田中瑛斗、CSで涙の阪神・工藤泰成へ「あれほど頑張っている人を、誰も責めてはいないと思う」

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報道によると、巨人の田中瑛斗(27)は10月18日、川崎市のジャイアンツ球場で秋季練習に参加し、前日のクライマックスシリーズ(CS)で逆転打を浴びて涙した阪神の工藤泰成に言葉を送った。「あれほど頑張っている人を、誰も責めてはいないと思う」。田中瑛自身も1年前のCSで、あと1死からサヨナラ負けを喫している。同じ痛みを知るリリーフ投手からのエールだった。
中継で見届けた甲子園の9回
田中瑛は10月17日、CSファイナルステージ第4戦の阪神-DeNA戦を中継で見ていたという。巨人はその6日前、ファーストステージでDeNAに2連敗して今季を終えていた。悔しさを抱えたまま、勝ち上がった相手の試合を追っていたことになる。
画面の中で起きたのは、阪神の守護神が「あと1球」から逆転打を許す場面だった。翌18日、田中瑛は工藤の胸中を思いやり、言葉を選びながら次のように語った。
「なんとなく気持ちは分かるし、でも、これまで工藤投手がいたからこその順位(1位)だし、何も背負い込まなくていいと思う」
話はそこで終わらない。打たれた直後はたぶん自分のせいだと思ってしまうだろう、と前置きしたうえで「でも、その気持ちも大事だと思うので、僕はその気持ちをなるべく忘れないようにと思って過ごしてます」と続け、最後は「きっと、いい経験になると思う」と結んだ。
責めなくていい、でも悔しさは持っていていい。打たれた側の心の動きを、実体験の順番どおりになぞるような言葉だった。
「あと1球」コールの中で浴びた逆転打
工藤が涙したのは、10月17日に甲子園で行われたCSファイナルステージ第4戦だった。阪神は第3戦まで3試合連続の零封負けで、アドバンテージの1勝を含めても1勝3敗と後がなかった。
この日は森下翔太の2本塁打などで7回までに5-3とリードを奪う。8回に1点差とされ、なおも無死一、二塁の場面で工藤がマウンドに上がった。井上朋也を見逃し三振、代打・筒香嘉智をこの日最速の162キロで空振り三振に仕留め、成瀬を一塁へのフライに打ち取ってピンチを切り抜けた。
暗転したのはイニングをまたいだ9回だ。1死から四球と内野安打で一、三塁とされ、2死二、三塁で途中出場の三森大貴を打席に迎える。2ストライクと追い込み、スタンドから「あと1球」のコールが響く中、中前へ2点適時打を運ばれた。阪神は5-8で敗れ、1勝4敗でシーズンを終えた。
代わったドリスも2本の適時打を浴び、阪神は9回だけで4点を失った。9回裏の阪神は1死満塁まで攻めたが、DeNAのレイノルズに後続を断たれる。
試合後、工藤はライトスタンドへのあいさつの場で座り込み、しばらく立ち上がれなかった。囲み取材では「悔しいですけど…」と言ったきり、約40秒間言葉が出ない。「巻き戻したくても巻き戻せない」「このことは絶対に忘れないように」と、ようやく声を絞り出した。
関連記事:工藤泰成、9回に逆転打を許し涙「このことは絶対に忘れないように」 阪神はCSファイナルで敗退
1年前の横浜、田中瑛斗も「あと1死」で
なぜ田中瑛の言葉に重みがあるのか。
答えは2025年10月12日の横浜スタジアムにある。巨人とDeNAのCSファーストステージ第2戦は延長戦にもつれ込み、田中瑛は8番手として延長10回を無失点に抑えた。巨人が勝ち越した直後の11回にも続投し、2死走者なしまで漕ぎつける。勝利まであと1死だった。
そこから2本の適時打を浴び、6-7の逆転サヨナラ負け。最後は蝦名達夫に打たれ、巨人はこの一戦でCS敗退が決まった。この日の田中瑛は、移籍後最多となる39球を投げていた。
試合直後の田中瑛は「本当にもう…これ以上悔しいことはないと思います。チームを終わらせたというか、結果的にそういうゲームに」と声を詰まらせている。一方で「オフもこの気持ちを残したまま取り組みたいと思います」とも語っていた。
1年後の秋季練習で工藤に向けた「その気持ちをなるべく忘れないように」という言葉は、このときの誓いと重なる。工藤が口にした「このことは絶対に忘れないように」とも、ほとんど同じ方向を向いていた。
現役ドラフト移籍から2年で最優秀中継ぎ
田中瑛は大分県中津市出身で、柳ヶ浦高から2017年のドラフト3位で日本ハムに入団した。だが日本ハムでの7年間は一軍登板が通算10試合にとどまる。転機は2024年12月の現役ドラフトで、巨人へ移った。
移籍1年目の2025年は阿部慎之助監督に武器のシュートを評価され、62試合に登板して36ホールド、防御率2.13。日本ハム時代は0だったホールドを、1年で36まで積み上げた。
2年目の今季は、開幕戦でいきなり大役が回ってきた。ライデル・マルティネスと大勢がWBC出場の影響で開幕に間に合わず、3月27日に東京ドームであった阪神との開幕戦で、3-1の9回を任される。先頭の森下に内野安打を許したものの、佐藤輝明を遊ゴロ併殺打、大山悠輔を左飛に仕留め、プロ初セーブを挙げた。開幕戦の相手は、のちに工藤が抑えを任される阪神だった。
4月から7月にかけては23試合連続無失点を続け、7月には監督選抜で初のオールスター出場も決めた。シーズンを通してさらに数字を伸ばす。61試合で3勝3敗2セーブ42ホールド、防御率1.52。ホールドポイント45で、自身初のタイトルとなる最優秀中継ぎ投手を手にした。現役ドラフトで移籍した選手がタイトルを獲得したのは初めてだった。
それでも、短期決戦の結果は2年続けて悔しいものになった。10月11日に東京ドームで行われた今年のファーストステージ第2戦では、1-2の7回に登板してピンチを招き、後を受けた森田駿哉が適時打を許す。巨人は1-4で敗れ、3年連続でCSでDeNAに屈した。
工藤に語った言葉の中には「去年、今年もそうだったので」という一言もあった。具体的に何を指すのかまでは語られていないが、田中瑛にとっては2年続けて悔しさの残る秋になった。
2年目で守護神となった工藤、DeNAは日本シリーズへ
工藤は2024年の育成ドラフト1位で阪神に入団し、2025年3月に支配下登録された。2年目の今季は160キロを超える直球を武器に一気に台頭する。57試合に登板して3勝1敗12セーブ13ホールド、防御率1.05。シーズン途中から抑えを任され、阪神のセ・リーグ連覇を支えた。
田中瑛が「工藤投手がいたからこその順位(1位)」と話したのは、この1年の働きを踏まえてのことだ。今季のセ・リーグで最優秀中継ぎに輝いた投手が、ライバル球団の守護神の1年をそう評価した。
一方、巨人と阪神を続けて退けたDeNAは日本シリーズへ駒を進めた。ソフトバンクとの第1戦は10月24日、横浜スタジアムで始まる。
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巨人の田中瑛は、敗退から1週間後の秋季練習で来季への準備を始めている。来季、工藤はプロ3年目を迎える。「でも1人しかそんな経験はできないから」。1年早く同じ悔しさを味わったリリーバーの言葉どおり、甲子園での36球は、来季のマウンドで生きる経験になるはずだ。
[文/構成 by スポーツライター TAKU]














































































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