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シュガークン、12番人気で富士S制覇 マイルCS優先出走権獲得で次走に注目

シュガークン、12番人気で富士S制覇 マイルCS優先出走権獲得で次走に注目

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

10月17日に東京競馬場で行われた第29回富士ステークス(G2、芝1600m)は、12番人気のシュガークン(5)=栗東・清水久詞厩舎=が後方から差し切って優勝した。G1・7勝のキタサンブラックの半弟で、2024年の青葉賞以来となる重賞2勝目。屈腱炎による約2年の休養を経て、復帰3戦目でつかんだ白星だった。1着馬に与えられるマイルチャンピオンシップ(11月22日、京都)の優先出走権も手にしている。

単勝41.6倍の伏兵が4コーナー10番手から一気に

14頭立てのレースは晴れ、芝は良馬場で行われた。シンフォーエバー(岩田康誠)とエンペラーズソード(木幡巧也)が競り合うように前へ出ると、前半3ハロンは33秒5。マイル戦としてもかなり速い流れだった。

シュガークンは吉村誠之助(20)を背に後方で脚をため、3コーナー11番手、4コーナー10番手で直線へ向いた。外から伸びると、上がり3ハロンはメンバー最速の33秒7を記録。同じく後方から脚を伸ばした2番人気アンパドゥに4分の3馬身差をつけ、勝ちタイムは1分32秒2だった。単勝は4160円で、オッズにして41.6倍の伏兵だ。

着順馬名性齢騎手調教師タイム(着差)人気
1着(優勝)シュガークン牡5吉村誠之助清水久詞(栗東)1分32秒212番人気
2着アンパドゥ牡5岩田望来木村哲也(美浦)1分32秒3(3/4馬身)2番人気
3着エコロアルバ牡3坂井瑠星手塚貴久(美浦)1分32秒4(クビ)4番人気

※JRA公式のレース結果(10月17日確定)より

3着には大外14番枠から好位につけた3歳馬エコロアルバが粘り込んだ。1番人気のトロヴァトーレ(C.ルメール)はスタートで後手を踏んで流れに乗れず、12着に沈んでいる。逃げた2頭は13着、14着と失速し、前半の激しい先行争いが差し馬に向く展開となった。

2着のアンパドゥに騎乗した岩田望来は、走りのバランスをまっすぐに立て直してからはしっかり走ったと評価し、次につながる内容だったと語った。3着エコロアルバの坂井瑠星は、これまでにないほどスタートが決まったと手応えを示し、毎回このくらい出てくれれば戦い方の幅が広がると話している。

12番人気の勝利は配当にも表れた。馬連は1万2340円、3連単は23万3300円(593番人気)の波乱となった。

券種組み合わせ払戻金人気
単勝134,160円12番人気
複勝13/10/141,250円/170円/280円12/2/4番人気
馬連10-1312,340円36番人気
馬単13-1025,210円74番人気
3連複10-13-1427,050円86番人気
3連単13-10-14233,300円593番人気

ダービー7着のあとに屈腱炎、2年ぶりの復帰戦は15着

シュガークンは父ドゥラメンテ、母シュガーハート、母の父サクラバクシンオーという血統だ。母シュガーハートは、2016年と2017年の年度代表馬キタサンブラック(父ブラックタイド)を産んだ繁殖牝馬で、父が違う半兄弟の関係になる。生産は兄と同じ北海道日高町のヤナガワ牧場、管理するのも兄を手がけた清水久詞調教師。馬主は辻子依旦氏が務める。

兄キタサンブラックは2015年の菊花賞を皮切りに、天皇賞(春)を2度、ジャパンカップ、大阪杯、天皇賞(秋)、有馬記念を勝ち、G1を計7勝した。引退後は種牡馬となり、イクイノックスなどのG1馬を送り出した。シュガークンはその兄と同じ母から生まれた、9歳下の弟にあたる。

