MEDIA DOGS

池江璃花子、アジア大会50mバタフライで銅メダル 前日は体調不良で50m自由形を棄権、本命種目で表彰台

池江璃花子、アジア大会50mバタフライで銅メダル 前日は体調不良で50m自由形を棄権、本命種目で表彰台

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン

競泳の池江璃花子(26)=横浜ゴム=が9月25日、愛知・名古屋アジア大会の女子50mバタフライ決勝で25秒97の3位に入り、銅メダルを手にした。前日の50m自由形は体調不良で棄権しており、声がかれた状態で本命種目のレースに臨んだ。2018年ジャカルタ、2023年杭州に続き、3大会連続で個人種目の表彰台に立った。

25秒97で3位、中国勢に続いて表彰台へ

決勝は9月25日、東京アクアティクスセンターで行われた。愛知・名古屋大会は日本で32年ぶりに開かれるアジア大会で、競泳は東京五輪と同じプールが会場だ。女子50mバタフライは競泳最終日の個人種目として組まれた。

池江は予選を25秒98の全体2位で通過した。決勝の前半は5、6番手と出遅れたが、25mを過ぎてから前へ出て、4位に0秒14差をつけて3位に入った。優勝は東京五輪女子200mバタフライ金メダリストの張雨霏(中国)で25秒41、2位は同じ中国の呉卿風で25秒62だった。上位3人だけが26秒を切った。10人で争った決勝には日本の水口知保も出場し、27秒12で9位だった。

順位選手国・地域タイム
1位(金)張雨霏中国25秒41
2位(銀)呉卿風中国25秒62
3位(銅)池江璃花子日本25秒97

杭州大会の同じ種目で池江が出した記録は26秒02の銅メダルだった。3年前の自分を0秒05上回り、順位も同じ3位を守った。

前日は50m自由形を棄権、万全でないまま本命種目へ

大会中の池江は、決して順調ではなかった。

9月23日は、女子100mバタフライで58秒25の5位に終わり、表彰台を逃した。その約1時間半後の混合400mメドレーリレーでは第3泳者のバタフライを担当。竹原秀一(東洋大)、大橋信(枚方SS)、池江、池本凪沙(ミキハウス)の4人で3分43秒98をマークし、中国に次ぐ銀メダルとなった。今大会初のメダルだったが、レース後は「自分のタイム的には、みんなの足を引っ張ってしまうような形になってしまって、すごく申し訳ない気持ちでいっぱい」と口にしている。

翌24日、日本水泳連盟は池江が女子50m自由形を体調不良のため棄権すると発表した。50m自由形の決勝は、中国の呉卿風が大会新の23秒98で制した。

迎えた25日も体調は万全ではなく、池江は喉を痛めて声がかれていた。それでも午前の予選には予定どおり出場して決勝へ進み、予選後の取材では「今日は最終日だし、チームのために、あとは自分のためにしっかり泳げたら」と自らを奮い立たせていた。

「タイムはさておいて」メダルにこだわった理由

レース直後の取材で、池江はかすれた声のまま喜びを口にした。

「タイムはさておいて、とにかくメダルを取ることができて本当にうれしい」

大会前から掲げていた目標は二つある。メダルを取ること、そして杭州大会より良い記録で終えることだ。池江は「今回はほんとメダル取ること、あとは前回大会よりもいい記録で終わることが目標だったので、どっちも達成できてよかったと思います」と続け、体調を言い訳にしなかったことも強調した。

