亀田和毅、世界戦中止後にメキシコで再出発 モチベーションはむしろ上がっていると明かす

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
世界戦が当日朝に消えた亀田和毅(35)=TMK=が、海外活動の拠点にしているメキシコ市へ移った。報道によると、現地10月19日(日本時間20日)に米ラスベガスから移動し、オンライン取材に応じて「いや、むしろ逆にすごいモチベーションも上がってる」と話したという。空位になったWBA世界フェザー級王座の決定戦に出られるかどうかは、WBA世界選手権委員会の判断待ち。和毅は「正式発表ではないので、待ちたい」と落ち着いて構えている。
ラスベガスからメキシコ市へ、家族と移動
和毅がラスベガスを離れたのは、試合が中止になった2日後だった。現地10月19日、メキシコ出身のシルセ夫人と2人の息子を連れて、夫人の故郷でもあるメキシコ市へ移動し、深夜に着いた。中止の直後から、気持ちを切らさないためにラスベガスでトレーニングを再開していたという。
メキシコは和毅にとって原点の土地だ。15歳で単身海を渡り、現地のジムで腕を磨いた。今回の世界戦に向けても、7月30日に関西空港を出発してメキシコに入り、IBF・WBO世界スーパーフェザー級王者エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)のジムで合宿を張った。ナバレッテのジムは世界遺産テオティワカンの近く、標高2000メートルを超える高地にあり、スタミナを重点的に鍛えたうえで決戦直前に米国へ入った。
その拠点に、試合をしないまま戻る。悔しい道のりだが、取材での言葉は前を向いていた。
「もう終わり」とは思わない、と和毅
「いや、むしろ逆にすごいモチベーションも上がってる。これで中止になったからもう終わりっていう気持ちにもなってないです」。そう語ったうえで、和毅は「むしろ、もっともっと頑張ろうっていう気持ちになりましたよ」と続けた。予定どおり試合をしていれば、キャリア48戦目。プロ19年目に入ったベテランは、逆境を燃料に変える言い方を選んだ。
ただ、失ったものは小さくない。報道によると、世界戦にかかった経費は約1200万円だったという。トレーナー3人とメキシコで合宿を行い、ラスベガスにはドクターやスタッフも連れていったため、大所帯の宿泊費などがかさんだ。経費の穴埋めにあてるはずだったファイトマネーは、試合がなくなったことで一銭も入らない。支援してくれたスポンサーへの返金も必要になるといい、和毅は「すべて合わせるとすごい金額になります。でもお金の問題じゃないんです」と話した。
中止が決まった日には、日本からラスベガスまで応援に駆けつけた約100人のファンや関係者へのあいさつに回っている。「チケットも買っていただいてくれましたし、申し訳ない気持ちがすごいあります」。そう口にした言葉には、自分の落ち度ではない中止への複雑な思いがにじむ。
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前日計量でオーバー、当日朝に体調不良
和毅が挑むはずだったのは、WBA世界フェザー級王者ブランドン・フィゲロア(29)=米国=だった。試合は現地10月17日(日本時間18日)、ラスベガスのザ・コスモポリタン・オブ・ラスベガスで、WBC世界スーパーウエルター級王者セバスチャン・フンドラ(米国)の防衛戦をメインとする興行のセミファイナルに組まれていた。
崩れ始めたのは前日計量だ。フィゲロアはリミットの126ポンド(約57.1キロ)を超え、WBAのルールにより王座を失った。試合は和毅が勝った場合だけ新王者が生まれる変則のタイトルマッチとして行われる予定になったが、当日の朝、フィゲロアが体調を崩したとして中止が決まる。和毅は中止を知った直後、取材に「プロとして失格だと思います」と怒りをあらわにしていた。
フィゲロアは2026年2月、英リバプールでニック・ボール(英国)を12回TKOで破ってこのWBA王座を手にしていた。一度も防衛戦を行わないまま、計量でベルトを手放したことになる。体調不良の具体的な中身は、明らかにされていない。
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勝っていれば、2013年のWBO世界バンタム級、2018年のWBC世界スーパーバンタム級暫定王座に続く世界3階級制覇だった。前戦は2025年5月、大阪でIBF世界フェザー級王者アンジェロ・レオ(米国)に判定で敗れた一戦で、約1年5か月ぶりのリングになるはずだった。
王座決定戦は委員会の判断待ち
焦点は、空位になった王座の決定戦に和毅が入れるかどうかだ。和毅はラスベガスで、決定戦に優先して出場できる権利をWBA側から約束されたと説明していた。一方、WBAのヒルベルト・メンドサ会長は現地10月17日、自身のXで、フィゲロア対亀田は選択防衛戦だったと指摘し、指名挑戦の優先順位は1位がミルコ・クエジョ、2位が中野幹士になるはずだと書き込んだ。
その後、WBAは公式サイトに「フェザー級王座についての声明」を出した(日本時間10月20日午前1時52分掲載)。声明は、和毅がプロとして求められることをすべてやり、何か月も練習して計量もクリアしたと記し、10月19日の世界選手権委員会で、ランキングに入っている選手たちの権利とあわせて和毅の状況を「最優先」で扱うとした。和毅は「二転三転しましたが、WBAのオフィシャルで前向きに明記していただけて少し安心しました」と受け止めている。
それでも、正式な認定が出たわけではない。主要4団体の王座決定戦は、ランキング上位の2人に優先権を与えるのが原則とされる。WBA世界フェザー級ランキングは1位がクエジョ(26)=アルゼンチン=、2位が中野(31)=帝拳=で、和毅は3位。クエジョには「公式挑戦者」の注記も付く。WBAの公式サイトには、日本時間10月21日午前9時の時点で、委員会の結論は掲載されていない。次の試合の日程や相手も、発表されていない。
プロモーター業もこなし、次の報告を待つ
メキシコ市でのんびり休むわけではない。和毅は選手とプロモーターの二足のわらじを履いており、報道によると、10月下旬にはメキシコ市で、12月には大阪・堺でTMKの興行を控える。移動の翌日からメキシコの興行の打ち合わせが入っているといい、「昔から自分で交渉してきたし、これがしんどいっていう感覚はないです」と平然と話した。「ストレスになるとか全然何も思わないですね」とも言い切っている。
日本時間10月19日に更新したインスタグラムでは、約3か月のメキシコ合宿で「15歳で初めてメキシコに渡った頃の気持ちに戻れました」とつづり、「必ず近いうちに、皆さんに良い報告をさせていただきます」と結んでいた。原点の気持ちを取り戻したというメキシコで、和毅は次の知らせを待つ。
ベルトへの道が開くのか、それとも遠回りになるのか。答えはWBAの次の発表にかかる。
[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]












































































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