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小島夢貴、アジア大会400m個人メドレー大会新で金 豊川高3年の17歳、父はアジア大会リレー2冠

小島夢貴、アジア大会400m個人メドレー大会新で金 豊川高3年の17歳、父はアジア大会リレー2冠

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

愛知・名古屋アジア大会第4日の2026年9月22日、競泳男子400メートル個人メドレー決勝で小島夢貴(17)=愛知・豊川高=が4分07秒02で優勝した。2014年仁川大会で萩野公介が出した大会記録を12年ぶりに塗り替え、自身の世界ジュニア記録も更新。2日前の200メートル個人メドレーを0秒06差で制した松下知之を、最後の自由形でとらえた。

萩野公介の大会記録を0秒73上回る4分07秒02

東京アクアティクスセンターで泳いだ決勝で、豊川高3年の小島が4分07秒02をマークした。2014年仁川大会で萩野公介が出した4分07秒75を0秒73上回る大会新記録。17歳が12年間破られなかった数字を書き換えた。

この種目のアジア記録を持ち、2024年パリ五輪で銀メダルを手にした松下知之(21)=東洋大=は4分09秒64で2位。9月20日の200メートル個人メドレーに続く2冠はならなかった。3位には中国の汪順が4分14秒59で入り、32歳のベテランは5大会連続でアジア大会の表彰台に立つ。

決勝の表彰台は次の通り。

順位選手所属・国タイム備考
小島夢貴(17)日本・豊川高3年4分07秒02大会新・世界ジュニア新
松下知之(21)日本・東洋大4分09秒64
汪順(32)中国4分14秒595大会連続メダル

小島は同じ種目の世界ジュニア記録も自分の手で更新した。8月のパンパシフィック選手権で出した4分08秒69を、1カ月あまりで1秒67縮めたことになる。

1秒92を0秒03に縮めた平泳ぎ

決勝はバタフライから松下が飛び出す展開になった。最初の100メートルを54秒95で通過し、背泳ぎでもリードを広げる。200メートル通過時点で小島との差は1秒92まで開き、体ひとつ分の開きがあった。

流れが変わったのは第3泳法の平泳ぎだった。小島がここで一気にギアを上げ、じりじりと背後に迫る。250メートルのターンを終えた直後には、隣のレーンを泳ぐ松下を横目で確認する余裕まで見せた。300メートルの通過では差が0秒03。ほぼ並んだ状態で最後の自由形に入った。

最後の自由形、小島は20メートルを過ぎたあたりで前に出ると、そのまま突き放した。ゴール板をたたいたとき、2位との差は2秒62。前半に置いていかれた分を、後半だけで返した計算になる。

レース後、小島は自分の泳ぎをこう振り返る。

「前半が思ったより楽にいけたので、いま調子のいいブレスト(平泳ぎ)で上げていこうというイメージで、理想通りのレースができたかなと思います」

勝利を確信した場面についても、興奮気味に明かした。「これ俺速いじゃん、みたいな。本当に楽だったので」と語り、300メートル地点ですでに勝てる感触があったと説明した。松下が自由形で速いことは分かっていたが、それでも抜き返せると読んでいたという。

0秒06の悔しさを2日で返す

伏線は2日前にあった。9月20日の200メートル個人メドレー決勝で、松下が1分55秒30、小島が1分55秒36。その差はわずか0秒06だった。最後の自由形で小島は残り25メートル付近まで先頭を泳ぎ、ゴール直前で松下にかわされた。タッチ差での1、2位だった。小島は自己ベストを1秒2近く縮めながら、銀メダルに終わった。

そのときすでに、小島は次を見ていた。400メートルで勝つ。その一点だけを考えて中1日を過ごした。

「リベンジできたのが一番よかった」。優勝後、小島はそう口にしている。200メートルで競り負けた相手に、距離を倍にして勝った。

敗れた松下は悔しさを隠さなかった。「結果がついてこなくて悔しい。納得のいくものではなかった」と話す一方で、後輩の泳ぎをこう受け止めている。

「いい意味で伸びた鼻を折ってくれた。見返してやろうという気持ちで頑張っていきたい」

松下は9月3日の日本学生選手権で4分05秒83の日本記録を出したばかりだった。今大会は3日連続でのレースとなり、22日午前の予選後には「体は重たい」と漏らしていた。それでも予選は全体1位で通過し、決勝でも前半で主導権を握っている。勝負を分けたのは、小島の平泳ぎだった。

父は2006年ドーハでリレー2冠、親子2代のアジア王者

小島の父・貴光(45)は自由形の元日本代表で、2006年ドーハ大会の男子400メートルリレーと800メートルリレーでともに金メダル。20年を経て、息子が個人種目でアジアの頂点に立った。親子2代でのアジア大会制覇となる。

夢貴は東京・練馬区の出身だ。小学校に上がる前から水に親しみ、高校進学で父の母校である愛知の豊川高を選んだ。競泳の強豪であることに加え、ここなら頑張れると思えたから、という理由だった。

順調に伸びてきたように見えるが、続けるかどうかを本気で迷った時期がある。2025年12月、長野で行われた日本代表候補の高地合宿でのことだった。世界を相手にする練習量についていけず、水泳から離れたいと考えた。その冬を越えた先に、今回の金メダルがある。

決勝で武器になった平泳ぎは、もともと本人が弱点に挙げていた泳法だった。今大会前の取材では、弱点の平泳ぎをいかに楽に速く泳ぐかを追求したいと語っている。その課題が、この日の勝負どころで最大の強みに変わった。小島は同じ17歳の存在に感謝を口にする。「(大橋)信についていく、っていうあれのお陰かな」。大橋信は100メートルと200メートル平泳ぎで世界ジュニア記録を持つ同じ17歳。小島は8月の大会の200メートル平泳ぎで大橋の隣のレーンを泳ぎ、好感触をつかんでいた。

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1年2カ月で2秒36、400メートル個人メドレーの世界ジュニア記録を4度書き換えた17歳

小島の400メートル個人メドレーは、この1年あまりで別の泳ぎになった。主な記録の推移は次の通り。

時期大会タイム内容
2025年7月東海高校総体4分09秒38世界ジュニア新
2026年3月日本選手権4分08秒84世界ジュニア新・2位
2026年8月パンパシフィック選手権予選4分08秒69世界ジュニア新・日本高校新
2026年9月22日アジア大会決勝4分07秒02大会新・世界ジュニア新・金

2025年7月の4分09秒38から、1年2カ月で2秒36を削ったことになる。パンパシフィック選手権では200メートル背泳ぎで1分55秒38を出して優勝しており、背泳ぎと平泳ぎの両方を武器にできる個人メドレー選手に育ちつつある。

目の前には具体的な数字が並ぶ。この種目の日本記録は、松下が9月3日に出した4分05秒83。今回の4分07秒02との差は1秒19しかない。17歳がその背中を射程に入れている。

次のターゲットは2028年ロサンゼルス五輪だ。松下は21歳、小島は17歳。この日敗れた先輩が見返すと宣言し、勝った後輩はまだ高校3年生。日本の個人メドレーは、当分このふたりを軸に動く。

[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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