ジャングリア沖縄、運営会社が89億円の最終赤字 親会社の総会で決算承認、規模縮小と新たな出資者探しで再建へ

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
ジャングリア沖縄を運営するジャパンエンターテイメントの親会社が10月30日、株主総会の継続会で2026年6月期決算を承認した。最終赤字は運営会社が89億円、親会社が約173億円。加藤健史CEOは「結果を残せなかった」と述べ、構造改革と新たな出資者探しで2028年6月期の黒字転換を目指す。パークは営業を続けている。
親会社の継続会で決算承認、運営会社の最終赤字は89億円
2025年7月25日、沖縄県今帰仁村と名護市にまたがる土地に開業したテーマパーク「ジャングリア沖縄」。その運営会社ジャパンエンターテイメント(JE、名護市)の親会社、ジャパンエンターテイメントホールディングス(JEHD)が10月30日、那覇市で株主総会の継続会を開き、2026年6月期(2025年7月〜2026年6月)の決算を承認した。
継続会は、いったん開いた株主総会の議事を日を改めて続ける手続きを指す。JEHDは9月25日に定時株主総会を開いたものの、その場では決算の承認に至らず、この日に持ち越していた。30日の総会は午前10時に始まり、正午前に終わっている。
赤字の大きさは、どの会社の数字を見るかで変わる。
| 会社 | 立場 | 2026年6月期の最終損益 |
|---|---|---|
| ジャパンエンターテイメント | パークの運営会社 | 89億円の赤字 |
| ジャパンエンターテイメントホールディングス | JEの親会社 | 約173億円の赤字 |
パークを動かすJEで89億円、その株を持つJEHDで約173億円。主体が違う2つの数字だ。
どちらの赤字額も、9月下旬にはすでに報じられていた。この日に新しく決まったのは、株主が決算を正式に認めたことと、会見で示された立て直しの計画のほう。決算の数字はこれまで各社の報道で伝えられてきたもので、30日の会見を受けて、2026年6月期の集客はパークと温浴施設を合わせて95万6千人だったとも報じられた。
「結果を残せなかった」加藤CEOが会見で責任に言及
継続会の後、JEの加藤健史代表取締役CEOが那覇市内で記者会見を開いた。加藤氏は親会社JEHDの代表も兼ねている。
「集客と収益という結果を残せなかった。責任を深く受けとめている」。加藤氏は会見でそう語り、陳謝した。報道によると、来場者が期待するサービスを届けきれなかったこと、来場者数の落ち込みに合わせた構造改革が後手に回ったことを、つまずいた理由に挙げたという。
加藤氏は責任という言葉を、資金集めの役目とも結びつけた。「将来の財務基盤の強化のために、新たな出資者の獲得に責任を果たしていきたい」とも話している。
関連記事:加藤健史氏の経歴。USJ1期生から森岡毅氏と歩み、ジャングリア沖縄運営会社CEOに至った経緯
開業を主導したのは、マーケティング会社「刀」(大阪市)だった。刀はJEの筆頭株主でもあると開業前に報じられている。USJの立て直しで知られる刀の森岡毅CEOも、継続会の後に報道陣の取材に応じ、総会では真摯に話し合ったとしたうえで、事業を前に進めていく考えを示した。
関連記事:森岡毅氏の経歴、何がすごい? USJ再建から「刀」の挑戦まで、その手法とは
今期は集客と売上の目標を下げ、黒字を出せる体制へ
会見では、今期(2026年7月〜2027年6月)の計画も示された。報道によると、集客目標はパークと温浴施設で63万8千人、売上目標は56億8千万円。2026年6月期の実績(95万6千人)と比べると、3分の1ほど少ない水準になる。
| 項目 | 目標・時期 |
|---|---|
| 今期の集客 | 63万8千人 |
| 今期の売上 | 56億8千万円 |
| 構造改革の完了 | 来春まで |
| 黒字転換 | 2028年6月期 |
| 新たな出資者の決定 | 数か月〜 |
狙いは、来場者が多くなくても利益を出せる体制に切り替えることにある。人員の適正化や外部委託の削減などを進め、来春までに構造改革を終えれば、今期並みの集客でも黒字を確保できるという説明だった。
ただ、改革を終えるまでの期間は赤字が続く見込みで、通期での黒字転換は2028年6月期を目標に据えた。開業後、3回目の決算期にあたる。
集客の目標を下げる一方で、損益の改善は急ぐ。規模に合わせて費用を削り、そのうえで新しい資本を迎え入れる二段構えが、再建策の骨格になる。
新たな出資者探しと30億円の融資は別の動き
加藤氏は「将来の成長に向けて新たな出資者を探していく」とも述べた。会見の時点で相手は決まっておらず、数か月から半年をめどに決めたいとの考えを示している。
ここで混同しやすいのが、出資と融資の違いだ。出資は株主として資本を入れてもらうお金で、返す義務はない。融資は返済を前提に借りるお金になる。
これまでの資金の動きも振り返っておく。開業前、13の金融機関が協調融資で計366億円を用意した。開業後の2026年4月には、琉球銀行などが計20億円を追加で融資している。
9月には、政府系の沖縄振興開発金融公庫が30億円を新たに融資すると報じられ、その後、契約を済ませたとの報道も出た。こちらも借入で、新たな出資者探しとは別の話。民間の金融機関は追加の融資に慎重になっているとも伝えられており、返済のいらない資本を厚くすることが、再建のもう一つの柱になる。
開業時の総事業費は約700億円で、資本と借入をおおむね半分ずつ用意する計画だった。開業前には刀のほか、オリオンビールや沖縄銀行といった地元企業、JTBなどが出資していた。
パークは営業中、7月の「100万人」発表との違い
経営の立て直しが進むなかでも、パークは営業を続けている。10月31日時点の公式サイトは当日の営業時間を午前10時〜午後5時と案内し、12月27日まで続く期間限定イベントや、11月28日の催しも告知していた。
営業日には変更がある。2027年1月以降、原則として毎週月曜日を定期メンテナンスのための休業日にすると公式サイトが案内しており、祝日と繁忙期は対象から外れる。
7月の発表とも整理しておきたい。開業1年を迎えた2026年7月25日、運営会社は来場者がスパを含めて約100万人に達し、売上高は100億円を超える見通しだと発表していた。こちらは開業日からの1年間を数えたもので、売上は実績ではなく見通しだった。
一方の決算は、2025年7月1日から2026年6月30日までが対象。開業前の日々を含み、2026年7月の営業分は入らない。集計の期間がずれているため、100万人と95万6千人はそのまま比べられない。
関連記事:ジャングリア沖縄、開業1年の来場者はスパ含め100万人 売上高は100億円超の見通しと発表
赤字の額が正式に固まり、焦点は次の段階へ移る。新しい出資者を迎えられるか、そして小さくした体制で2028年6月期の黒字に届くか。開業2年目のパークは、その両方を同時に問われる。
[文/構成 by Webライター 真柴 ことね]










































































コメントはこちら