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八王子実践、西東京大会決勝で創価に1-0 硬式野球部が春夏通じて甲子園初出場

八王子実践、西東京大会決勝で創価に1-0 硬式野球部が春夏通じて甲子園初出場

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八王子実践が7月26日、西東京大会決勝で創価を1-0で下した。決勝点は7回、荒木孝介の犠飛による1点のみ。創立100周年を迎えた今年、硬式野球部として春夏を通じて初めての甲子園出場をつかんだ。先発の奥山慎太郎が130球を投げ抜き、最後はエースの塚原翔太が試合を締めくくった。

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決勝点は7回の犠飛、投手2人でつないだ完封リレー

夏の全国選手権は都道府県ごとに代表校を1つに絞り込む戦いで、東京都は参加校の多さから東西2地区に分けて予選を行っている。第108回全国高校野球選手権西東京大会の決勝は7月26日、神宮球場で行われた。八王子実践は創価との投手戦を1-0で制し、夏の甲子園出場を決めた。両校とも大量得点が見込みにくい、守り合いの試合になる。

試合が動いたのは7回。1死一、三塁の場面で打席に入った荒木孝介(3年)が中犠飛を放つと、三塁走者が悠々とホームを踏んだ。この1点が、そのまま決勝点になる。

投げては八王子実践の背番号10、奥山慎太郎(3年)が先発した。130球を投げ抜き、9回途中まで創価打線を無失点に抑える粘りの投球を見せたが、9回に二塁打と四球で走者を許し、1死一、二塁の場面で降板。ここでマウンドに上がったのがエースの塚原翔太(3年)だ。3球で一人を右飛に打ち取ったものの、続く打者に安打を許して2死満塁。一打が出れば逆転サヨナラという後がない場面となったが、最後は打者を左飛に打ち取り、そのまま試合を締めくくる。創価先発の平井勇征(3年)も粘りの投球を見せ、八王子実践打線をわずか1点に抑え込んだ。それでも援護には恵まれず、両校合わせて1点を争う息もつかせぬ接戦だ。

昨夏ベスト8から、創立100年で悲願の初出場

八王子実践にとって、今回の決勝進出は一朝一夕の結果ではない。昨年夏の西東京大会はベスト8で姿を消している。強豪がひしめく西東京大会で、勝ち上がるだけでも簡単ではない。

そこから1年、チームは着実に力を蓄えた。迎えた今年は、学校創立100周年という節目の年。春夏を通じて一度も出場したことがなかった甲子園の切符を、記念すべき年につかみ取った。

ドジャースでイップス、世界を渡り歩いた監督

この勝利を語るうえで欠かせないのが、指揮を執る河本ロバート監督(40)の経歴。米国人の父と日本人の母を持ち、八王子実践のOBでもある。選手としては本格派で鳴らしながら、指導者としての道のりも平坦ではなかった。挫折と武者修行を重ねた末に、この夏の甲子園切符へとつながる。

亜細亜大学では投手として活躍し、自己最速152キロを誇る本格派右腕だった(ドジャース退団後、独立リーグを渡り歩くなかで2014年に徳島インディゴソックス在籍時に自己最速を156キロまで伸ばしている。現役引退はその後の2015年2月)。2007年秋のドラフトでは「幻のドラ1」とも言われた逸材だ。複数の国内球団から誘いを受けながら、河本は米大リーグ・ドジャースとのマイナー契約を選ぶ。契約金や安定した将来よりも、大リーグでプレーする夢を追う道を選んだ格好だ。

だが、渡米後にイップスに苦しんだ。思うようにボールを投げられなくなり、メジャー昇格は果たせなかった。

それでも野球人生は終わらない。国内に戻ってからはBCリーグ新潟アルビレックス、台湾プロ野球のLamigoモンキーズ、四国アイランドリーグの徳島など、活躍の場を広げながら現役を続けた。オーストラリアやコロンビアでも冬場にプレーし、世界を転戦する。マイナー契約から始まった野球人生は、結果的に世界各地のグラウンドを渡り歩く道のりになった。2015年に現役を退くと、翌2016年からコーチとして母校に戻った。そして2019年、監督に就任する。

専用グラウンドなき部が見せた執念

八王子実践は強化指定部ではない。専用グラウンドを持たず、特待生制度もない環境での挑戦だった。強豪校のように潤沢な設備や有望な選手を集められる立場にはない。

平日は午後6時30分に完全下校となり、土曜日も4限まで授業がある。練習時間は限られ、週3回は近隣の少年野球チームの球場を借りて行う。それ以外の日は、内野程度のスペースしか使えない。バッティング練習ひとつとっても、思うようにスペースを確保できない日が多い。

河本は「自分が逆の立場だったら、二の足を踏むような環境です」と実情を認めたうえで、「来てもらった子たちに感謝して指導しています」と明かした。選手の自主性や主体性を重んじる「いい顔して野球をやろう」という指導理念が、限られた環境でも選手たちを支える。厳しい練習量を課すのではなく、選手自身に考えさせる指導こそが、この夏の結果に直結する。

「東京都の代表として恥じない戦いを」、夏の甲子園へ

河本は取材に「前回120点を使ってしまったので、150点をあげたいと思い」と述べた。準決勝までの戦いで力を出し切ったうえで、決勝ではさらに上積みを求めたという趣旨だ。

そして「学校も100周年、神宮も100周年。東京都の代表として恥じない戦いで、一生懸命頑張っていきたいと思います」と続けた。東京都の代表として夏の全国大会に挑む重みを、自らに言い聞かせるような言葉だった。

専用グラウンドも特待生制度もない環境から、創立100周年の年に甲子園切符をつかんだ八王子実践。ドジャースの舞台を経験し、イップスを乗り越えた河本の指導が、限られた練習環境の中で結果を引き出した。次の目標は、その甲子園の舞台そのものだ。

[文/構成 by スポーツライター 久遠(KUON)]

寄稿者

久遠(KUON)
WEBライター(主にスポーツ記事)経験7年。スポーツ、格闘技が好きで、ボクシング世界チャンピオンが主宰するジムに4年間在籍。自分でも練習を重ね、”3分”の過酷さと濃さを体で知る。観戦もライフワークで、会場には年4回ほど足を運ぶ。選手目線の実感とファン目線の熱量、その両方を武器に、試合の見どころやリングのリアルをライター経験を活かしてわかりやすく伝えます。

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