遅れ、資金調達計画の遅れだった。
東京都は販売会社について、対象不動産の賃料が一定期間払われていなかったのに運営会社への調査をせず、契約前の書面の賃料支払い状況の欄に「該当なし」と書いて出資者を誤認させた、と認定した。2024年6月の処分のあとも同じ種類の違反を繰り返し、予定していた再発防止の書面確認もしていなかったという。販売会社が出資者199人から計4億3100万円の出資を受けていた点も挙げ、「情状が特に重い」と判断した。
会社側は9月1日の見解で、処分を重く受け止め、出資者に謝罪した。ただし、行政が示した事実の認定や法的な評価のすべてを認めるわけではないとしている。2024年6月の処分が適法だったかは、今も裁判で争っている。
9月3日には、一部報道への見解も出した。書面の記載や確認体制の不備は軽く見ないとしながら、事実でないと知りながら意図して出資者を欺いた事実はないと主張。行政処分で法令違反が認定されることと、刑事上の犯罪の成立は別だとも述べた。8月18日の聴聞で出した陳述書などは、公式サイトで公開している。
12月から何が変わる? 事業者に課される新たな説明
国土交通省は2026年8月21日、不動産特定共同事業法の施行規則を改正した。2025年8月にまとめた有識者検討会の中間整理を受けたもので、ネット経由で一般の個人投資家が増えたことが背景にある。
契約前に事業者が出資者へ説明しなければならない項目として、主に次が加わった。
- 利回りを示して勧誘する場合、その利回りが予想にもとづくこと、根拠になる不動産取引の額など
- 対象不動産の価格を妥当と判断した根拠
- 出資されたお金の使い道
- 造成や建物の工事が終わる前の場合、開発許可などの有無、資金計画、工事の完了時期
定期的に出資者へ渡す財産管理報告書にも、期間中に使ったお金の額と使い道、今後の資金計画、工事の完了時期などを書くことになる。すでに許可を受けている事業者は11月30日まで従来の扱いが認められ、12月1日から新しいルールが適用される。
成田の商品をめぐっては、集めたお金の使い道について具体的な説明がなかったと話す出資者もいる。行政書士の石井くるみ氏は報道の取材に、将来の開発を見込んで不動産の価値を高く見積もると、開発が失敗したときに出資者が損失を負いうると指摘した。投資は自己責任が原則だとしたうえで、行政には資金計画や工事の進み具合を投資家に十分説明させる監督が求められる、との見方も示している。
国土交通省などによると、2025年度時点の事業者数は265社で、10年前の3.2倍に増えた。2023年度末の投資家は29.7万人と、4年前の8.7倍にのぼる。ネットで手軽に申し込める商品が広がるなか、みんなで大家さんでは、返還を命じる判決が出ても回収は実現していないと弁護団が説明する状況が続いている。
※本記事は2026年11月1日時点の公開情報をもとにまとめたものです。
[文/構成 by ライター 飯田タツヤ]










































































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