ユメノカケラ、東京の新馬戦でデビュー勝ち 藤田晋オーナーが9800万円で落札したルーラーシップ産駒

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
藤田晋オーナーのユメノカケラ(牡2、美浦・上原佑紀厩舎)が10月18日、東京5Rの2歳新馬(芝2000m、8頭立て)でデビュー勝ちを飾った。津村明秀騎手が騎乗し、単勝1.5倍の1番人気に応えて2着マジックパールに1馬身差をつけた。勝ちタイムは2分5秒9(良)。2025年のセレクトセールで税抜9800万円(税込1億780万円)で取引された、父ルーラーシップの1頭だ。
単勝1.5倍に応え、直線で外から1馬身差し切る
レースは10月18日、4回東京7日目の5Rとして12時5分に発走した。天候は晴れ、芝は良馬場。8頭立ての2歳新馬戦で、ユメノカケラは4枠4番からのスタートだった。
単勝オッズは1.5倍で、2番人気の4.0倍を大きく引き離す断然の1番人気だった。
スタートは五分に出て、道中は先行した馬たちから少し離れた4番手を追走した。前半1000mの通過は1分4秒0と、新馬戦らしいゆったりした流れ。津村騎手は直線に向いても慌てず、外へ持ち出してから追い出した。前との差をじわじわと詰め、逃げ粘る5番人気マジックパール(美浦・矢嶋大樹厩舎)をとらえて先頭でゴールした。
2着のマジックパールは馬体重402キロの小柄な馬で、すべてのコーナーを先頭で回ってレースを引っ張った。ユメノカケラとの着差は1馬身だった。さらに1馬身遅れた3着には、川田将雅騎手が騎乗した2番人気スイープラディウス(美浦・辻哲英厩舎)が入った。3番人気のプレヴォスト(栗東・矢作芳人厩舎)は6着に終わり、7着はリョウランリノ、8着はレオガバナーだった。
ユメノカケラが最後の600mに要したタイムは34秒7で、出走8頭の中で最も速い数字となった。レース全体のラップは最後の400mが11秒4、11秒4と続き、後半に一気に速くなる。その流れを外から差し切ったのだから、末脚の確かさははっきりした。馬体重は496キロ。単勝の払戻金は150円で、1着の本賞金は780万円だった。
| 着順 | 馬名 | 騎手 | 人気 | タイム・着差 |
|---|---|---|---|---|
| 1着 | ユメノカケラ | 津村明秀 | 1番人気 | 2分5秒9 |
| 2着 | マジックパール | 鮫島克駿 | 5番人気 | 1馬身 |
| 3着 | スイープラディウス | 川田将雅 | 2番人気 | 1馬身 |
| 4着 | カーリーウィップ | 石川裕紀人 | 4番人気 | 2馬身半 |
| 5着 | ナックビリーブ | 大野拓弥 | 6番人気 | 3馬身半 |
| 6着 | プレヴォスト | 内田博幸 | 3番人気 | 1馬身 |
母ヘアケイリー、祖母は米G1馬という血統
ユメノカケラは2024年2月20日生まれの黒鹿毛。北海道安平町のノーザンファームで生まれた。父ルーラーシップは、キングカメハメハと名牝エアグルーヴの間に生まれた2007年生まれの種牡馬で、現役時代は2012年に香港のクイーンエリザベス2世カップを勝った。
母ヘアケイリーは父ディープインパクトの2018年生まれ。シルクレーシングの所有馬として栗東・中内田充正厩舎に所属し、中央で7戦して2着3回と、勝ち星には手が届かなかった。
血統の厚みは、さらにその上にある。祖母ヘアキティーはアメリカ産で、2013年にサンタアニタ競馬場のラブレアステークス(米G1)を勝った。ヘアキティーの娘で、ヘアケイリーの全姉にあたるサトノアクシスの子、サトノカグラ(美浦・木村哲也厩舎)も10月10日の東京5R・2歳新馬(芝1800m)を2番人気で勝っている。いとこ同士が同じ東京の新馬戦で、8日違いで白星を挙げた。
2025年のセレクトセールで藤田オーナーが9800万円で落札
ユメノカケラは、2025年7月14日、北海道苫小牧市のノーザンホースパークで開かれたセレクトセール2025の1歳部門に上場された。当時の名は「ヘアケイリーの2024」。藤田晋オーナーが税抜9800万円で競り落とし、税込の取引額は1億780万円となった。
藤田オーナーはサイバーエージェント会長で、個人馬主としてはフォーエバーヤングの所有者として知られる。同馬は2025年にサウジカップと米国のブリーダーズカップ・クラシックを制し、世界の大レースで藤田オーナーの名を広めた。毎年のセレクトセールで高額馬を次々と落札しており、2025年の1歳部門では、フォーエバーヤングの半弟にあたる「フォエヴァーダーリングの2024」を税抜3億円で手に入れた。
同じ1歳部門では、2022年のブリーダーズカップ・クラシックを制したフライトラインの産駒「セルフレスリーの2024」も税抜1億9000万円で落札している。億単位の取引が並んだ藤田オーナーの購入馬の中で、ヘアケイリーの2024は税抜で1億円を切る価格だった。
競り落としから約1年3か月。ユメノカケラは藤田オーナーの勝負服でデビュー戦を飾った。
藤田オーナーの購入は2026年も続き、7月のセレクトセール2026では2日間で11頭、税抜20億7200万円を落札した。ユメノカケラは、それより1年前のセールで落札された世代にあたる。
関連記事:藤田晋氏、セレクトセール2026で2日総額20億7200万円を落札 最高額3億円の落札馬と内訳
津村騎手「エンジンがかかってからはいい脚」
デビュー前から、陣営の評価は高かった。1週前の追い切りでは津村騎手が騎乗し、6ハロン82秒8、ラスト1ハロン11秒2をマーク。古馬を追いかけて先着した。この時点で津村騎手は「体はまだ幼いけど、いい動きでした。芝で動けそうですね」と手応えを口にしていた。
レース後、津村騎手は「調教でも乗りやすかったですし、自信を持って乗った」と明かした。直線で外へ出してからの伸びについては「エンジンがかかってからはいい脚だった。余力もあるので、これからもっと良くなると思う」と続けている。
管理する上原佑紀調教師は美浦所属。2022年に調教師免許を取り、2023年3月に初出走、同じ月に初勝利を挙げた若手だ。2026年は青葉賞(G2)をゴーイントゥスカイで勝ち、5月には日本ダービーに向けて皐月賞3着のライヒスアドラーなど4頭を同時に仕上げた。2026年の勝ち星は、ユメノカケラの1勝を含めて10月18日のレース終了時点で22勝となった。
上原佑調教師は、まだ完成途上の体での勝利を喜んだ。「かなり緩い馬なので、今の状態で勝ち切れたのが良かった」。体を完成させる前に、まず1勝を手にした。
次走は未定、放牧を挟んで2000m以上へ
次のレースは決まっていない。上原佑調教師は「1回放牧に出すと思います。距離はもう少しあっても大丈夫。2000メートル以上に行きたいですね」と話し、いったん牧場で休ませたうえで中距離以上の路線を歩む考えを示した。
初戦の芝2000mでも、後半の速い流れで最速の上がりを使った。陣営が「もう少しあっても大丈夫」と見る距離への適性は、2017年の菊花賞(3000m)を勝ったキセキを送り出した父ルーラーシップの血からもうかがえる。
体が緩いまま勝ち上がったユメノカケラが、放牧を経てどこまで成長するのか。次は2000m以上の舞台で、2戦目の走りが問われる。
[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]









































































コメントはこちら