松下知之、男子200m個人メドレーで1分50秒42の短水路日本新 前日は400m個人メドレーで短水路世界記録、東洋大21歳の経歴

時間がない人向けの30秒で理解ゾーン
競泳の松下知之(21)=東洋大=が10月12日、佐賀市で行われた日本選手権(25m)の男子200m個人メドレー決勝を1分50秒42で制した。萩野公介が2014年に出した短水路日本記録を0秒05更新。前日11日の400m個人メドレーでは3分54秒33の短水路世界新記録を出しており、2日続けて記録を書き換えた。
萩野の日本記録を12年ぶりに更新
大会は第68回日本選手権(25m)水泳競技大会で、10月10日から12日までSAGAサンライズパークのSAGAアクアで行われた。25mプールで泳ぐ「短水路」の日本一を決める大会で、12月に北京で開かれる世界選手権(25m)の代表選考会も兼ねている。
最終日の男子200m個人メドレー決勝。予選2位で5レーンに入った松下は、最初のバタフライを23秒94で折り返して先頭に立つと、背泳ぎでリードを広げた。100mの通過は51秒56、150mは1分23秒48。平泳ぎを終えた時点で2位の牧野航介に1秒55の差をつけ、最後の自由形でそのまま押し切った。
従来の記録は萩野が2014年12月、カタール・ドーハの世界短水路選手権で出した1分50秒47で、松下は12年ぶりにこれを0秒05上回った。学生新記録とアジア新記録も同時に塗り替えている。
2位は牧野(ルネサンス港南中)の1分51秒97、3位は高校1年生の平山悠(イトマン東京/慶應義塾高校)の1分54秒72だった。9月のアジア大会で金と銀を分け合った17歳の小島夢貴(豊川高)は予選8位から決勝に進み、泉陽一(イトマン近大)と同タイムの1分55秒35で4位に並んだ。
前日は瀬戸大也の世界記録を0秒48更新
その前日、松下は同じプールで世界記録を出していた。10月11日の男子400m個人メドレー決勝で記録したタイムは3分54秒33。それまでの世界記録と日本記録は、瀬戸大也が2019年12月に米ラスベガスの国際水泳リーグ(ISL)で出した3分54秒81だった。約7年ぶりの更新で、差は0秒48になる。
公式記録の途中時間を追うと、レースの組み立てが見えてくる。バタフライの100mを53秒22で入り、背泳ぎを終えた200mは1分53秒61。平泳ぎを終えた300mで2分59秒05とし、最後の自由形100mを55秒28でまとめた。2位はチームメートの西川我咲(東洋大)で3分59秒94、3位の沼田頼人(豊川高)は4分0秒07。決勝の8人で4分を切ったのは、松下と西川の2人だけだった。
レース後の場内インタビューで、松下は「短水路は未知数なところがあったので、多少不安はあったんですけど、調子良かったので、いけてよかったです」と明かした。背泳ぎではもたついたとしつつ、平泳ぎと自由形の手応えを口にしている。今後については、アジア大会で長水路の200m平泳ぎ世界新を出した大橋信の名前を挙げ、「自分も続いて、長水路の方で世界記録出せるように頑張りたい」と次の目標を掲げた。
大会初日の10日には男子200mバタフライも1分49秒61で制した。2位の森本哲平(NOK)とは0秒62差で、175mの通過では0秒01差という競り合いだった。個人メドレーの2種目と合わせ、3日間で3種目の頂点に立っている。
「最低でも日本記録」と語った200m
200mのレース後、松下は観客席に両手を掲げて応えた。
「最低でも日本記録は出したいと思っていたので、コンマ数秒(の差)ですけど出せて良かった」。松下はそう話し、「夏場の厳しいトレーニングが良い結果につながっている」と好記録の理由を挙げた。「自分が目指しているのはオリンピックでの金メダル、そこはブラさずにやっていきたい」と目標もぶれない。
夏に手応えをつかんだ平泳ぎがこの日も好調で、自由形のスパートにつながった。松下は「世界のレベルが高いので、どんどん記録を出していきたい」と言葉を続けた。
