鈴木愛、富士通レディース2026で今季初優勝 通算23勝で永久シードまで残り7勝

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
女子ゴルフの国内ツアー「富士通レディース 2026」は10月18日、千葉市の東急セブンハンドレッドクラブ西コースで最終日を行い、首位タイから出た鈴木愛(32)=セールスフォース=が69で回って通算15アンダーで優勝した。2位の菅沼菜々に2打差をつけ、プレーオフなしで逃げ切った。今季初勝利で、ツアー通算23勝目。永久シードの条件となる通算30勝まで、残り7勝に迫った。
後半14番と15番の連続バーディーで混戦を抜け出す
最終日は通算12アンダーで鈴木とイミニョン(韓国)の2人が首位に並んでスタートした。1打差の3位タイに吉田鈴と菅沼菜々、さらに1打差に木戸愛、堀琴音、蛭田みな美が続く。誰が抜け出してもおかしくない顔ぶれだった。
鈴木の前半は7番パー5でバーディーを奪ったものの、直後の8番パー3でボギーをたたき、前半はパープレー。最終日は一時、通算12アンダーで6人が首位に並ぶ混戦になった。ピン位置が難しく、大きく伸ばす選手は少ないと鈴木は読んでいた。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の公式サイトによると、前半はセーフティーに攻め、後半は自分の狙いやすい角度や距離のピンだけを攻める作戦だったという。
10番パー5でバーディーを奪うと、難度の高い13番パー3をパーでしのぐ。勝負をかけたのは続く14番パー4だった。ピンまで148ヤード。ピンの奥には3〜4ヤードしか余裕がなく、グリーン奥に外せば大きなピンチになる。打つ直前に風向きが左からに変わる難しい状況で、鈴木は8番アイアンを選び、軽いドローでピンの右から攻めた。打球はピン手前4メートルに止まり、このバーディーパットを沈めてガッツポーズを見せた。
続く15番パー4でも4メートルを決めて連続バーディー。この2ホールで後続との差が開き、鈴木は4バーディー、1ボギーの69で18番まで崩れなかった。前日に「13番、14番が最初のキーホールとなる」と語っていたとおりの展開で、最終日の後半は3バーディー、ボギーなしだった。
2位は70で回った菅沼菜々で、通算13アンダー。通算12アンダーの3位タイには、大会3勝を持つ富士通所属の古江彩佳、堀琴音、蛭田みな美、イミニョンの4人が並んだ。メルセデス・ランキング首位の桑木志帆は通算6アンダーの13位タイで終えている。
| 順位 | 選手 | 通算スコア |
|---|---|---|
| 優勝 | 鈴木愛 | 15アンダー(273) |
| 2位 | 菅沼菜々 | 13アンダー(275) |
| 3位タイ | 古江彩佳 | 12アンダー |
| 3位タイ | 堀琴音 | 12アンダー |
| 3位タイ | 蛭田みな美 | 12アンダー |
| 3位タイ | イミニョン | 12アンダー |
| 7位タイ | 吉田鈴 | 11アンダー |
| 7位タイ | 荒木優奈 | 11アンダー |
| 7位タイ | 仲村果乃 | 11アンダー |
※10月18日の最終結果。賞金総額1億5000万円、優勝賞金2700万円。
2位の菅沼菜々は最終18番をバーディー、古江彩佳はノーボギー
単独2位に入った菅沼菜々は、第3日を終えて首位と1打差の3位タイにいた。第3日はボギーなしで回り、久しぶりの優勝争いを楽しむと話していた菅沼。最終日は70で通算13アンダーまで伸ばし、最終18番をバーディーで締めくくった。JLPGAの公式サイトで菅沼は「最後、バーディーで上がれて、すごく良いイメージが残った」と語り、ショットの状態が上向いていることも明かしている。
富士通所属の古江彩佳は、大会最多タイとなる4勝目を目指して第3日を3打差の8位タイで終えていた。最終日はボギーなしのラウンドで3位タイまで順位を上げたが、鈴木には3打届かなかった。速いグリーンと難しいピン位置の中で、ノーボギーで上がれたことは良かったと振り返っている。古江は次週から米女子ツアー(LPGAツアー)に戻り、韓国とマレーシアの試合を経て、TOTOジャパンクラシックで再び日本に帰ってくる予定だ。
