仙台育英、東北大会決勝へ 花巻東とのタイブレークは緊急地震速報で中断も3時間51分、準決勝は光星にサヨナラ

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
第79回秋季東北地区高校野球大会の準々決勝が10月16日、仙台市民球場であり、仙台育英(宮城1位)が花巻東(岩手2位)を延長10回タイブレークの末に6-4で下した。今夏の甲子園で8強に入った学校同士の一戦は、8回に緊急地震速報で試合が止まる場面もあり、試合時間は3時間51分に及んだ。4年ぶりに東北4強へ進んだ仙台育英は、翌17日の準決勝でも八戸学院光星を延長10回タイブレークの末に8-7の逆転サヨナラで破り、19日の決勝に駒を進めた。
4-4から延長10回に2点、仙台育英が逃げ切る
試合は午前10時に始まった。両校の得点経過は次のとおり。
| チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 仙台育英(勝ち) | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 6 |
| 花巻東 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
先攻の仙台育英は3回にスクイズで先制し、4回には5番の有本豪琉(2年)が左翼ポール際へソロ本塁打を運んで2-0とした。
花巻東はその裏に反撃する。5番の久保村冠太(2年)の長打で1点を返し、暴投で同点。さらに主将で7番の斎藤蒼梧(2年)の適時二塁打で3-2と逆転した。仙台育英は先発の古川諒弥が4回途中で降板し、2番手の加藤稜翔も流れを止められなかった。この回途中から3番手で上がったのが、福井勇翔(2年)だった。
6回、仙台育英は朝倉壮海の犠飛で追いつき、相手の失策も絡んで4-3と勝ち越す。それでも花巻東は直後の6回裏、代打・小瀬の犠飛で再び4-4に戻した。7回以降は両チームとも点が入らず、無死一、二塁から攻撃を始めるタイブレークの延長戦へ進んだ。
10回表、仙台育英は捕手の二塁けん制が悪送球となり、一、三塁と好機を広げる。3番の丹羽裕聖(1年)が打ち上げた中堅への飛球を相手中堅手が見失い、打球が後方に落ちる間に勝ち越し点が入った。続く1死一、二塁で有本が右翼線へ適時二塁打を放ち、リードは2点に広がった。
その裏、福井が花巻東の反撃をしのいで試合終了。福井は6回1/3を投げ、被安打3、6奪三振、1失点で投げ切った。花巻東も2番手の戸倉光揮(2年)が4イニングで46球を投げて粘ったが、10回の2点を守り切れなかった。安打数は仙台育英の7本に対し花巻東が8本と、本数では花巻東が上回っていた。
8回に緊急地震速報、9回には判定をめぐる中断も
長い試合になった理由は、得点の取り合いだけではなかった。8回、球場に緊急地震速報が流れ、試合は約2分間止まった。
この日の12時40分、気象庁は北海道から中部地方に緊急地震速報(警報)を発表していた。実際には12時38分ごろにカムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード6.9(速報値)の地震が起き、観測された震度は北海道函館市の震度1だけだった。気象庁は同日の報道発表で、速報の処理で震源を千島列島と決め、マグニチュードを9.9と大きく見積もりすぎたのが原因だと説明し、同日17時30分の第2報では、日本から非常に遠い場所の地震に国内用のマグニチュードの計算式を当てはめたことなどを、現時点で判明した原因として挙げている。この日、気象庁が緊急地震速報(警報)を出したのはこの1回で、警報は12時48分に取り消された。
9回にも試合が止まる。1死一塁から遊ゴロで二塁封殺となった一塁走者に守備妨害が適用され、打者もアウトになった。仙台育英の須江航監督(43)はこの判定について説明を求め、試合後は「ひとつの判定で子供たちの未来が決まるから、説明だけはもらいたかった」と話している。両校の監督が伝令を送り、審判に説明を求める場面はこのほかにもあった。
須江監督「指導者になって最も長い」
試合後、須江監督は「(ほぼ)4時間の試合なんて、高校野球の指導者になって最も長い。途中に緊急地震速報もあった。かなりイレギュラーな試合だった」と語った。
勝敗を分けた点については、はっきりしていた。仙台育英の投手陣は7四球を出し、花巻東は守備のミスが重なる。須江監督は「うちが苦しい試合になった理由は(投手陣の7つの)四球。向こうが負けてしまった理由はエラー。秋はミスがつきもの。ミスは成長痛だなと思って、すぐプラスに切り替えたのが大きかった」と分析した。
花巻東の先発は、最速147キロの右腕・菅原駿(2年)だった。今大会初先発で、右肘の張りを抱えながら126球を投げ、4失点。須江監督は「(花巻東の)菅原(駿)君はおそらく、高2世代で右ピッチャーでは最も勝てる投手だと思います」と評し、低めの球を振らずに球数を投げさせたことを勝因に挙げた。
関連記事:花巻東、2年生の菅原駿が6回3分の1を無失点 岡山学芸館に4-1で夏の甲子園2回戦突破
4回のソロ本塁打と10回の適時二塁打で2打点を挙げた有本は、終盤に勝ち切る練習を重ねてきたと明かし、タイブレークでも全員が最後まで集中を切らさなかったことを勝因に挙げた。
花巻東は6季連続の甲子園が絶望的に
敗れた花巻東は昨秋の東北大会の優勝校で、今大会は2連覇がかかっていた。2024年夏から続く甲子園出場も5季で止まる見通しとなった。来春の選抜大会の東北地区の一般選考枠は3。準決勝に進めなかったことで、6季連続の出場は極めて厳しくなった。
佐々木洋監督(51)は「ミスで負けた」と語った。岩手県大会の決勝でも盛岡中央にタイブレークで敗れており、2試合続けて延長の末に涙をのんだ。主将の斎藤は「攻撃の方では、取りきれるところで取りきれなかったり、守備の方では、4エラーというミス」と振り返り、甲子園に向けて1日1日を大切にしたいと前を向いた。
準決勝もタイブレーク、19日の決勝へ
同じ10月16日には、残る3試合の準々決勝もあった。仙台市民球場の第2試合は青森山田が聖光学院(福島1位)に4-2で勝利。石巻市民球場では八戸学院光星が山形学院に7-0の7回コールド勝ちを収め、先発の秋元は7回を無安打無失点に抑えた。鶴岡東は盛岡中央(岩手1位)を12-4の7回コールドで下している。準々決勝に残っていた岩手勢の2校はこの日そろって敗れ、宮城勢で唯一勝ち残っていた仙台育英が4強に名を連ねた。
仙台育英の戦いは翌日も続いた。10月17日、石巻市民球場での準決勝で八戸学院光星(青森1位)と対戦し、6-6で延長に入ると、10回表に1点を勝ち越された。それでもその裏、砂涼人(2年)が2点適時二塁打を放ち、8-7の逆転サヨナラ勝ちで決勝進出を決めた。2日続けてのタイブレーク勝利となる。この試合でも投手陣は計14四死球と制球に苦しみ、須江監督が花巻東戦の後に口にした課題はそのまま残った。
東北大会の決勝は10月19日に行われる。相手は、同じ17日の準決勝で鶴岡東(山形1位)に7-0で7回コールド勝ちした青森山田(青森2位)だ。東北大会の優勝校は東北地区代表として明治神宮大会に出場する。決勝進出で、仙台育英は4年ぶりとなる来春の選抜大会出場へ大きく前進した。
ほぼ4時間の試合を「イレギュラー」と表した須江監督は、花巻東戦の後に「まだまだ甲子園が遠い」とも語っていた。チームは残り1試合に向かう。
[文/構成 by スポーツライター 高瀬翔吾]














































































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