佐藤輝明、メジャー挑戦問われ「何も言えない」 阪神はポスティング容認を検討、海外FAは最短2029年

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
阪神の佐藤輝明内野手(27)が10月17日、CSファイナルステージ敗退が決まった試合の後、今オフのメジャー挑戦について問われ「まだ終わったばっかりなのでね。何も言えないです」と答えた。今季は打率3割6厘、39本塁打、106打点で三冠王。海外FA権の取得は最短でも2029年で、それより早く海を渡る道はポスティングシステムしかない。
終戦の甲子園で口にした「何も言えない」
10月17日、甲子園で行われたCSファイナルステージ第4戦。阪神は横浜DeNAに5-8で敗れ、リーグ優勝によるアドバンテージの1勝を含めて1勝4敗となり、日本シリーズ進出を逃した。
5-4と1点をリードして迎えた九回、2死二、三塁から三森大貴に逆転の2点適時打を浴び、この回に4点を失った。午後2時1分に始まった試合は3時間54分に及び、球場には4万2648人の観客が入っていた。
佐藤は3試合ぶりに「4番・三塁」で先発し、五回に右前打、七回に左中間への二塁打を放った。試合後、報道陣から今オフのポスティングシステムでの移籍について聞かれると、冒頭の言葉で即答を避けた。球団と今後しっかり話し合うのかとの問いには「そうですね、はい」と応じている。
報道によると、佐藤はメジャーでプレーする夢自体は変わっていないとも話した。大事な場面でけがをして2試合に出られなかったことを悔やみつつ、最後までやれることはやったという趣旨の言葉も残している。レギュラーシーズン終盤から続いていた無安打のトンネルも、この日の2安打でようやく抜けた。
同じ日、嶌村聡球団本部長(59)も取材に応じたが、ポスティングを認めるかどうかについては「今日の時点で」コメントはないと話すにとどめた。
27イニング無得点、主砲を欠いた3連敗
シリーズは阪神にとって苦しい展開が続いた。14日の第1戦は0-2、15日の第2戦は0-1、16日の第3戦は0-4と、3試合連続の零封負け。第4戦の一回に大山悠輔の適時打で挙げた1点が、このシリーズ28イニング目にしてようやく刻んだ初得点だった。
佐藤は第1戦の八回に自打球を当て、九回の守備から交代した。藤川球児監督は自打球による交代ではないとし、「元々、あった症状だけれども、今日さらに強く症状が出た」と説明したが、第2戦はベンチ入りメンバーから外れ、第3戦はベンチに入ったものの出番はなかった。4番を欠いた打線は2試合で計4安打に終わっている。
関連記事:佐藤輝明、CSファイナル第2戦ベンチ外・第3戦も出場なし 藤川監督「今日、スタメンは難しい」
戻ってきた第4戦で、チームは14安打5得点と息を吹き返した。一回に先制されてもすぐ追いつき、四回に成瀬の2ランで勝ち越されても、五回に1点、六回に同点、七回に2点を挙げ、5-3とひっくり返した。森下翔太が五回と七回に2本のソロ本塁打を放ち、佐藤もマルチ安打。それでも九回のリードは守り切れなかった。
球団40年ぶりの三冠王、6年目でたどり着いた数字
佐藤は仁川学院高から近畿大を経て、2020年のドラフト1位で阪神に入団した。1年目の2021年に24本塁打を放つと、2022年は全143試合に出場。以降も毎年2桁本塁打を続け、2025年は40本塁打、102打点で本塁打と打点の2冠を手にし、セ・リーグMVPに選ばれた。
6年目の今季は全143試合に出場し、打率3割6厘、39本塁打、106打点。打撃3部門すべてでリーグの頂点に立った。阪神の三冠王は1986年のランディ・バース以来40年ぶりで、日本人選手としては球団初。プロ野球全体では史上9人目となる。
得点100、出塁率3割8分3厘、長打率6割9厘と、主要部門以外の数字も軒並み自己最高を更新した。チームの球団初となるセ・リーグ連覇の中心にいたのが佐藤だった。
海外FA権は最短で2029年、それまではポスティング
メジャー志向を球団に初めて伝えたのは2024年12月23日の契約更改だった。佐藤はこの日、球団に希望をしっかり伝えたのは初めてだと明かしている。2025年オフの交渉は年をまたぎ、2026年1月30日、12球団で最後の契約更改にサインした。その後も、ポスティングの容認を求めて話し合いを続ける考えを示してきた。
なぜポスティングにこだわるのか。
答えはFA権の取得時期にある。プロ野球のFA権は、1軍の出場選手登録が145日以上あったシーズンを1シーズンと数え、海外FA権は通算9シーズンで手に入る。2021年に入団した佐藤の場合、最短でも30歳になる2029年まで待たなければならない。大学出身選手の国内FA権は7シーズンで、順調なら2027年シーズン中に条件を満たす見通しだが、国内FA権ではメジャー球団と契約できない。
ポスティングシステムは、球団が選手の移籍を認めて申請する制度で、可否を決める権限は球団にある。メジャー球団と契約が成立すると、契約総額に応じた譲渡金が阪神に支払われる。若いうちに挑戦したい選手と、主力を手放す球団。両者の思惑が交わる場所が、この制度だ。
手続きにも期限がある。日米間の取り決めでは、ポスティングの申請は毎年11月1日から12月15日まで。申請された選手はメジャー全球団と45日間交渉でき、期間内にまとまらなければその年の移籍はできない。譲渡金は保証額のうち2500万ドルまでの部分の20%、2500万ドルを超え5000万ドルまでの部分の17.5%、5000万ドルを超えた部分の15%を合計して決まる。契約が大きくなるほど、阪神に入る額も膨らむ仕組みだ。
球団は容認の方向で検討、ロックアウトも影
敗退から一夜明けた10月18日、阪神が今オフのポスティング移籍を容認する方向で検討していると報じられた。実現すれば、阪神の野手では初めてのポスティング移籍になる。ある球団関係者は「全て終わってからの話」と前置きしたうえで、「球団としても、本人のためにも速やかに結論を出したい」と話し、現時点で決まったことは何もないとした。
結論を急ぐ理由の一つが、メジャーの労使協定だ。現行の協定は2026年12月1日に失効し、それまでに新しい協定で合意できなければ、ロックアウトに入る可能性がある。その間はFA選手との契約やトレードが止まり、ポスティングでの移籍交渉にも影響が出る。
佐藤は米国の大手代理人事務所と契約していると伝えられており、今後は代理人を交えた話し合いの場が設けられる見込みだ。「何も言えない」と言葉を選んだ三冠王の去就は、球団の判断を待つ段階に入った。
[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]











































































コメントはこちら