亀田和毅の世界戦が当日朝に中止 体重超過で王座はく奪のフィゲロアが体調不良、和毅「プロとして失格」

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
世界3階級制覇をかけた亀田和毅(35)=TMK=の世界戦が、試合当日の朝になって消えた。WBA世界フェザー級王者だったブランドン・フィゲロア(29)=米国=は、現地10月16日(日本時間17日)の前日計量で2度リミットを超えて王座をはく奪され、翌17日の朝、体調不良を理由に試合を取りやめた。ひとりで公開計量に立った和毅は相手の計量失敗を「正直、失礼」と切り捨てていたが、リングに上がることはできなかった。TMKジムが中止を明らかにしたのは日本時間10月18日未明だった。
試合当日の朝に中止、相手は「体調不良」
試合は現地10月17日(土)、米ネバダ州ラスベガスのザ・コスモポリタン・オブ・ラスベガスで、WBA世界フェザー級タイトルマッチ12回戦として組まれていた。WBC世界スーパーウエルター級王者セバスチャン・フンドラ(米国)の防衛戦をメインとする興行で、和毅の試合はその前のセミファイナルにあたる。
中止を伝えたのは興行の主催者だった。TMKジムによると、試合当日の朝、フィゲロアが体調を崩したため試合ができないと主催者から通達があった。米国でも、フィゲロアが計量のあとに「very sick(ひどく体調を崩した)」状態になり、土曜の朝に試合から撤退したと報じられている。体調不良の具体的な内容は、10月18日早朝の時点で明らかにされていない。
現地17日の朝は、日本時間では17日の夜から18日未明にあたる(夏時間のラスベガスは日本より16時間遅い)。日本で中止の一報が広がったのは、18日未明のことだった。
日本ではDAZNが、10月18日(日)午前9時からこの興行を日本語の実況・解説付きで配信する予定になっている。番組名には「亀田和毅 セミファイナル」と入ったままだが、和毅の試合は行われない。主催のプレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)は興行の公式ページからこの一戦を外し、元世界王者アルマンド・レセンディス(メキシコ)が出るスーパーミドル級10回戦をセミファイナルに繰り上げた。
前日計量で2度オーバー、王座は空位に
つまずきは前日計量から始まっていた。フェザー級のリミットは126ポンド(約57.1キロ)。フィゲロアは1回目に127.4ポンド(約57.8キロ)を計測し、1.4ポンド(約0.6キロ)上回った。その後に計り直しても126.8ポンド(約57.5キロ)で、リミットには届かない。この時点で王座を失い、ファンを入れて開かれた公開計量にも姿を見せなかった。
一方の和毅は、リミット内で一発パス。計量後、試合は条件付きのタイトルマッチとして行われることになった。和毅が勝てば新王者、フィゲロアが勝つか引き分けなら王座は空位のまま、という変則の形だ。勝つことでしかベルトに手が届かないのは挑戦者の側だけになり、王者として初防衛を目指していたフィゲロアにとっては、勝ってもベルトが戻らない一戦に変わっていた。
フィゲロアは米テキサス州出身で、スーパーバンタム級とフェザー級で世界王座を手にした2階級制覇王者。2026年2月には英リバプールで、それまで無敗だったニック・ボール(英国)を12回TKOで下してこのWBA王座を奪っていた。戦績は30戦27勝(20KO)2敗1分け。ベルトを一度も防衛しないまま、計量で手放したことになる。
公開計量にひとり、「正直、失礼」
フィゲロアがいない公開計量で、和毅はひとりで台に上がり、鍛え上げた上半身を見せてポーズを決めた。壇上のインタビューで、和毅は英語の質問にスペイン語で答えている。
王者が計量をクリアできず、この場にも来なかったことをどう受け止めるか。そう問われた和毅は、まず「正直、失礼」と答えた。日本語の訳は報道ごとに少しずつ違い、「失礼なことだと思う」と訳したものもあれば、「リスペクトを欠いている」としたものもある。どの訳も、相手の振る舞いを強くとがめる言葉になっていた。
そのうえで和毅は、自分はやるべきことをやって計量もクリアしたと強調し、試合への準備はできていると話した。フィゲロアの計量失敗で作戦を変えるかと聞かれると、何も変えない、自分にはしっかりした戦略がある、明日は勝つ、と言い切っている。約1年5カ月ぶりの試合を前に、「この体を見てくれ」と自分の肉体を指さす場面もあった。
和毅は15歳で単身メキシコへ渡り、現地で腕を磨いた。「エル・メヒカニート(小さなメキシコ人)」の愛称で呼ばれ、試合前の公開練習や記者会見でもスペイン語で受け答えしてきた。
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「プロとして失格」、怒りは収まらず
その準備が、試合当日に行き場を失った。中止を知った和毅は取材に「プロとして失格だと思います」と語り、せめて公開計量や当日の計量で顔を出すか、会えないならビデオ電話で言葉を交わすことはできたはずだと不満を口にした。「こっちも莫大な費用をかけて、強化合宿にも行って、人生賭けて戦いに来てるのにすごく残念です」とも続けている。
和毅は7月30日に日本を出発し、メキシコで合宿を張ってからラスベガスに入っていた。前戦は2025年5月、大阪でIBF世界フェザー級王者アンジェロ・レオ(米国)に挑み、0―2の判定で敗れた一戦。本来は4月に組まれていた試合が中止になり、7月の予定も流れ、ようやくたどり着いた世界戦だった。
2度流れた末に組まれた3度目の舞台でも、ゴングは鳴らなかった。
3階級制覇はおあずけ、空位の王座はどうなる
勝っていれば、和毅は世界3階級制覇を成し遂げるはずだった。これまでに手にした世界王座は、2013年のWBO世界バンタム級と、2018年のWBC世界スーパーバンタム級暫定王座の2本。報道によると、3階級制覇なら日本男子では9人目になる。日本人のWBA世界フェザー級王者は1968年の西城正三しかおらず、58年ぶり2人目の記録もかかっていた。
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WBAフェザー級の王座は、10月18日時点で空位のまま。報道によると、WBAは和毅側に対し、王座決定戦を行う場合は計量をクリアした和毅に優先権を与えると伝えたという。ただ、決定戦を開くかどうかや時期、相手については、正式な発表はまだない。
この階級には、もう一つの視線も注がれていた。スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が10月13日、自身のSNSで「フェザー級に行く準備も始めるよ」と投稿している。和毅は前日計量のあと、勝ってベルトを日本に持ち帰り、その先で井上と戦えればうれしいという思いも口にしていた。ベルトへの道は、計量をクリアした和毅の前にまだ残る。次の舞台がいつ、どこで用意されるのか。35歳の挑戦者は、その知らせを待つことになる。
[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]














































































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