同じ大会で日本新が続出
佐賀の3日間では、松下以外にも短水路日本記録の更新が相次いだ。大会の公式記録によると、個人種目の決勝で日本新記録を出して優勝した選手は次のとおり。
| 日付 | 種目 | 選手(所属) | 記録 |
|---|---|---|---|
| 10月10日 | 男子1500m自由形 | 田渕海斗(尼崎SS) | 14分14秒16 |
| 10月10日 | 女子100m平泳ぎ | 加藤心冨(スウィン鴻巣/早稲田大学) | 1分3秒82 |
| 10月10日 | 男子100m個人メドレー | 牧野航介(ルネサンス港南中) | 51秒06 |
| 10月11日 | 男子50m平泳ぎ | 谷口卓(MEIGI/GSTR-GP) | 25秒43 |
| 10月11日 | 男子400m個人メドレー | 松下知之(東洋大学) | 3分54秒33(世界新) |
| 10月12日 | 男子200m個人メドレー | 松下知之(東洋大学) | 1分50秒42 |
| 10月12日 | 男子200m平泳ぎ | 大橋信(枚方SS/四條畷学園高) | 2分0秒12 |
| 10月12日 | 男子100mバタフライ | 五味智信(ミキハウス) | 48秒58 |
初日の田渕は、今福和志が2025年に出した14分23秒26を9秒10縮めた。途中の800mでも7分32秒76の日本新を記録している。
関連記事:田渕海斗、短水路1500m自由形で日本新 14分14秒16、従来記録を9秒10更新
最終日には、アジア大会で長水路の200m平泳ぎ世界新を出した17歳の大橋も、瀬戸が2022年に出した2分0秒35を0秒23更新した。
宇都宮出身、萩野に憧れた21歳の歩み
松下は栃木県宇都宮市の出身。宇都宮南高校時代の2023年には、鹿児島国体の少年男子400m個人メドレーを制している。2024年春に東洋大へ進み、萩野を育てた平井伯昌コーチの指導を受ける。現在は3年生で、地元のスウィン宇都宮スイミングスクールにも籍を置く。
同じ栃木出身で、2016年リオデジャネイロ五輪の400m個人メドレーを制した萩野に憧れて五輪を目指した。18歳で出た2024年パリ五輪は、同種目で4分8秒62の銀メダル。日本競泳陣でただ1人のメダリストになった。
2025年のシンガポール世界選手権でも400m個人メドレーで銀メダルを獲得。2026年はさらに記録が伸びる。8月のパンパシフィック選手権(米アーバイン)で個人メドレー2種目を制し、9月3日の日本学生選手権では萩野が持っていた長水路の400m個人メドレー日本記録4分6秒05を0秒22更新する4分5秒83を出した。
日本開催となった9月の愛知・名古屋アジア大会では、200m個人メドレーで金メダルを手にした一方、400m個人メドレーは小島に敗れて銀メダルだった。佐賀での2つの記録は、それから3週間足らずで生まれている。
12月の世界選手権でマルシャンと再戦か
次の舞台は12月の世界選手権(25m)だ。会場は北京で、松下はパリ五輪4冠のレオン・マルシャン(フランス)との対決に目を向ける。
200m個人メドレーの世界記録は1分48秒88で、松下の日本記録とはまだ1秒54の開きがある。松下は「記録はもちろん、世界選手権は勝負が大切になってくる。競り合いで勝ち切れるように力をつけていきたい」と語った。
萩野の背中を追ってきた21歳は、その萩野の記録を長水路と短水路で相次いで塗り替えた。次に狙うのは、記録と勝負の両方だ。
[文/構成 by スポーツライター 疾風(HAYATE)]















































































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