関連記事:古江彩佳、富士通レディース第3日は3打差の8位タイ 首位は鈴木愛とイミニョン、大会最多タイの4勝目へ逆転狙う
第3日に鈴木と並んで首位にいたイミニョンは、通算12アンダーの3位タイ。同じく3位タイの蛭田みな美は、終盤まで結果の分からない展開を楽しんだと話し、堀琴音はロングパットの距離感がつかめてきた手応えを口にしている。
未勝利の今季、約11カ月ぶりの23勝目
2026年シーズンの鈴木は、富士通レディースまで勝ち星がなかった。富士通レディースは今季のJLPGAツアー第31戦。秋の終盤戦に入ってから、ようやく待っていた1勝が来た。
前回の優勝は、2025年シーズン最終戦のJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップだった。最終ホールでボギーをたたいて岩井千怜に追いつかれたものの、プレーオフ2ホール目で振り切り、ツアー通算22勝目を挙げている。その年の8月にはニトリレディスで21勝目をつかんでおり、2025年は2勝。富士通レディースの優勝は、それ以来の勝ち星になる。
鈴木は2013年にプロテストに合格し、2014年の日本女子プロゴルフ選手権でツアー初優勝を挙げた。2017年と2019年には賞金女王に輝いている。プロ入りから13年で積み上げた23勝で、32歳になった今もツアーの第一線にいる。
本人にとっても珍しい勝ち方だった。「淡々とプレーできた」。優勝後、鈴木は緊張感のないまま最後まで回れたことを明かし、23勝の中でも初めての感覚だったと語った。大会スポンサーから「もっと喜んでいいんだよ」と声をかけられるほど、ウイニングパットの後もすぐに落ち着いた表情に戻っていた。
最終日に着た緑色のウエアにも理由がある。鈴木は今季、自らデザインしたブランド「own is ROSE」のウエアで試合に出ており、このウエアを着て勝ったのは初めて。最終日の緑は、テレビ中継で目立つことを意識して選んだという。製品はまだ一般には販売していない。
永久シードまで残り7勝、背中を押した申ジエの30勝
JLPGAツアーの永久シードは、ツアー通算30勝で手にする。23勝の鈴木は、残り7勝の位置まで来た。
これまでに永久シードを持つのは、樋口久子、大迫たつ子、涂阿玉、岡本綾子、森口祐子、不動裕理の6人だった。そこに加わったのが申ジエ(韓国)だ。2週前の10月4日、日本女子オープンで通算30勝目を挙げ、38歳で史上7人目の永久シードをつかんだ。
鈴木にとって、この出来事は大きかった。身近な選手が30勝に届いたことで、自分にもできる「可能性を信じたくなる」と口にした。日本選手の達成は不動裕理以来途絶えている。鈴木は、まだ勝てるうちに30勝へ近づきたいという思いを隠さず、自分が達成すれば次の世代の目標になるとも語っている。
関連記事:申ジエ、日本女子オープン初優勝で永久シード 史上初の公式競技4冠、ツアー通算30勝
一方で、表彰式前のインタビューで30勝への意欲を問われた場面では、申ジエほどの実力はないと控えめに答えている。言葉は控えめでも、32歳の鈴木には時間がある。申の達成は38歳だった。
生涯獲得賞金は日本選手トップの不動に迫る
優勝賞金2700万円を加え、鈴木の生涯獲得賞金は11億9265万2116円になった。JLPGAによると順位は5位のまま変わらないが、日本選手トップで2位の不動裕理との差は1億8032万766円まで縮まった。
プロ入り当時は10億円到達を目標にしていたという鈴木。今は金額を強く意識していないとしながらも、日本選手のトップになれればうれしいと話す。
最終日に同じ組で回った吉田鈴は、勝負どころのパットを外さない鈴木の姿が勉強になったと語った。混戦の最後に抜け出す力は、32歳になっても衰えていない。永久シードまで残り7勝。シーズンはまだ数試合残っており、24勝目を狙う戦いがすぐに始まる。
[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]















































































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