デビューは2024年2月4日の京都、芝1600mの新馬戦で2着だった。続く阪神の未勝利戦(芝2000m)、中京の大寒桜賞(1勝クラス、芝2200m)を連勝し、4月27日の青葉賞(G2、東京芝2400m)でも2番人気で勝って3連勝、重賞初制覇を果たす。いずれも武豊が手綱を取り、5月26日の日本ダービーでは8番人気で7着に入った。

だが、そこから長い空白が始まる。3歳秋に屈腱炎が判明し、休養は約2年に及んだ。屈腱炎は脚の腱が傷む故障で、競走馬にとって復帰までに時間がかかりやすい。

2026年5月16日の新潟大賞典(G3)で復帰したものの、2番人気で15着。6月14日の宝塚記念(G1)では吉村と初めてコンビを組んだが、17着に終わった。富士Sは宝塚記念から4カ月ぶりの実戦で、マイル戦は新馬戦以来2度目。当日の馬体重は前走から10キロ増の532キロ。戦績は8戦4勝となり、獲得賞金は1億3412万2000円に伸びた。

吉村誠之助「強い内容だった」、清水師「復活しました」

レース後、吉村はスタートを課題に挙げた。報道によると、ゲートそのものは上手だが、本番になると駐立で気負ってしまい、うまく出られなかったという。道中もそれほど進んでいく感じがなく、半信半疑のまま直線を迎えた。

ところが、直線に入ると手応えが一変する。吉村は伸び脚を「想像以上」と表現し、「強い内容だった」と振り返った。マイルでも力を出せたことから、もう一段上の舞台でもいいレースができるのではないかと、G1での走りにも手応えを口にしている。

清水師の第一声は「復活しました」。末脚については「切れましたね」と満足そうに語った。マイルを選んだ理由は、復帰後の2戦でスタート直後にすっと前へ行けたことだという。距離が短くなっても調整は変えていないと明かし、性格は兄キタサンブラックに似て、手のかからない馬だとも話している。

吉村、清水師ともに富士Sは初勝利。2年前の青葉賞で武豊とともに重賞を勝った馬が、20歳の若手と組んで再び重賞の舞台で先頭に立った。

マイルCSへ「何事もなければ」 兄に続くG1制覇へ

次走について清水師は、優先出走権を得たマイルチャンピオンシップへ、何事もなければ向かう考えを示した。正式な登録や騎手は10月18日時点で発表されていない。

第43回マイルチャンピオンシップ(G1)は11月22日、京都競馬場の芝1600m(外回り)で行われる。JRAが定める優先出走権の対象は、富士Sとスワンステークス(G2)の各1着馬の2頭。10月12日のスワンSを制したダイヤモンドノットは権利を得たものの、マイルCSには向かわず、12月26日の阪神カップ(G2)へ進むと報じられている。

関連記事:スワンS、ダイヤモンドノットがハナ差で重賞3勝目 初騎乗の横山武史「ハナ差でも勝ちは勝ちですから嬉しいです」

富士Sの勝ち馬にマイルCSの優先出走権が与えられるようになったのは2014年から。2020年にはG3からG2へ格上げされ、秋のマイル王決定戦へ向かう主要な前哨戦として定着した。1着本賞金は5900万円で、シュガークンの獲得賞金は一気に1億円を超えた。

敗れた馬の陣営も、京都での巻き返しを見据える。6着のアドマイヤズームに騎乗した武豊は、ギアが入りきらなかったと振り返りつつ、京都で巻き返したいと話した。

2年前、クラシック路線を歩んでいたシュガークンは、初めてのG1制覇をマイルの舞台で狙う。屈腱炎から戻った5歳馬が、兄キタサンブラックと同じ清水厩舎からG1の頂点へ挑む。

[文/構成 by スポーツライター 南條楓]

寄稿者

南條楓
学生時代に陸上の中距離を続けていたこともあり、記録で勝負が決まる競技に惹かれてスポーツを書くWebライターに。執筆歴は8年。陸上や水泳、体操、フィギュアスケートなど、記録と採点が結果を左右する競技を中心に、国際大会の速報から選手の歩みをたどる記事まで担当してきた。タイムや得点の意味、予選から決勝までの流れを、初めて観る人にも伝わる言葉で書くことを大切にしている。

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