武尊、史上4人目のONE殿堂入りで引退セレモニー 日本人初、観客と「格闘技最高」

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元K-1世界3階級制覇王者の武尊(35)が10月17日、東京・有明アリーナで開かれた「ONE SAMURAI 4」で引退セレモニーに臨み、ONE Championshipの殿堂入り(ホール・オブ・フェイム)を果たした。殿堂入りはデメトリアス・ジョンソン、ビビアーノ・フェルナンデス、アウンラ・ンサンに続く4人目で、日本人では初めてだ。最後は観客と一緒に「格闘技最高!」と叫び、ケージに別れを告げた。
引退試合と同じコスチューム、61.2キロの体でケージへ
セレモニーはセミファイナルの吉成名高の試合を前に行われた。武尊は4月の引退試合で着たコスチュームに身を包み、おなじみの入場曲に乗って花道に登場する。肩にはONEフライ級キックボクシング暫定世界王座のベルトがあった。
目を引いたのは体つきだった。この日のために、現役最後の試合と同じONEフライ級のリミット61.2キロまで体重を落としていたと報じられている。同じ大会で戦う選手たちと同じ気持ちでケージに上がりたい、という思いからだという。引退から半年がたっても、試合前と変わらない体で舞台に立った。
最初に花束を手渡したのは、元K-1 WORLD MAX世界王者の魔裟斗だった。魔裟斗は武尊がK-1でデビューしてから試合をずっとリングサイドで見てきたと明かし、その試合から「興奮と感動と勇気」をもらってきたと語りかけた。配信で見ている人も会場の観客も同じ気持ちだったはずだ、とも付け加え、ねぎらいの言葉で締めくくっている。
続いてONEのチャトリ・シットヨートン会長兼CEOが、殿堂入りの記念トロフィーを贈った。チャトリCEOは日本語を交えて武尊の歩みをたたえ、負けても再び戻ってきた勇気と我慢を挙げて「グローバル・スーパースター・ヒーロー」と呼んだ。
「史上4人目」の顔ぶれ
殿堂入りが発表されたのは5月5日(日本時間)だった。チャトリCEOが4月の引退試合を受けてSNSで明らかにし、ONE公式サイトも6日に伝えている。殿堂入りの場は10月の大会とされ、武尊は史上最高の日本人キックボクサーと言ってもいい存在として引退する、という評価も添えられた。
ONEの殿堂はまだ歴史が浅い。最初に選ばれたのは、UFCとONEの両方で世界王者になった総合格闘家のデメトリアス・ジョンソン(米国)。2人目はONEバンタム級で長く王座を守ったビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)、3人目はミャンマー出身で2階級を制したアウンラ・ンサンだ。3人はいずれも総合格闘技の選手で、立ち技の選手が選ばれるのは武尊が初めてになる。
苦しいONEの日々が「格闘家人生を染めた」
トロフィーを受け取った武尊は、温かい拍手の中でマイクを握り、17歳でタイでプロデビューしてから35歳まで戦い続けられたのは応援してくれる人たちのおかげだと語った。応援してくれる人がいなければ、もっと早く辞めていたとも打ち明ける。
話がONEでの日々に及ぶと、表情が和らいだ。ONEの舞台では苦しい思いやつらい思いをたくさんしたと振り返り、そのおかげで自分の格闘家人生はいい色に染まったと思う、と笑顔で語った。
武尊は、この日同じteam VASILEUSの選手が3人敗れ、直前に野杁正明が勝ったことにも触れた。そのうえで、厳しい舞台だからこそ、毎日痛みや苦しさに耐えてリングに上がる格闘家はみんな素晴らしいと、引退してから強く感じると話す。最高のファイターたちを応援して、最高の格闘技界を作ってほしい。そう呼びかけたうえで、自分も「裏方でも何でもやっていこう」と思っていると明かした。
最後は会場に「格闘技最高!」の唱和を求め、観客と声をそろえてセレモニーを締めくくった。
K-1のエースからONEの王者へ、約15年の歩み
武尊は幼いころにK-1に憧れて空手を始め、キックボクシングへ進んだ。国内では2011年にKrushでデビューし、2013年に初代Krushフェザー級王者になる。新生K-1では2015年に初代スーパー・バンタム級王者、2016年に初代フェザー級王者となり、2018年3月にはスーパー・フェザー級王座決定トーナメントを制して、K-1史上初の3階級制覇を成し遂げた。前に出て打ち合うスタイルから、”ナチュラル・ボーン・クラッシャー”の異名で知られる。
転機は2022年6月だった。東京ドームの「THE MATCH 2022」で那須川天心と対戦し、判定で敗れる。その後K-1との契約を終え、2023年にONEと独占複数試合契約を結んだ。同年6月にはパリでISKA世界ライト級王座を手にしている。
ONEでの道のりは平たんではなかった。2024年1月のONE日本大会で予定されていたロッタン・ジットムアンノン(タイ)戦は相手のけがで消え、代わりに挑んだフライ級キックボクシング世界王者スーパーレックに敗れた。2025年3月にはロッタンとの対戦が実現したものの、1ラウンドでKO負け。試合前に左肋骨と胸骨を骨折していたことが、のちに明らかになった。同年11月にデニス・ピューリックを2回TKOで下して再起し、次戦での引退を表明する。
迎えた2026年4月29日の「ONE SAMURAI 1」。有明アリーナのメインで、武尊はロッタンとのフライ級キックボクシング暫定世界王座決定戦に臨み、2ラウンドに2度、5ラウンドにもダウンを奪って、5ラウンドTKOで雪辱した。プロ通算戦績は51戦46勝(28KO)5敗。ONEのベルトを巻いて現役を終えた。
5月28日には東京・後楽園ホールのキックボクシング大会「GOAT」でも引退セレモニーがあり、10カウントゴングを聞いてリングに別れを告げている。有明でのセレモニーは、最後の舞台になったONEが用意した場だった。
同じ夜、吉成名高が43連勝で防衛
武尊がケージを降りた後のセミファイナルでは、ONEアトム級ムエタイ世界王者の吉成名高がリファディン・マスドールを2ラウンドのハイキックでTKOし、2度目の防衛に成功した。メインではジョナサン・ハガティーが秋元皓貴を3ラウンドTKOで下し、バンタム級キックボクシング王座を守っている。
関連記事:吉成名高、左ハイで2回TKO勝ち 43連勝で2度目の防衛、ムエタイ世界王者の戦績
大会の模様はU-NEXTで見逃し配信されており、10月18日時点で配信ページには見放題と表示されている。見逃し配信の期間は12月5日までの予定だ。武尊の引退試合となった「ONE SAMURAI 1」も、同じく見放題作品として配信中となる。
\ ONE SAMURAI 4はU-NEXTで見逃し配信中 /
引退後の武尊は、裏方としても格闘技界を盛り上げると口にした。リングを降りて半年、61.2キロの体で現れた元王者は、次は支える側から格闘技に関わっていく。
[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]










































































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