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野杁正明、決勝進出も怪我を公表「12月は無理」 グレゴリアン戦の行方

野杁正明、決勝進出も怪我を公表「12月は無理」 グレゴリアン戦の行方

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元K-1王者の野杁正明(33)=team VASILEUS=が10月17日、東京・有明アリーナの「ONE SAMURAI 4」でフェザー級キックボクシングトーナメント準決勝に臨み、モハメド・シアサラニ(イラン)に判定2-1で勝って決勝へ進んだ。相手はマラット・グレゴリアン(アルメニア)。試合後、野杁は試合前から怪我を抱えていたと明かし、チャトリ・シットヨートンCEOが望む12月の決勝開催は「無理」と答えた。

2-1のスプリット判定、薄氷の決勝進出

勝敗は3人のジャッジの採点で割れた。ONE Championshipの公式発表によると、2人が29-28で野杁を、1人が29-28でシアサラニを支持している。

試合(10月17日・ONE SAMURAI 4)勝者敗者決着
トーナメント準決勝野杁正明モハメド・シアサラニ3R判定2-1(29-28、29-28、28-29)
トーナメント準決勝マラット・グレゴリアン(不戦)ルオ・チャオルオが計量をクリアできず試合不成立

1Rの野杁は高いガードを保ったまま前に出て、ふくらはぎを狙うローとボディで相手のリズムを崩しにかかった。シアサラニは左右に構えを切り替え、連打やミドル、ハイキックで応じる。2Rは距離が詰まり、アッパーとフックの打ち合いに。野杁の右があごを跳ね上げる場面もあったが、シアサラニも手数で返し、一進一退のまま最終ラウンドへ入った。

3Rは組み合う時間が長くなった。シアサラニにはイエローカードが2枚出され、野杁もホールディングで注意を受けている。最後まで決定打はなく、勝敗は判定に委ねられた。

シアサラニは8月8日の「ONE SAMURAI 2」の準々決勝で、日本の海人を1R1分27秒でKOした選手だ。その強打者を相手に、野杁は倒しきれなかった。試合直後のケージでは、皆さんが求めていた内容ではなかったと思うと切り出し、シアサラニの強さと上手さを認めたうえで、自身の実力不足を口にして応援に来たファンに謝った。

もう一方の準決勝は試合そのものが消えた。グレゴリアンと戦う予定だったルオ・チャオ(中国)が10月16日の計量とハイドレーションテスト(体内の水分量の検査)をクリアできず、キャッチウェイトでの交渉もまとまらなかった。グレゴリアンは戦わずに決勝へ進んでいる。

ONE SAMURAI 4は日本国内ではU-NEXTが独占でライブ配信し、10月18日時点で12月5日まで見逃し配信が見放題で視聴できる。

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試合前から隠していた怪我

判定勝ちの裏には、明かしていなかった事情があった。

試合後のインタビュースペースで、野杁は試合前から怪我を抱えていたと打ち明けた。誰にも公表せず、隠したまま練習を続けていたという。試合中も痛みがあったと話している。負傷した部位や程度については触れていない。

この日、チャトリCEOは決勝について、12月に横浜BUNTAIで開く「ONE SAMURAI 6」で行いたいとの考えを示していた。ONE Championshipの公式サイトによると、ONE SAMURAI 6は12月2日(水)の開催だ。ただ、CEOはこの時点で両選手にはまだ伝えていなかったという。

これを聞いた野杁の答えははっきりしていた。「正直」と前置きしたうえで、12月は「無理」と返答。グレゴリアンは中途半端な状態で勝てる相手ではないとして、怪我をしっかり治し、お互い万全の状態で戦いたいと話した。12月の決勝は自分としては無し、という立場だ。

試合内容への不満も隠さなかった。インタビュースペースでは、試合をした感じがしないと話し、「不完全燃焼」だったと振り返っている。怪我を抱えた状態で3Rを戦い抜いたことを考えると、この言葉の受け止め方も変わってくる。

一方、敗れたシアサラニは判定に納得していなかった。試合後、ファンは自分が勝ったと思っているだろうと不満をにじませ、強くなって戻ると話した。さらに、次は野杁がタイに来てムエタイで戦う勇気はあるかと挑発している。野杁はタイで戦うこと自体はありだとしながらも、ONEでムエタイルールの試合をしたことはなく、今はキックボクシングの正規のベルトを取ることしか目指していないと答えた。トーナメントの優勝者にはシルバーのベルトも賞金も出ないと聞いているとして、運営に検討を求める場面もあった。

グレゴリアン戦はいつになるのか

10月18日時点で、ONE Championshipから決勝の日程は正式に発表されていない。CEOの希望は12月2日の横浜BUNTAI、本人は12月出場を否定。決勝がどの大会で行われるかは、まだ決まっていない。

対戦が決まった直後、2人はケージで向き合った。野杁はONEで活躍する姿を見て「いつか戦いたいとずっと思っていた」と語り、グレゴリアンを昔から最強の選手だと思っていたと明かした。グレゴリアンは準決勝で試合ができなかったことを残念がり、決勝ではいい試合を見せたいと話している。

グレゴリアンは1991年生まれの35歳。2015年にK-1の70kgトーナメントを制し、GLORYでもライト級王者になった実績を持つ。ONEではフェザー級キックボクシング世界王座に何度も挑んできたが、まだベルトには届いていない。トーナメントでは8月7日、タイ・バンコクでの大会でマムカ・ウスビャンを下して準決勝へ進んでいた。

トーナメントの優勝者には、フェザー級キックボクシング世界王者スーパーボン(タイ)への挑戦権が与えられる。

K-1で2階級制覇、ONEで暫定王者に

野杁は1993年、愛知県名古屋市生まれ。2017年6月にK-1スーパー・ライト級(65kg)王座を手にすると、2021年9月には横浜アリーナでのウェルター級(67.5kg)王座決定トーナメントで優勝し、決勝で安保瑠輝也を下して2階級制覇を成し遂げた。

2024年にK-1を離れてONEへ移ると、最初の2試合は連敗だった。2024年12月にはリウ・メンヤン(中国)にダウンを奪われて判定で敗れている。それでも2025年1月の「ONE 170」で白星を挙げ、3月の「ONE 172」ではタワンチャイ(タイ)を3RTKOで破り、暫定フェザー級キックボクシング世界王者になった。11月の「ONE 173」で正規王者スーパーボンとの統一戦に敗れ、ベルトを失った。

トーナメントは再起の舞台でもある。8月8日の準々決勝では、かつて敗れたリウ・メンヤンを1R2分59秒でKOして雪辱を果たし、10万ドルのボーナスを手にした。準決勝の勝利で、スーパーボンへの再挑戦まであと1勝に迫る。

試合後の会見では、同じ大会でハイドレーションテストをクリアできずに試合が中止となった安保瑠輝也についても質問が出た。野杁は、自身も過去にハイドレーションで失敗しかけた経験があり難しさは分かると前置きしつつ、それがONEのルールであり、知識があれば必ずクリアできると指摘し、普段の知識と意識の差が出た結果だと厳しく評した。

関連記事:安保瑠輝也、シュマロフ戦は中止 9回目のハイドレーションも不合格で「もうONEに興味無くなったわ」

勝ち上がったものの、本人にとっては悔いの残る準決勝だった。怪我を治し、万全の状態でグレゴリアンと向き合えるか。決勝の日程発表を待つことになる。

[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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