50mバタフライの銅メダルは、今大会の日本選手団にとって通算100個目のメダルでもあった。

関連記事:西小野皓大、アジア大会200m背泳ぎで金メダル 23歳・新東工業所属、鹿児島情報高出身

池江の出番はまだ終わらない。個人種目を終えた約1時間半後、競泳最後の種目となる女子400mメドレーリレーに第3泳者として出場した。白井璃緒、鈴木聡美、池江、池本の4人で3分57秒64をマークし、銀メダル。中国が大会新の3分54秒55で優勝し、2014年仁川大会から3連覇中だった日本の4連覇はならなかった。バタフライの区間では、同じ日に50mバタフライを制した張雨霏に食い下がった。リレーは後輩に任せる選択肢もあったが、池江は「出なかった時に後悔すると思った。自分が一番後悔しない選択をした結果」と出場を選んだ理由を語っている。

関連記事:小島夢貴、アジア大会400m個人メドレー大会新で金 豊川高3年の17歳、父はアジア大会リレー2冠

6冠のジャカルタから8年、3大会で13個のメダル

池江とアジア大会の縁は深い。2018年のジャカルタ大会では、高校3年生で50m自由形、100m自由形、50mバタフライ、100mバタフライと2つのリレーを制し、日本選手として初めて1大会6冠を成し遂げた。銀メダル2個と合わせて計8個のメダルを手にし、女子選手として初めて大会MVPにも選ばれている。

その翌年、状況は一変する。

池江は2019年2月、白血病と診断されたことを自ら公表した。長い療養を経て2020年8月にレースへ復帰し、2021年の東京五輪ではリレー種目で代表入りを果たしている。2023年の杭州大会では、50mバタフライの銅メダルとリレーの銀メダルで2個のメダルを手にした。

名古屋大会の3個を加え、池江のアジア大会でのメダルは3大会で計13個になった。競泳の日本女子では歴代最多の数だ。大会を終えた池江は「家に帰って、全部メダルを並べて、写真を撮るのが楽しみな気持ち」と笑顔を見せ、個人種目の結果については「自分の目標はあくまでメダルを獲ること。個人種目でちゃんと表彰台に上れたことは誇れる」と語った。

次のアジア大会は「ないんじゃないですかね」、視線はロス五輪へ

次回のアジア大会は2030年に行われる。池江はその大会について「30年はないんじゃないですかね」と話し、名古屋大会が最後のアジア大会になるとの見通しを示した。2028年のロサンゼルス五輪を現役生活の集大成に位置づけている。

ロサンゼルス五輪では、50mバタフライが初めて五輪種目に加わる。今大会で表彰台に上った種目が、そのまま五輪の舞台につながるわけだ。

勝った張雨霏との差は0秒56。本来の体調でどこまで差を詰められるかが、2年後に向けた課題になる。万全とは言えない体でも、表彰台だけは譲らなかった。

[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]

寄稿者

疾風(HAYATE)
スポーツニュースサイトでの執筆を経て、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上など、競技の枠を越えてスポーツ記事を書いてきたWEBライター。経験は6年。大会結果や記録、番付、レース展開など、数字と公式記録を土台に「何がすごかったのか」を整理する記事を得意としている。ルールや採点方式が分かりにくい競技でも、初めて観る人がその一戦を楽しめるよう、背景や見どころまでかみくだいて伝えることを心がけている。主な執筆分野は、ゴルフ、競馬、大相撲、フィギュアスケート、陸上、バスケットボール。

コメントはこちら

*
*
* (公開されません)

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

ライフハック/実用

More

グルメ

More

エンタメ

More

社会/ニュース

More

旅行/スポット

『草間彌生美術館』のクサマズ・ポップへ!ビル一棟まるごと水玉の館内が可愛いすぎた…完全予約制の90分を写真多めでレビュー

『草間彌生美術館』のクサマズ・ポップへ!ビル一棟まるごと水玉の館内が可愛いすぎた...

前衛芸術家・草間彌生さんが設立した「草間彌生美術館」へ。日時指定の完全予約制(90分)のチケットの取り方から、赤い水玉のバルーンが迎える1階、覗き込むミラールーム、部屋も日用品もエレベーターまで水玉に染まった館内、5階の屋上ギャラリーまで、...
More

ファッション/ビューティー

More
Return Top