MEDIA DOGS

PIECE OF BAKE運営会社、破産申立ての準備に入る 何があったのか、全店休業の経緯

PIECE OF BAKE運営会社、破産申立ての準備に入る 何があったのか、全店休業の経緯

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

生ドーナツ専門店「PIECE OF BAKE(ピースオブベイク)」を運営する株式会社Yorkys Entertainment(神戸市中央区)が、10月6日付で事業を停止し、自己破産の申請準備に入った。帝国データバンクによると負債は推定3億5000万円。同じ10月6日には公式SNSで全店休業を告知しており、大阪・神戸・名古屋・東京の5店舗はいずれも再開の見通しが立っていない。

↓ 詳細が気になる方は、このまま下へ ↓

公式SNSの「全店休業」から破産準備の報告まで

最初の告知は10月6日だった。PIECE OF BAKEの公式SNSが「諸事情により全店舗休業させて頂きます」と発表し、「営業再開の見通しは立っておりません」と書き添えた。理由の説明はなく、楽しみにしていた客へ商品を届けられなくなったことへのおわびと、これまで応援してくれた人への感謝で結ばれている。

対象は、公式サイトに載る梅田・阪急三番街店、うめきたグリーンプレイス店、マリンピア神戸店、名古屋・中日ビル店、吉祥寺店の5店舗。10月に入ってからも、公式Instagramでハロウィン限定ドーナツを案内したばかりだった。

続いて同社の板倉洋輔代表取締役が自身のInstagramで経緯を明かす。「本日、株式会社Yorkys Entertainmentは事業を停止し、破産申立ての準備に入ったことをご報告いたします」。投稿では、社内で「会社の存続にも大きな影響を及ぼす重大な事案が判明」したと説明している。

その中身は伏せられたままだ。板倉代表は「関係機関への相談を含め必要な対応を進めている段階にあるため、現時点では詳細をお伝えすることができません」とし、事業の継続へ「最後まであらゆる可能性を模索してまいりました」と記した。客や取引先、関係者へのおわびに続け、「その全ての責任は私にあります」とも書いている。

事後処理は、福元隆久弁護士(弁護士法人東町法律事務所、神戸市中央区)ら5人の弁護士に任された。10月8日時点で伝わっているのは「破産申立ての準備」までで、裁判所への申し立てや破産手続きの開始決定は報じられていない。

夙川のカフェから始まった12年、生ドーナツで全国へ

会社の原点は2014年4月にさかのぼる。兵庫県西宮市でカフェ「YORKYS BRUNCH夙川店」の運営を目的に創業し、2015年12月に法人化。2020年9月に現在の神戸市中央区栄町通へ本社を移した。資本金は800万円、従業員は150人に上る。

事業はカフェにとどまらない。クレープ店「YORKYS Creperie」、チーズ料理の「FROMA YORKYS CHEESE RESTAURANT&BAR」を手がけ、飲食店向けにロゴやメニューを企画する部門も持っていた。帝国データバンクによると、これらを含めて同社が運営する店舗は10月7日時点ですべて閉鎖されている。

PIECE OF BAKEの1号店は2022年11月18日、大阪・梅田の阪急三番街北館地下2階の「UMEDA FOOD HALL」に開いた。看板は「生ドーナツ ボンボローニ」。数種類の小麦粉を合わせた生地に北海道産のクリームを詰め、開店当時はプレーン、ピスタチオ、チョコ、ラズベリーなど7種類をそろえていた。

販売が始まると列ができる人気店となり、店舗は東京・吉祥寺や神戸へと広がる。2026年3月18日には名古屋・栄の中日ビル地下1階に、クレープ店との複合店で名古屋初の常設店を構えた。休業発表のわずか半年あまり前のことだ。

売上4億円規模でも続いた苦しい資金繰り

順調に見えた店舗網の裏で、財務は早くから苦しかった。

東京商工リサーチによると、2019年11月期の売上高は3億7964万円。新型コロナの影響を受けた2020年11月期は2億3223万円まで落ち込み、4517万円の赤字を計上し、債務超過に陥った。利益は当初から低調で、赤字の年もあったという。

