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菊池雄星、母校・花巻東高校で野球教室 未就学児〜中学生の約110人とノックで交流

菊池雄星、母校・花巻東高校で野球教室 未就学児〜中学生の約110人とノックで交流

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

米大リーグ・エンゼルスの菊池雄星(35)が10月17日、母校の花巻東高等学校(岩手県花巻市)のグラウンドで、子どもたちに野球を教えた。参加したのは、菊池がオーナーを務める野球施設「King of the Hill(キング・オブ・ザ・ヒル)」のスクールに通う未就学児から中学生まで約110人。自らノックを打ち、子どもたちと一緒にノックも受けた。

母校のグラウンドに約110人、ノックを打って受けて

舞台は、花巻市南新田にある「King of the Hill」(略称K.O.H)の野球スクール感謝祭だった。スクールの生徒を対象にした感謝祭はこれが初めてで、生徒とその家族ら約200人が集まったと報じられている。

会場は施設の隣にある花巻東高校の野球グラウンド。菊池は拍手に迎えられて姿を見せると、自分から子どもたちに声をかけてノックを打ち始める。打つだけで終わらず、自身もグラウンドに入ってノックを受けた。上手に捕球できた子とはハイタッチを交わし、将来の夢を尋ねながら練習を続けた。

17日午後の母校訪問は、シーズンを終えて米国から帰国しての日程だった。メジャーリーガーが打つノックを、母校のグラウンドで受ける。野球選手を目指す岩手県内の子どもたちにとって、めったにない機会になった。

「子どもたちの夢を実現させるため」本人の言葉

この日はトークショーも開かれた。菊池は成長期の過ごし方に触れ、「たくさん食べて寝て、身長が一番伸びる時期を大切にしてほしい」と子どもたちにエールを送る。体づくりの基本を、自分の言葉でかみ砕いて伝えた。

終了後、記者団の取材に応じた菊池は「子どもたちの夢を実現させるため、少しでも役に立てればなと、気持ちを入れ直した」と明かした。

なぜ花巻なのか。

菊池の出身は岩手県盛岡市で、盛岡市立見前中学校から花巻東高校へ進んだ。K.O.Hの案内では、花巻を「母校のある第二の故郷」と表現している。高校の3年間を過ごした町に、自分の経験を還元する場所を作ったのだ。

2024年11月に開業、花巻東高校のすぐそばの「K.O.H」

K.O.Hは2024年11月に開業した全天候型の複合野球施設で、所在地は岩手県花巻市南新田。花巻東高校のすぐそばに、菊池が整備費を全額負担して建てた。本人は施設を「自らの集大成」と位置づけていると報じられている。

広さは約1400平方メートル。2人が同時に使えるブルペンや打撃ケージに加え、投球の回転や軌道を測る「トラックマン」などの解析機器を備え、ウエートトレーニング場や治療室もそろう。入り口には菊池がこれまで所属したチームのユニホームが飾られ、カフェエリアには菊池が長年集めてきたサインボールが並ぶ。設計にあたっては、2022年から在籍したブルージェイズのフロリダの春季キャンプ施設を参考にしたという。

利用者は幅広い。オフにはプロ野球選手が調整に訪れ、菊池自身も2年続けてここを拠点にオフの練習をしてきた。その一方で、幼稚園児から中学生までが通う野球スクールも開いており、元プロ選手らがコーチとして指導にあたる。

施設を作った理由について、菊池は以前のインタビューで「一番初めは僕の練習場を作りたかったというところがスタート」と打ち明けていた。メジャーで長くプレーするための環境を整えるうちに規模が大きくなり、「子どもたちのためになるような施設にしたい」という思いが徐々に強まったという。

子どもだけでなく、教える側の育成にも手を広げる。2025年12月6、7日には、野球の指導者やトレーナーを対象にした菊池監修の講習会「K.O.Hベースボールカンファレンス 2025 winter」を花巻市で開くと、同年10月に発表した。動作解析やスポーツ科学の専門家らが講師に名を連ね、菊池がアメリカをはじめ国内外で体験してきたトレーニングや指導の方法を、現場の指導者に伝える狙いだ。

母校とのつながり センバツ準優勝から焼き肉の差し入れまで

花巻東高校での菊池は、岩手県勢の歴史を何度も書き換えた。2009年春の第81回選抜高校野球大会では、県勢として春夏を通じて初めて甲子園の決勝へ進出。決勝は清峰(長崎)に0-1で敗れたが、準優勝を果たした。同じ年の夏の全国高校野球選手権大会でも勝ち進み、8強入りを決めた東北(宮城)戦では甲子園の球速表示で154キロを記録した。準々決勝で明豊(大分)を7-6で破り、夏の4強に名を連ねている。

その年のドラフト会議では6球団が1位で指名し、抽選の末に西武が交渉権を引き当てた。西武で力をつけた後、2019年にマリナーズへ移籍し、ブルージェイズ、アストロズを経て、2025年からエンゼルスでプレーする。

卒業後も、母校との縁は続く。2025年夏の甲子園では、出場した花巻東の後輩たちを1回戦の翌日に高級焼き肉店へ招いた。野球部のメンバーと3年生全員にごちそうしたと、同校野球部が公式インスタグラムで報告している。

花巻東高校のグラウンド裏にある日居城野運動公園には、後輩の大谷翔平(ドジャース)と2人の活躍を記念したモニュメントが立つ。2021年のMLBオールスターゲームに2人がそろって選ばれたことを記念して、花巻温泉郷観光推進協議会が贈ったものだ。2023年に2人がそろって2桁勝利を挙げたことなどを記念したモニュメントも加わり、誰でも見学できる。

その母校の野球部は2026年夏、甲子園で3年ぶりの8強入りを果たした。

関連記事:花巻東、夏の甲子園で3年ぶり8強 英明戦の4点は適時打ゼロ、内野ゴロと犠飛だけで奪った

左肩の炎症で約4か月離脱、エンゼルス2年目の2026年

メジャー8年目となった2026年は、試練のシーズンになった。3月には日本代表としてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に臨み、自身初の代表入りを果たす。エンゼルスでは開幕直後から先発ローテーションを担ったが、4月末に左肩の炎症で故障者リスト入りした。

戦列に戻ったのは8月23日(現地時間)。約4か月ぶりのメジャー登板だった。待望の今季初勝利は9月5日(同)のパイレーツ戦で、6回を無失点に抑えてつかんだ。

2026年のレギュラーシーズンは14試合すべてに先発し、1勝7敗、防御率4.92、67回2/3を投げて67奪三振を記録した(MLB公式の成績による)。チームは62勝100敗で、アメリカン・リーグ西地区の最下位に終わっている。エンゼルスとは2024年11月に3年契約を結んでおり、2027年がその最終年となる。

悔しさの残るシーズンを終えて帰国し、立ったのは母校のグラウンドだった。子どもたちにノックを打ち、夢を聞いて回った一日。「気持ちを入れ直した」という言葉とともに、菊池は来季へ向かう。

[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]

寄稿者

高瀬翔吾
Webメディアでスポーツ、エンタメ、時事ニュースなど、累計数千本の記事制作に携わってきたスポーツ系ライター。野球分野では、プロ野球の試合結果や選手の記録をはじめ、MLB、高校野球、ドラフト、移籍、契約更改などの記事を継続的に担当。数字や公式記録を基に情報を整理する記事を得意としており、結果を伝えるだけでなく、その記録が持つ意味や、選手・球団を取り巻く背景までわかりやすく解説することを心がけている。主な執筆分野は、プロ野球、MLB、高校野球、侍ジャパン、ドラフト、移籍情報。

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