一方で、創業以来の積極的な出店とSNSでの発信で客足は伸びており、帝国データバンクの調べでは2025年11月期の年売上高は約4億円だった。だが、出店費用として借り入れた資金の返済負担が重く、収益は徐々に悪化。債務超過に陥るなど資金繰りは厳しく、店を閉じては新たに出す「スクラップ・アンド・ビルド」で収益性の改善を図っていた。

2026年9月末には取引先への支払い遅延が起きていた。それから約1週間で、全店休業と事業停止に至ったことになる。信用調査会社2社が挙げる要因は、店舗を増やすための借り入れの重さと資金繰りの悪化だ。板倉代表は「当該事案により会社の経営に極めて大きな影響を受け」たと書く一方、「今回の結果をこの事案だけの責任にするつもりはありません」とも記しており、事案の中身は10月8日時点で明らかにされていない。

予約やギフトはどうなるのか

店頭での販売は10月6日から止まっている。予約していた商品の扱いや代金の返金、通販や手土産用の注文、ポイントなどについて、10月8日時点で運営会社からの具体的な案内は確認できない。

今後、裁判所に破産を申し立てて手続きの開始が決まると、裁判所が選ぶ破産管財人が会社の財産を調べ、債権者への配当などを進める流れになる。代金を前払いしていた客の返金や取引先の未払い代金は、原則として「破産債権」となり、債権を届け出て、会社に残った財産の範囲で配当を受ける形になる。全額が戻るとは限らない。問い合わせ先や手続きの案内が出た場合は、公式SNSや代理人の弁護士事務所の告知で確かめたい。

SNSには惜しむ投稿が相次いだ。公式の告知には「私が1番好きなドーナツだったのにショックすぎます」といった書き込みが寄せられ、出かけた先で自分と子どもへの土産に買うのが楽しみだったという人もいた。吉祥寺店の扉には休業を知らせる張り紙が出され、訪れた客からは困惑や落胆の言葉が聞かれた。

飲食業の倒産は上半期で509件

飲食業界全体でも倒産は高い水準が続く。東京商工リサーチの集計では、2026年上半期(1〜6月)の飲食業の倒産(負債1000万円以上)は509件で、前年同期から5.3%増えた。上半期として1997年以降の30年間で初めて500件台に乗っている。

内訳を見ると、物価高を原因とする倒産が86件、人手不足に関連する倒産が36件。原材料費や人件費の上昇を価格に乗せにくい小規模な店ほど負担が重いと、同社は分析している。

行列のできる人気店でも、出店にかかった借り入れが経営を圧迫し続けた。Yorkys Entertainmentは今後、裁判所へ破産を申し立てる予定だ。社内で判明したという「重大な事案」について、板倉代表は「今後然るべき時期が来た際には、私自身の言葉で皆様にお伝えできればと考えております」としている。

[文/構成 by MEDIA DOGS編集部]

寄稿者

MEDIA DOGS 編集部
メディアドッグス株式会社のMEDIA DOGS 編集部チーム。インターネットマーケティングに約10年携わるメンバーで編成し、企画・取材・執筆から公開後の改善まで一貫して担当。「出会いを、設計する。」のもと、人と企業が正しく出会える場をつくるために、一次情報の確認とファクトチェックを徹底。情報をわかりやすく誠実に届け、読者の疑問を解決します。

コメントはこちら

*
*
* (公開されません)

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

ライフハック/実用

More

グルメ

More

エンタメ

More

社会/ニュース

More

旅行/スポット

More

ファッション/ビューティー

ファンケル「マイルドクレンジングオイル ブラック&スムース」は実際どう?真っ黒なオイルの使い心地や洗い上がり、口コミをレビュー

ファンケル「マイルドクレンジングオイル ブラック&スムース」は実際どう?真っ黒な...

ファンケルの毛穴ケア向けクレンジング「マイルドクレンジング オイル<ブラック&スムース>」をレビュー。炭と吸着泥配合の真っ黒なオイルの色やテクスチャー、流したあとの肌の感じ、120mL・約60回分の量とコスパまで写真付きで紹介。
More
Return Top